NIE関連記事

新聞の読み方学ぶ 情報の見分け方も
-藤枝市役所・女性職員有志

2013年08月10日(土)付 朝刊


 藤枝市役所の女性職員有志でつくる「竹の会」は9日、新聞の読み方を学ぶ研修会を同市役所で開いた。約20人が参加し新聞紙面などを題材に紙面構成や効率的に読むこつ、情報の見分け方を学んだ。
 講師は静岡新聞社ふれあい読者室の鈴木正美専任部長が務めた。鈴木専任部長は「公務員にとって大事なのは、信頼できる情報を市民に伝えること」と強調。さらに「インターネットのデジタルメディアの情報の出どころもまだまだ新聞が多い」と紹介した。
 山下智子さん(34)=同市大東町=は「普段は地域の話題しか読んでいなかったが、社会や経済などのニュースにも関心が湧いた」と感想を話した。
 同会は女性職員のスキルアップを目的に、行政や社会など各分野の専門家を招いて年に3度、研修会を開いている。
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新聞の読み方を学ぶ参加者=藤枝市役所

月刊NIE@しずおか(最終号)
=静岡大会「やさしいNIE」全国に発信

2013年08月03日(土)付 朝刊


 7月25、26日に静岡市のグランシップで開かれた第18回NIE全国大会静岡大会では、小中高校合わせて9校の公開授業に多くの参観者が集まった。県内3人の教諭に授業の「参観記」をお願いした。

 □公開授業を参観して
 ■新聞が学習意欲高める-静岡城北小(新英樹教諭/浜松花川小)

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 新聞をどのように授業の中で活用していくか、参観させていただいた静岡城北小・漆畑浩明教諭の実践の中に多くのヒントを見付けることができた。
 授業内容は、新聞記事を読んで見出しを付ける学習だった。印象的だったのは、子どもたちが記事の内容をよく読み込んでいるということだった。そして、その記事に合った見出しを全員の子が書くことができる姿は素晴らしいと思った。子どもたちに提示した新聞記事がタイムリーで、分かりやすい内容であったため、意欲的に活動ができたのであろう。
 NIEの授業をする上で、記事選びはとても重要であることが分かった。また、普段の学習の中で新聞に親しませていることもよく分かった。子どもたちが新聞を読むことを嫌がらないで、むしろ楽しんでいる、言い換えれば、新聞というツールが子どもたちの学習意欲を高めているということを参観をしてはっきりと実感した。
 新聞を使った授業を実践するためには、教師自身はもちろん、児童が新聞に興味をもち、その面白さを体験する必要があると考える。そのために、まずは教室に新聞を持ち込み、子どもたちが新聞に触れる機会を多く設けていきたい。単発的ではなく、長期的に子どもたちに新聞に触れさせる活動(新聞スクラップ作成や新聞記事をもとにしたスピーチ活動など)を通して、新聞好きな子を増やしていきたい。
 教師も子どもも、ともに楽しめる『やさしいNIE』を目指して、子どもたちと一緒に新聞と関わっていこうと思う。

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公開授業で、新聞の見出しについて話し合う静岡市立城北小5年生=静岡市駿河区池田のグランシップ
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 ■判断力育む有効な手段-付属静岡中(広沢真紀教諭/清水両河内中)

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 派遣という雇用形態について、時代の異なる二つの新聞記事の比較をきっかけにし、現在の日本の雇用に対する思いや考えをもつという、静岡大学教育学部付属静岡中学校・野沢康夫教諭の授業を参観させていただいた。
 授業の中で生徒たちがじっくりと新聞記事を読み、雇用に対する自分の思いについて、根拠を明らかにしながら意見を述べている姿が印象的だった。
 中学生にとって、働くということを実感としてとらえることは難しいと思うが、新聞記事を通じて人々の生の声に触れ、その当時の様子や現在の状況を直接感じることで、派遣という雇用形態に対する時代ごとの考え方の違いに気づき、思いをもつことができていたように感じられた。
 「中学、高校で自分の可能性を見つけていかなければいけない」という発言も聞かれ、この新聞記事が、今自分たちの置かれている状況や現代社会の問題点を自分のこととしてとらえ、雇用への関心を深めるきっかけとなったことがわかった。
 今回の授業は、思考、判断、表現、コミュニケーションといった力を育てるために、新聞が大変有効な言語活動の手段であることを実感させてくれた。生徒たちが社会への関心を高め、自分の思いや考えをもつ、きっかけづくりとして、今後はもっと気軽に新聞記事を活用した教育活動を実践していけたらと考えている。

