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出前授業テーマに研修 NIE地方紙研究会
 静岡新聞など12社参加

 地方紙を中心とした全国各地の新聞社のNIE担当者で組織する「NIE地方紙研究会」の合同研修会が2月14、15の両日、東京都中央区の共同通信社研修・交流センターで開かれた。静岡新聞など12社から16人が参加し、効果的な新聞出前授業の方法などをテーマに意見交換した。

 新潟日報の佐藤牧子読者ふれあいセンター部長は、同新聞社を見学に訪れる児童、生徒向けに行っている「新聞ってなに?」と題したミニ新聞講座の概要を紹介した。朝刊1部に掲載されている記事の数や1ページの文字数などをクイズ形式で問い掛けながら見学者の関心をひく手法に触れ、「すべての記事を読むのは大変。まずは、目に留まった写真や見出しの『つまみ食い』から始めよう、と勧めている」と述べた。

 熊本日日新聞の本田禎治NIE・新聞活用センター長は研修参加者を生徒に見立て、日ごろ行っている出前授業を再現した。5W1Hや逆三角形の文章など記事の書き方の基本、紙面レイアウト、見出しの付け方など新聞制作の基本を解説した上で、「新聞を読むということは社会の仕組みや問題を知り、ものの見方や考え方を学ぶことが目的。記事を読んだら、自分ならどうするか考え、そして表現してほしい」と呼び掛けた。

 模擬授業に関連し、本田センター長は「新聞活用を広げるには出前授業と併行して、教員向けのNIE講座を実施するなどの啓発活動も大切」と指摘し、児童・生徒、教員、家庭それぞれへの働きかけが重要だと強調した。

 信濃毎日新聞社の畑光一読者センター長は、小学校4年の国語教科書で取り上げられている「新聞はこうして作る」の単元、同5年生の社会科の「新聞を知ろう」の単元に合わせて同社が独自に副読本を作成したことなどを報告した。

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全国の地方紙のNIE担当者らが参加した研修会=東京都中央区の共同通信社研修・交流センター

 (この記事は新聞に掲載されたものではありません)

月刊NIE@しずおか(第4号)
=「こそあど言葉」探す

2013年02月02日(土)付 朝刊


 NIE実践校指定1年目で、新聞活用の模索を続ける静岡市葵区の市立安西小(鈴木淑弘校長、児童345人)。学習目標に導くために、無理なく新聞を活用する方法とは―。国語の授業では、言葉探しを契機にニュースへの興味を喚起する仕掛けを試みる。

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 □授業拝見
 ■ニュースに興味きっかけづくり-静岡・安西小(VOL.2)
 「新聞の中の『こそあど言葉』を探してみましょう」。指示代名詞を学ぶ3年生の国語。沢田智之教諭(33)の呼び掛けで、児童26人が一斉に小学生向け新聞を広げた。
 「この」「あれ」「どれ」。児童が見つけた指示代名詞を発表すると、沢田教諭は「こそあど言葉にはたくさんの使い方がある」と特徴や使い分けを説明し、授業を締めくくった。
 授業に取り入れたのは、新聞の文字量の多さを生かした「言葉探し」。鉛筆で丁寧になぞりながら文字を探す姿が見られるなか、アルジェリア人質事件の記事を見つけた児童が「この事件知ってる」とニュースの内容を周囲に話す場面もあった。
 授業後、「こそあど言葉を探しながら、記事の内容も読んでみた人は」と沢田教諭が問うと、手を挙げた児童は約半数だった。「文字探しの目的で新聞をじっくりと見ているうちに、記事の内容に興味を持って踏み込むことができるよう導きたい」と今後の課題を示した。
 国語学習の中でも、言葉や作文を学習する過程で新聞活用の可能性を見いだす。学習指導要領の改訂により盛り込まれた俳句や短歌などは「新聞の投稿欄なども活用できるかもしれない」と構想する。
 低学年から高学年まで、発達段階に応じて新聞の活用法は全く異なる。中でも3年生は、「難解な漢字や難解な言い回しから親しみが湧きにくく、内容に深く踏み込んでの活用は難しい」という。「どのような方法で新聞に触れるかが重要。実践を重ねていきたい」と話す。
 (次回は5月4日)
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新聞をじっくりと見ながら「こそあど言葉」を探す児童=静岡市葵区の安西小


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 □実践指定校教諭インタビュー=静岡サレジオ・小田辺恵教諭

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 ■どんな授業 
 6年生の社会科の授業などで積極的に新聞を活用している。まず、新聞に親しめるように、単元に関連する記事を児童に紹介し、要約文と感想を書く課題を出した。
 次の段階では読む力をつけるため、それぞれが関心のある社会事象を選び、約3カ月にわたって記事を集め、自分の意見とともに模造紙にまとめた。東日本大震災、米大統領選、オスプレイなどがテーマに挙がった。
 年度末までに、日本と関係の深い国々について調べて新聞形式にまとめ、発表会も開く予定。

