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第6回静岡書店大賞発表! ふくながじゅんぺいさん(藤枝出身)、小坂流加さん(三島出身)が受賞 授賞式コメントを紹介

書店大賞①.JPG 第6回を迎えた「静岡書店大賞」の受賞作が12月5日、発表されました。県内の書店員や図書館員が投票して選ぶ同賞。今回は例年以上に静岡とゆかりのある著者の作品が多く選ばれました。紙面に掲載した授賞式の模様を詳しくご紹介します。(旭)

書店大賞②.JPG まず、今回の実行委員会事務局長を務めたマルサン書店仲見世店(沼津市)の小林誠一店長が登壇してあいさつ。図書館員からの投票が前回の4倍増え、投票者総数も過去最多の800人に上ったことを紹介しました。

書店大賞③.JPGいよいよ受賞作品の発表です。
まずは映像化したい文庫作品を選ぶ「文庫部門」。三島市出身の小坂流加さんの作品「余命10年」(文芸社)が選ばれました。難病にかかり、余命を宣告された20歳の女性が、淡々と生きる中で見つけた趣味に没頭。「恋愛はけしてしない」と決めていた彼女に愛する人が現れ...という切ないラブストーリー。小坂さん自身の境遇を投影した作品でもあります。
小坂さんは刊行直前の今年2月に亡くなられたことから、ご両親が盾を受け取られました。父・有司さんは「病を抱えながらも、亡くなる直前までは文章が書けるような状態でした。夜によく書いていたのですが、『どんなの書いているの?』と聞いても、なかなか見せてくれませんでした」と、親子ならではのエピソードを明かしました。「受賞作品は人が生きることの大切さを書いています。娘が命を削って書いた作品を、本の専門家の皆さんに選んでいただいた。娘に代わってお礼したい」と述べられました。

書店大賞④.JPG小説部門は伊坂幸太郎さんの「AX(アックス)」(KADOKAWA)が受賞しました。伊坂さんは出席されませんでしたが、担当編集者の方がご本人のメッセージを代読しました。
「殺し屋シリーズ」の最新作の本作は、「親が子どもに何を残すか」をテーマに五つの短編が収録されています。その後半二つは執筆に1年掛かったことを明かし、「書店員さんに面白いと思ってもらえ、ホッとした思いです」と心情を吐露されました。伊坂さん直筆の色紙も披露されました。

書店大賞⑤.JPG 児童書新作部門は3作品。3位から順に発表されました。3位はヨシタケシンスケさん(写真右)の「なつみはなんにでもなれる」(PHP研究所)。「なつみちゃん」が、何かのまねをしてお母さんに当ててもらう作品です。
 ヨシタケさんは「実はこの作品でお母さんは一度も笑わないんです」と紹介。「子育ては思い通りに行かないから面白い。笑っている=幸せ、というわけでもない。(逆に)子どものことを分かってあげられなくても、幸せでないわけではない。そんなところを表現したかった」と、自身の子育て経験を踏まえながら、意図を解説されました。

書店大賞⑥.JPG 2位は伊東市在住のいわいとしおさんの「そら100かいだてのいえ」(偕成社)。「100かいだてのいえ」シリーズの最新作です。
 いわいさんのメッセージを編集担当者(写真右)が代読しました。「伊豆に移住して6年。静岡の空や色がたくさん詰まっています」と、作品への思いを披露しました。

書店大賞⑦.JPG
 いよいよ児童書新作部門の1位の発表。1位は、藤枝市出身で静岡市在住のふくながじゅんぺいさん(写真右)のデビュー作「うわのそらいおん」(金の星社)が選ばれました。すぐに空想の世界に入ってしまう「うわのそらいおん」と一緒に、いろいろな世界を旅するような作品です。
 ふくながさんは、子どもの頃に住んでいた団地の近くの本屋さんでのエピソードを披露。「毎日のように入り浸って、本に囲まれて過ごしました。地元でこのような賞をいただき、うれしく幸せ」と語っていました。式典後の取材でも「地元の書店に自分の本が並ぶのが本当にうれしい」と喜びいっぱいでした。

書店大賞⑧.JPG
 最後は児童書名作部門。今回からこの賞は、図書館員のみの投票で選ばれる方式に変更されました。変更後、栄えある第1回目の受賞はわかやまけんさんの「しろくまちゃんのほっとけーき」(こぐま社)でした。
 「こぐまちゃんシリーズ」で知られるわかやまさんは今年、2015年に亡くなっていたことが分かりました。授賞式には、こぐま社の関谷裕子さんが出席、こぐまちゃんも駆け付けました。関谷さんによると、「しろくまちゃんの~」は1972年の刊行以降、215刷、297万2千部を売り上げ、今でもこぐま社で一番売れている一冊なのだそう。私も子供の頃、読んだ記憶がありますし、親子で読んだ経験がある人も多いのではないでしょうか。
 
 現在、県内約180の書店で、静岡書店大賞受賞作品のフェアが開かれています。年末年始、ゆっくりできる時間も多いでしょう。ぜひ皆さん、この機会に書店で本を手に取ってみてください。

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