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派遣社員を取り上げた新聞記事を使って公開授業を行う付属静岡中
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 ■「歴史」の考察効果的に-常葉学園高(牧野一高教諭/土肥高)

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 過去(世界史の知識)と現在はどのようにつながるのか。常葉学園高・塚本学教諭の公開授業では二つのNIE活動を通して、この問いに生徒が自ら取り組んでいた。
 授業前半は、与えられたテーマ(この日は「希望・期待」)に沿って新聞記事をノートにスクラップする作業であった。限られた時間の中、北朝鮮の拉致問題や高校野球の記事など、生徒はおのおの熱心に記事を探し、感想を綴った。生徒のノートは主に記事と感想だけの簡単なものだが、その蓄積はまさに生徒の歴史でもあった。
 「誤字・脱字は指摘せず、内容に関する評価はしない」と塚本教諭は言う。生徒の誰もが取り組み継続できる活動こそが「やさしいNIE」であり、世界史と現在をつなげる入口であると感じた。
 後半では、新聞記事をもとに「テロリズム」について考えた。事前にフランス革命におけるロベスピエールの恐怖政治やアルジェリア人質事件について学んだ生徒たちが、一つの記事を読み込み、周りと意見を交わしながら自分の意見をつくる。「テロ」という現代的課題を前に生徒の多くが苦戦していたが、これまでの学びを活かして自分の言葉を紡いだ。
 過去から現在(テロ)、現在から過去(フランス革命)の考察を、NIEが効果的に結び付けていたと思う。一方で、NIEに取り組む生徒の力量差も感じた。自分の勤務校では、段階別の問題設定や、事後指導の充実などを通して、生徒の誰もが達成感を得られる「やさしいNIE」を目指したいと思う。

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歴史と現代社会の結びつきについて、新聞を使って考える常葉学園高の生徒

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 ■大会を振り返って-子供の日常に新聞を(角替弘志実行委員長/県NIE推進協議会長)

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 「すそ野を広げるために NIE発祥の地・静岡からの提言」をまとめ、閉幕したNIE全国大会静岡大会。実行委員長の角替弘志県NIE推進協議会長に、大会の総括と今後の展望を聞いた。

 ―大会を終えての感想は。
 「スローガンに掲げた『やさしいNIE』は子供、実践者にとって親しみやすく、教材として優れているという意味。全体を通して、その趣旨を理解してもらえる内容だったと思う。NIEは、教科の授業外でも、集団でも、個人でも、さまざまな場面で使えることを公開授業や実践事例の発表で発信できた。パネル討論にはNIEの主人公である小中学生、高校生が登壇し、率直な意見を語ってくれた。子供と新聞との距離が遠くなっている現状があるようだ。新聞に関心がないわけではない。どうやって接する機会を増やすかが課題と感じた」

 ―提言には、「やさしいNIEを意識した新聞づくり」「新聞とデジタルとの連携」などが盛り込まれた。
 「やさしいNIEの前提には『やさしい新聞』がある。漢字が少ないとか表現が簡単ということだけではない。新聞は社会や私たちの生活をより良くし、安心を与える役割を持つ。つまり『人に対して優しい』。そういった新聞作りが求められている。インターネットとの関係については、データベースの活用などが主な検討課題。教員には、多様な方法で得られる情報を効果的に組み合わせ、教育に取り入れていく力がより必要になっていくだろう」

 ―大会後、どのような取り組みが必要か。
 「まずは、子供たちの日常に新聞を取り入れること。『学校に新聞がない』という声があるが、例えば、教員が何日か前に自宅で読んだ新聞を教室に置いてみてはどうか。新聞には時間がたっても有益な記事がたくさんある。小さな工夫を少しずつ積み重ねたい」

