トップページ >00)しずおか駅舎探訪 >図書館にある佐久間レールパークの"置き土産"?~しずおか駅舎探訪(9)佐久間駅

図書館にある佐久間レールパークの"置き土産"?~しずおか駅舎探訪(9)佐久間駅

佐久間駅①.JPG8月17日夕刊「旅食」の連載「しずおか駅舎探訪」。第9回はJR東海飯田線の無人駅・佐久間駅(浜松市天竜区佐久間町)。全国でも珍しい図書館が一体となった駅舎です。今回は図書館の司書・長谷川陽子さんに、鉄道ファンには懐かしい「佐久間レールパーク」にまつわる品や、図書館内の展示などを案内してもらいます。(旭)

佐久間駅②.JPG駅のホームに降り立つと、見えるのは浜松市立佐久間図書館が一体となった駅舎。図書館の窓から...あれ?何だか丸い物が見えますね。
佐久間駅③.JPG何と!列車のヘッドマーク!
佐久間駅④.JPG図書館の中で、間近で見せてもらいました。このヘッドマークは、佐久間駅の隣、中部天竜駅にあった鉄道車両の展示施設「佐久間レールパーク」(1991年~2009年)の閉館に合わせ、飯田線を走った臨時列車「佐久間レールパーク号」に付けられていた物。JR東海から観光協会が譲り受け、図書館に飾っているそうです。長谷川さんによると、当初は図書館の内部を向いていたそうですが、「電車に乗るお客さんから見えるように」と、逆向きに飾ったそうです。

佐久間駅⑤.JPG長谷川さんが「そういえば、こんなものもあります!」と見せてくれたのが、閉館を記念して作られた「サクマドロップス」の缶。佐久間レールパークで展示された車両は、多くが名古屋市の「リニア・鉄道館」に移されましたが、なぜかここに写っている車両はレールパーク閉館後、解体された物がいくつかありますね...。
しかしなぜ、サクマドロップスなのだろう...と思いましたが、「佐久間=サクマ」だと気付いたのは、図書館を後にしてからでした(苦笑)。

佐久間駅⑥.JPG佐久間図書館内部の見どころは、ヘッドマークや、紙面でご紹介したスギの大きな柱だけではありません。スギの木の柱から天井を見ると、東西南北4方向に、ステンドグラスが見えます。各地区の民話や伝統芸能がモチーフになっています(左上から時計回りに、山香地区「山んば」、浦川地区「川合花の舞」、佐久間地区「二本杉」、城西地区「池の平の龍」)。

佐久間駅⑦.JPGもう一つ、静岡県ゆかりの文豪・井上靖の展示です。井上靖というと、「しろばんば」をはじめ、伊豆のイメージが強い人物ですが、少年時代の2年ほどを浜松で過ごし、遠州ともゆかりの深い人物です。そして作家になってからは、佐久間ダム工事を題材にした「満ちてくる潮」を執筆しています。
実は佐久間ダムの建設は、飯田線にも大きな影響がありました。中部天竜駅から、大嵐駅の間が天竜川から大きく東に逸れたルートを通っているのは、ダムの工事で線路が水没したため。1955年に佐久間ダムを迂回し、水窪駅などを通る新ルートができました。実は佐久間駅もその際で、移転をしています。
ことしは飯田線全通80年。図書館には、飯田線や佐久間ダムに関連する資料もたくさん収蔵されています。電車で佐久間駅に降り立ち、帰りの電車が来る時間まで図書館で涼みながら郷土史の勉強...なんてスローな旅もいかがでしょうか?

コメントを投稿

コメントを表示する前に承認が必要です。コメントが表示されるまで、少し時間がかかる場合がございます。


画像の中に見える文字を入力してください。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.at-s.com/mt1/mt-tb.cgi/59812

トップページ >00)しずおか駅舎探訪 >図書館にある佐久間レールパークの"置き土産"?~しずおか駅舎探訪(9)佐久間駅

ご案内

静岡新聞文化生活部の記者ブログです。
取材時のエピソードなどをアップします。
音楽、アート、鉄道、くらしなどがテーマ。
紙面にプラスのこぼれ話が満載です。


★文化生活部ツイッター ⇒こちら
「くらしず」の更新情報もお伝えします。

★アットエスニュース ⇒こちら
静岡新聞の公式ニュースサイトです。