1000年前からの食材つなげたい 日本でここだけの「潮かつお」~「地域おこし隊推薦 里でホレたこの逸品」8・西伊豆町
2月15日付の夕刊「旅食」で掲載した「地域おこし隊推薦 里でホレたこの逸品」の第8回。西伊豆町の地域おこし協力隊員、鈴木剛さんに同町で作られている「潮(しお)かつお」をご紹介いただきました。(旭)
訪れたのは、西伊豆町の港町、田子にある「カネサ鰹節商店」。通年で唯一、潮かつおを製造しているお店です。迎えてくれた鈴木さんは協力隊としての活動の傍ら、この店に弟子入りして潮かつおやかつお節づくりを学んでいます。
沼津市出身で高校卒業後に上京し、六本木や渋谷など「夜の街」の飲食店に長年勤めていた鈴木さん。2015年に帰郷後は、沼津市の道の駅「くるら戸田」で地元の商品を販売する仕事をしていました。
「潮かつおは1000年以上前の木簡に書かれていたくらい、昔からある保存食」「江戸時代はカツオが採れるところならどこでも作っている、メジャーな食べ物だった」「『正月魚』と書くくらいで、正月飾りとして飾る」「船主と船員がちぎりを結ぶ象徴だった」―。夜の店や、販売員として磨いたトーク力はさすが。潮かつおにまつわるエピソードが立て板に水のように語られ、ひきつけられます。
お店の事務所に入ると、神棚には立派な潮かつおが供えられていました。鈴木さんはカツオをさばくところから修業しています。「血しぶきを浴びる。命をもらっている実感がある。作るところに携わって良かった」と一転、神妙な面持ちで話してくれます。「この店も含めて潮かつおを作る店は、ごくわずか。後継者も少なく、本当に絶滅危惧種。これはもったいないと思った」と、修業を決めた理由を教えてくれました。
カネサ鰹節商店は、「手火山式焙乾」と呼ばれる古来製法で作られる本枯節でも知られます。とはいえ、手軽なものが求められる時代。「簡単にポップに、本物を味わえるようにしたい」と鈴木さんは常に考えているそう。店もさまざまな商品を販売しています。
その中で考えたのが、「だしのサード・ウェーブ」。第1がかつお節や昆布からとるだし、第2がインスタントだし、第3が「本物で簡単なだし」―という意味だそう。「本物のかつお節を微粉末にするなどして、簡単に味わえたら」と夢はふくらみます。
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