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平成最後の夏彩る電子音 若手DTMユニット「パソコン音楽クラブ」が熱海でライブ 

 8月23日の「とんがりエンタ」では、関西を拠点に活動する若手DTMユニット「パソコン音楽クラブ」の初の全国流通アルバム「DREAM WALK」の発売記念ライブin熱海を紹介しました。(菊)

熱海市の風景からインスピレーションを受け、80年代後半~90年代の中古シンセサイザーやパソコンを使って制作した今作。「平成最後の夏」をコンセプトに同市で開かれたライブ会場はライブハウスやクラブではなく、なんと熱海サンビーチから徒歩1分のビル最上階空きフロア。熱海に残る昭和とバブルの香りと平成生まれの感覚がコラージュされ、「夢と現実」「ノスタルジーと現代」の間を往来するような不思議な空間が生まれました。

 メンバーの西山さん(24)、柴田さん(23)が初めて熱海を訪れたのは2年前。明かりが消えた温泉街や廃墟ビル、熱海城など、さまざま時代の建物が雑多に並ぶ風景に非日常性を感じたといいます。新譜のジャケットには、熱海サンビーチから徒歩1分にあるファミリーレストラン「ジョナサン熱海サンビーチ店」の写真を採用。「ファミレスは町中にあるイメージがあったから不思議な感じがした。熱海サンビーチとジョナサンの間の道を勝手に"ドリームウォークロード"と呼んでいます」と教えてくれました。

ジョナサン.JPG

 熱海でのライブ開催を模索していた2人に会場を紹介しイベントを共催したのは、熱海市内のみやげ店店主、横須賀馨介さん(28)でした。埼玉県出身の横須賀さんは昨年5月、「大好きな大瀧詠一、山下達郎、松本隆の風景があったから」と、勤めていた都内の広告会社を辞め熱海市に移住。現在は熱海のホテルやビーチをモチーフにしたオリジナルグッズを販売する「論LONESOME寒(ロンサム)」を経営しています。友人たちとともに旅館や漁業など熱海ならではのアルバイトをしながら、地元の人との交流を深めた生活を目指しているそうです。「日本全体が衰退に向かう今だからこそ、60~70代の人たちが全盛だった時代の文化を体験し、残したい」と横須賀さんは語ります。

 スナックなども会場の候補に挙がる中、地元の建設会社「大舘建設」の快諾を得て、同社が所有するビルの最上階を借り受けることになりました。むき出しのコンクリート空間に音響機器や冷房機器、熱中症対策用の水や塩飴を運び込み、ライブは決行されました。

パソコン音楽.JPG

 会場に足を踏み入れると、とにかく客層が若い!話しかけると、県外から訪れた20代が多い印象です。演奏が始まると、ちょっとダサい(?)ユニット名を裏切るクールなサウンド。熱海の海を一望できるむき出しのコンクリート空間に響く、ローファイな電子音と美しいメロディーが郷愁を誘います。騒音対策のため窓を閉め切って演奏されたラスト曲「Inner Blue」の大合唱でフロアは熱気に包まれ、夢のような感覚のままライブを終えました。

 余談ですが、92年生まれの筆者は3人と同世代。私も以前、ジョナサン熱海サンビーチ店に入った時に、現実(ファミレス)と虚構(熱海のビーチ)の境界線上にいるような奇妙な感覚に襲われたことがありました。3人へのインタビュー、パソコン音楽クラブの楽曲を通じ、当時感じた不思議な感覚に説明を与えてもらえたような気持ちになりました。ライブから1か月が経過した今もまだ、会場から見た熱海の光景と「Inner Blue」の大合唱が強く印象に残っています。

パソコン音楽クラブの公式ホームページ http://pasoconongaku.web.fc2.com/Index.html

論LONESOME寒の公式ツイッター https://twitter.com/lonesome_atami

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