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 □参加者の声
 ■速報紙制作に達成感-丹野圭菜さん(静岡西高1年)
 速報紙「ふじのくに」を発行し、パソコンへの文章入力や見出しの手直しをした。締め切り時間があり、焦ったけど、達成感を味わえた。多くの人に受け取ってもらいうれしかった。

 ■来場者の取材は緊張-渡辺真未さん(富士東高2年)
 速報紙「ふじのくに」作りでは、来場者を取材した。声を掛けるタイミングが難しく、緊張したけど、新鮮な体験ができた。大会のことが読者にしっかりと伝わっていればうれしい。

 ■笑顔で受け付け業務-秋山果穂さん(静岡雙葉高2年)
 会場の受け付け業務で、来場した皆さんの名前を確認して、資料を手渡した。明るいあいさつと笑顔を心掛けた。全国の人たちが集まる大会なので、普段では味わえない体験ができた。

 ■生きる力へと変わる-宮本哲彦校長(浜松平山小)
 子供たちは新聞を読むことで世の中の事を知り、考え、考えを深め、調べるようになる。それが生きる力となっていくと思う。これから無理なく、少しずつ取り組んでいきたい。

 ■学年ごと導入に応用-岩科圭亮教諭(静岡新通小)
 NIEの授業への取り入れ方を学ぶことができた。新聞は読むだけでなく、児童の考えを発展させられると実感した。低学年には写真を使うなど、学年に応じた活用ができそう。

 ■生の話題活用は強み-塚本一弘教諭(藤枝中)
 身近な生の話題を教材にできるのが新聞の強み。原発事故に起因した放射能汚染の記事から放射線について生徒に考えさせた島田金谷中の試みに触れ、新聞を活用した授業の可能性を実感した。

 ■自立支援つなげたい-川北雅美教諭(京都西総合支援学校)
 文字を読めない生徒もいて、悩みながらNIEに取り組んできた。大会に参加し、励みになった。新聞は生徒との大切なコミュニケーションツール。自立支援につなげていきたい。

 ■見出しの重要性実感-川口加代子教諭(高知江ノ口小)
 これまでも新聞記事を読んで見出しを付ける授業などでNIEに取り組んできた。見出しを付けることで、何を児童に学んでほしいかを明確化することが重要だと再認識した。

 ■教員同士意識広げて-池之上博秋教諭(鹿児島南高)
 担当者の異動などで取り組みを学校で根付かせることは難しい。ポイントは実践する人が増えること。新任校で活動を伝えれば、より多くの教員に意識を広げることができると思う。

 ■丸ごと扱う視点新鮮-谷木由利さん(徳島県、NIEアドバイザー)
 今まで身構えすぎていた。特定の記事にこだわらずに新聞を丸ごと扱い、教員が子どもと一緒に疑問を持てば良いという視点が新鮮だった。

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 ■力作
 開会式のアトラクションに映像出演した焼津高書道部制作の書画=写真=が受け付け会場のグランシップ大ホールに掲げられた。富士山と大会スローガンを描いた縦3・5メートル、横5メートルの大作が参加者の目を引いた。

 ※「静岡新聞NIE」ウェブサイトからNIEワークシートをダウンロードできます。

新聞パネル展 NIE大会で巡回
-函南、4日まで

2013年08月02日(金)付 朝刊


 新聞に対する理解を深めてもらおうと、函南町上沢のかんなみ知恵の和館で1日、新聞パネル展(県立中央図書館主催、静岡新聞社共催)が始まった。4日まで。
 過去3年分の県学校新聞コンクールや新聞感想文コンクールの優秀作品を展示しているほか、静岡新聞の特集記事「月刊NIE@しずおか」も紹介している。
 7月25、26の両日、静岡市で開かれたNIE全国大会静岡大会に合わせた巡回展で、県内10カ所を回る。

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学校新聞コンクールの優秀作品が並ぶ=函南町上沢のかんなみ知恵の和館