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修行僧は英国生まれ 仏が結んだ愛の縁 ワタシ、シズオカ人~小崎キースさん(伊豆の国市)

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 4月23日の「ワタシ、シズオカ人」は、運慶作の国宝仏像が安置されていることで知られる、伊豆の国市の願成就院(がんじょうじゅいん)で修行する小崎キースさんをご紹介しました。(旭)

 私がキースさんを初めてお見かけしたのは、2017年12月。東京・国立博物館での運慶展から戻ってきた仏像を見ようと休日にお寺に足を運ぶと、拝観のパンフレットを手渡してくださったのが、作務衣姿のキースさんでした。「お寺になぜ外国の方が?」と思い、取材を申し込みました。

TAK_7511.jpg 紙面でもご紹介しましたが、その理由は奥さまの淳子さんの実家が願成就院だから。2017年に奥さまと一緒に真言宗の本山・高野山で得度し、今は本格的な修行を前にお寺で毎日朝と夕方の鐘突きや、境内の掃除、拝観者の案内を行っています。

 キースさんは、英国スコットランドのセントアンドリューズの出身。ゴルフの好きな方には、ゴルフ発祥の地として知られていますね。子供時代は、空軍で仕事をしていた父親とともに英国内を転々としました。

 高校卒業後、ロンドン警視庁で事務職員として勤務した後、大学に入学。入った大学で、ボランティアで留学生を案内する役を買って出た際、担当したのが日本からの留学生でした。映画観賞が趣味で、黒沢明監督のファン。「『七人の侍』や『生きる』が好きですね」とキースさん。元々あった日本への興味が高まり、大学卒業後にALT(外国語指導助手)として来日しました。ちなみにリドリー・スコット監督やフランシス・フォード・コッポラ監督、スタンリー・キューブリック監督の作品もお気に入りとか。

 ALTとして、奄美大島や金沢市、愛知県豊橋市で教えた後は英国へ帰国。ロンドンで救急救命士として救急車に乗っていました。ある日、レストランで出会ったのが、妻の淳子さん。当時、淳子さんは、ロンドンにある会社で仕事をしていました。

 ほどなく結婚を決意しますが、淳子さんは将来的には地元へ帰り、お寺を継ぐ身。「日本人でも、仏門に入るのは覚悟がいります。なぜ決断できたのですか?」と問うと、淳子さんが目の前にいたからか、ちょっとはにかみながら「愛していたから」とシンプルな答えが返ってきました。

TAK_7714.jpg 今、キースさんの日課の一つが、紙面の写真でも掲載した朝夕の鐘突き。スマートフォンを手に、朝夕6時ちょうどに鐘を突きます。突いた後も、ストップウオッチ機能を使い、スマートフォンの文字盤を見ながら、鐘の間隔をきちんと測ります。「父はこんなことしてなかったんですけどね。彼は律義なんですよ」と淳子さん。

 将来的には、淳子さん同様、高野山で修行する予定のキースさん。日常会話は問題ないですが、「仏教用語は難しい言葉が多いのでまだまだ」と、日々経典の暗唱に励んでいます。いつの日か、夫婦で護摩を行う日も来ることでしょう。

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