 ■手応え・課題 
 読む力が鍛えられ、語彙[ごい]数も増えてきている。豊かなものの考え方を養うには多くの言葉を知るのが重要で、その点で新聞活用は有意義。児童は1年生の時から毎日、日記を書くなど文章力も磨いている。中学の授業では、新聞を使ったディベートなどを取り入れ、話す力も身に付けてほしい。

 ■静岡大会に向けて
 NIEの実践により、学校での学びと世の中の出来事を結び付けることができる。NIEを広げていくため、新聞がどんな場面で取り入れられるのか、多くの教員が学べる大会になってほしい。
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 ▽静岡サレジオ小
 静岡市清水区中之郷、児童374人。末吉弘治校長。指定1年目。

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 □実践指定校教諭インタビュー=磐田神明中・横井純夫教諭

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 ■どんな授業 
 主な取り組みは二つ。一つは自分の担当である社会科授業の冒頭5分間に交代制で生徒が気になるニュースを発表する「5分間キャスター」。二つは気になる新聞記事を集めて、中間・期末試験ごとで提出する「記事のクリッピング」。5分間キャスターではニュースの背景や世の中に対する分析力が養われる。クリッピングはスクラップ帳に貼り付けるやり方も一つだが、気になる記事の入った新聞ページごと集める方法を推奨している。

 ■手応え・課題 
 新聞は教科書と違って、世の中の出来事をタイムリーに知るためには最高の教材。中学生に新聞の読解力を要求するのは難しい面もある。だが、記事のクリッピングを通じて、生徒の分析力や解説力が付いているという実感はある。
 教育現場では周囲の理解も必要なのが正直なところ。教諭にはさまざまな事で時間的余裕が少ない。NIE活動に広がりを持たせたいが、解決すべき部分は多い。
 
 ■静岡大会に向けて
 少子高齢化社会を見据えて、子どものみならず一般の人々も加えて、新聞を読み込んでいく「地域NIE」という活動をしていきたい。そうした新しい考え方が提唱されることを期待したい。
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 ▽磐田神明中
 磐田市鎌田。生徒345人。時久直次校長。指定2年目。

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 □実践指定校教諭インタビュー=焼津大村中・石田勝彦教諭

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 ■どんな授業 
 「他とかかわり、自分の考えを深め、豊かに表現する生徒の育成」を目標に掲げる。
 実践指定校初年度は、新聞に親しむ活動が重点。朝読書の時間に記事を読んで感想を書いたり、放課後の帰りの会の時間に自分の選んだ記事を発表するなど、生徒が新聞に関心を持つ機会をつくっている。
 校内に新聞各紙を自由に読むことができる「NIEコーナー」を新たに設置し、生徒が気になった記事も掲示している。

 ■手応え・課題 
 生徒の反応は予想以上に良く、新聞に接触する機会は増えてきている。どの記事を選ぶかに生徒の個性が表れるのが興味深い。生徒に記事を提供する必要性もあり、教員らも以前より新聞をよく読むようになっている。
 国語などの授業で新聞の活用も徐々に始めているが、今後はもっと積極的に授業に導入していきたい。授業の方向性に沿った記事のストックが必要となるため、計画的な準備や対応が必要になる。
 
 ■静岡大会に向けて
 生徒が自分の考えを発信し、表現するところまで活動を高めたい。ほかの実践指定校もさまざまな工夫をしていると思うので、他校の取り組みからも学びたい。
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 ▽焼津大村中
 焼津市大村。生徒349人。鈴木哲郎校長。指定1年目。

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 ■授業・発表予定校 教諭ら情報交換 静岡大会打ち合わせ
 NIE全国大会静岡大会(7月25、26日・静岡市)で公開授業と実践発表を予定する県内小中高校の担当教諭らが1月22日、第2回打ち合わせ会=写真=を静岡新聞社制作センターで開いた。
 公開授業予定9校と実践発表予定9校の教諭や、県教委担当者らが出席し、授業・発表時間や会場の割り振り案について話し合った。司会、授業補助、児童・生徒の引率について他教諭の協力が可能か、助言者や記録者が必要か―なども検討課題に挙がった。小、中、高校に分かれて、授業のテーマ案や進行状況、発表方法などの情報交換も行った。
 3月12日に会場のグランシップを視察する。
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 ■ガイドブック「中学校編」

 静岡新聞社は中学校向けNIEガイドブック「新聞でこんなに学べる」(A4判、112㌻)=写真=を発刊した。5千部印刷、県内全中学校や市町教委に贈る。
 国語、社会、理科、英語、数学、道徳、家庭、保健体育、音楽、美術、技術の教科別にワークシートを掲載した。編集委員は県内実践教諭8人が務めた。
 「小学校編」は2011年度に作成し、県内小学校などに贈った。

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 ■茨城で全国高校NIE研究発表
 全国高等学校NIE研究会は3月23、24日に研究発表全国大会を茨城県水戸市の水戸女子高で開く。主題は「NIEでのばす学ぶ力」。初日は記念講演や研究授業「NIEを用いての道徳」、2日目は研究発表、実践報告、高校NIEへの提言などを行う。
 参加費1000円。問い合わせは同研究会事務局長の明治大付属中野八王子高・佐藤有さん<電042(691)0321>へ

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 □NIEワークシート
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