多国籍なバーは「何でも話せる平和の場」~「ワタシ、シズオカ人」24・バー経営者コーシアン・メメットさん(トルコ出身、浜松市在住)
3月5日付朝刊の「ワタシ、シズオカ人」は、トルコ出身で浜松市でバー経営するコーシアン・メメットさんをご紹介しました。(旭)
メメットさんの店「No Name Bar(ノー・ネーム・バー)」は、浜松市の目抜き通り・鍛冶町通り沿い、歓楽街の有楽街の入り口近くにあります。
取材は夜、お店の営業中に行われました。この日、お店にいたお客さんは、インド、ロシア、英国、そして日本人の私と、まさにワールドワイド。インド出身の2人は某自動車メーカーの仕事で、英国人のグループは某楽器メーカーの社員として浜松に来ているそうで、ものづくりの街・浜松らしさを感じます。
不思議な名前の店名の由来も聞きました。「友達たちとお店の名前を考えたんだけど、あれがいい、これがいいってなかなか決まらなくて。だからもう『no name』(名前なし)でいいじゃん!って僕が言ったんだ(笑)」。
メメットさんの出身地はトルコ中南部のシャンルウルファ。聖地巡礼のイスラム教徒が訪れるスポットもある歴史ある街だそうです。シャンルウルファは、トルコでは少数派のクルド人が比較的多く住んでいます。メメットさんもクルド人です。
独自国家を持たない最大の民族といわれるクルド人。あからさまではないにしろ、トルコ国内で差別的な扱いを受けたこともあったそうです。
「日本では自由に話せるのがいい」と語るメメットさん。日本に住んでいると、この大切な「自由」を忘れてしまいがちですが、年々言論規制が厳しくなるトルコの現状に思いをはせるメメットさんが語ると、重い言葉です。
お店で販売しているのが、メメットさんの故郷・トルコ産のピスタチオ。トルコは米国やイランなどとともに、世界有数のピスタチオの産地ですが、ほとんど日本には輸入されていないそう。「やっぱり、トルコのピスタチオが一番」と、自身で輸入を手掛けています。味見させてもらいましたが、ローストと適度な塩味が効いて、おいしいピスタチオでした。
お店の定番は、ナチョス。もちろん、ケバブもあります。ビールもトルコ産のビール「EFES」をはじめ、世界のビールが並んでいました。取材に車でお邪魔したため、仕事が終わっても飲めなかったのは残念でした。
メメットさんのお店は、「no name」というより、「no border(国境がない)」なバーという印象でした。今度はお客さんとして、「自由に話せる」幸せを味わいにうかがおうと思います。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.at-s.com/mt1/mt-tb.cgi/61641