貴重な文化財を特別公開「京の冬の旅」2・東福寺~静岡生まれの開祖「聖一国師」に触れる
1月18日付夕刊「旅食」に掲載した京都ルポ「幕末足跡訪ね京へ」のこぼれ話第2弾は、京都市東山区の東福寺。「静岡茶の祖」として知られる鎌倉時代の僧、聖一国師が開祖の、静岡とゆかりの深いお寺です。(旭)
「京の冬の旅」の期間中、東福寺で初めて一般公開されている一つが、写真の「禅堂」。現在の禅堂は室町時代、1347年に建てられ、国内最古にして最大級といわれています。幅42メートル、奥行き22メートルあり、「起きて半畳、寝て一畳」の言葉通り、最大244人が座禅を組むことができます。一般公開は初めてですが、ほぼ毎週日曜に座禅会が開かれていて、一般の人も参加することができます。
中のレイアウトこそ、時代によって変化しているそうですが、一歩入るとひんやりとした空気と、窓から差す日の光が印象的で、時空を超えたような気分にさせてくれました。
禅堂は本堂が焼失した明治時代から大正時代にかけて、仮の本堂として使用されていました。本堂だった当時、本尊の頭が天井に当たってしまい、天井に穴を開けた跡が残っていました。
もう一つの特別公開場所が、「経蔵」です。経蔵は文字通り、経典を収める場所です。
建物の中は、八角形の回転式輪蔵があり、ここに1000点余りの経典が収められています。中には、開祖の聖一国師が宋から持ち帰った経典も含まれているそうです。今は大切な文化財の保存のため、動かすことはできませんが、本当は回転できるような構造になっています。
輪蔵の扉を開き、中を見せてくださったのは、聖一国師関連のイベントなどで、度々静岡を訪れているという法務執事の爾英晃さん。「今年の正月の大般若でも、こちらに納められた経典を使いました」と教えてくれました。 鎌倉時代に記された日本初の仏教史書「元亨釈書」の版木も特別に公開されています。
京都での思わぬ「静岡」との出合いに、聖一国師が結んだご縁を感じました。
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