NIE関連記事

新聞でSDGs考える 川根中 関連記事探しスクラップ-島田

2021年06月29日(火)付 朝刊


 島田市立川根中で28日、新聞を活用して持続可能な開発目標(SDGs)を考える授業が行われ、3年生25人が新聞の読み方や川根地域の歴史、魅力を学んだ。生徒は年間を通じてSDGsに絡めた探求テーマを設定し、地域課題の解決法などを考える。
 地元の工藤新聞店が同日から1週間にわたって静岡新聞を無償で提供し、学習に役立ててもらう。この日は矢沢和宏静岡新聞NIEコーディネーターが講師を務め、生徒は朝刊を読んでSDGsに関連する情報を探したり、スクラップの仕方を学んだりした。
 矢沢コーディネーターは大井川の成り立ちや歴史が川根地域の地名や文化に深く関わっていることを紹介し、「地元の良さを再発見し、世界的な課題のSDGsと結びつけることが地域の発展につながる」と呼び掛けた。

 

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SDGsを意識しながら新聞記事を確認する生徒=島田市立川根中

ICT 学び実践マイ新聞 記事まとめ レイアウト 吉田の全3小学校 本年度から新学習

2021年06月22日(火)付 夕刊


 新聞と情報通信技術(ICT)を教育に生かそうと、吉田町の全3小学校が本年度、1人1台配備されたパソコン端末を使って新聞を制作する学習に乗り出した。記事のスクラップを通して新聞に親しみ、社会の出来事への関心を広げながら主体的な学びの実践を目指す。

 「楽しく頑張った朝霧」「最後まで歩きぬいたぞ」-。10日、住吉小の5年生がキーボードをたたいて見出しを入力すると、画面に新聞のレイアウトが表示された。記事の素材にしたのは、富士宮市の県立朝霧野外活動センターで5月中旬に実施した自然体験教室。新聞制作ソフトを使い、大自然に触れた経験を記事にする作業に夢中になって取り組んだ。
 新聞を活用するのは総合学習の時間。5年生は防災が年間のテーマだが、この日は制作ソフトを使う練習も兼ね、自然体験教室での活動を取り上げた。児童からは「思い出が記事になった」との喜びや、「読む人を引きつける見出しを考えるのが大変だった」と難しさを実感する声が上がった。
 この取り組みはNIE(教育に新聞を)に力を入れる地元の塚本新聞店が町教委に提案して実現した。日々の記事をスクラップしながら学習を進め、新聞制作を通して学習のまとめを行うことなどを各校は検討している。児童へは一定期間、静岡新聞を同新聞店が無料で届ける。制作ソフトは静岡新聞社が購入し、各校に無償で提供する。
 町内小学校では本年度から、ICTの本格導入を図っている。町教委学校教育課の粂田真男課長は「自分のパソコンで本物に近い新聞を作ることができ、児童の学習意欲が高まる」と期待。記事を書くには対象テーマへの理解を深めることが不可欠だとして、「新聞とICTを組み合わせることで、より深い学びに到達できるはず」と狙いを語る。

 

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1人1台配備されたパソコンで新聞制作に取り組む児童=10日、吉田町の住吉小(画像の一部を加工しています)

 

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児童が操作する新聞制作ソフト。見出しを入力して写真を選択すると、レイアウトがパソコンの画面に表示された

児童「言葉の力」学ぶ 中川根一小で矢沢さん講演

2021年06月18日(金)付 朝刊


 川根本町の中川根第一小は17日、静岡新聞NIEコーディネーターの矢沢和宏さんを講師に招き、学校保健委員会を開いた。全校児童が矢沢さんの講義を聞き、「言葉が持つ力」について学んだ。
 矢沢さんは「友達と楽しく学校生活を送るために必要なのは前向きな言葉」と力説し、親しみやすいようにと「プラスことば」と名付けた。「前向きな言葉には人を笑顔にする、元気にする力がある」と児童に伝え、「マイナスことばを無くして、プラスことばを使っていこう」と呼びかけた。
 また、言葉を相手に伝える上で重要な点を「わかりやすく、簡潔に」と説明し、言葉を磨く練習として、新聞記事から見出しを考えるワークも行った。

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「言葉が持つ力」について力説する矢沢さん=川根本町の中川根第一小

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=記事きっかけ エコ実践 新聞で関心広く「社会問題 挑戦したい」 20年度新聞感想文 最優秀 浜松北部中・桂花穏さん

2021年06月05日(土)付 朝刊


 新聞は社会への視野を広げるきっかけ―。2020年度しずおか新聞感想文コンクールで最優秀賞を受けた浜松市立北部中1年の桂花穏さん(12)=受賞時は浜松市立泉小6年=の日常には、新聞が身近な存在になっている。6年生のころに読んだ「ごみ問題」に関する記事をきっかけに、実生活でも環境問題に対する活動に取り組むようになった。

 新聞を読むようになったのは4年生の時に学校の宿題で始まった自主勉強ノート。授業や私生活で興味のあった話題を自分なりにノートにまとめる作業を通じて、新聞を読み、切り抜きなども行った。今では、空いた時間を見つけては静岡新聞の日曜別刷り「週刊YOMOっと静岡」などに目を通し、見聞を広めている。
 6年生の1学期の授業で、ごみや地球温暖化などの環境問題について学び、「ほかにはどんな問題があるのだろう」と興味が膨らんだ。
 ある日、紙面を眺めていると、海中に沈んだ細かいプラスチックごみの分析効率を上げる新技術の記事が目にとまった。そこからプラスチックごみに関心を抱いた桂さんは「自分でもできることは何か」と考え、その気付きを感想文にまとめた。コンクール受賞以降、実際にプラスチックをなるべく使わない生活を心掛けたり、休日に浜名湖などを訪れてごみを拾ったりするようになった。
 中学生になって生活環境が変わっても、社会の情報を知る一つのツールとして新聞を活用することに変わりはない。桂さんは「少し目を通すだけでも、たくさんの知識が身に付くし、家族との話題も増える」と新聞の大切さを語り、「今後も、社会問題に対して自分なりに挑戦していきたい」と笑顔を見せた。
 
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本紙の日曜別刷り「週刊YOMOっと静岡」などを通じて見聞を広めている桂花穏さん=5月、浜松市中区
 
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■「しずおか新聞感想文コンクール」作品募る
 静岡新聞社は「しずおか新聞感想文コンクール」の作品を募集している。読解力や思考力、表現力を養い、地域への関心を高めることが狙い。対象は県内の小学4年生以上で、募集は小学生、中学生、高校生の3部門。2021年1月1日から8月31日までの新聞記事を読んだ感想を送る。締め切りは9月6日必着。詳細は静岡新聞社読者部内、同コンクール事務局<電054(284)8984>へ。
 
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■紙面授業 数学 公式誕生の背景学ぶ 数学 浜松学院中・高 村木晴絵先生
 最近、テレビなどでよく目にするようになった「オンラインツアー」や「バーチャルツアー」。インターネットを通じ現地を体験できる仕組みで、新聞紙面でも紹介されています。私も今年のゴールデンウイーク、ついに「世界遺産・エジプトのピラミッド・オンラインツアー」を体験しました。
 エジプトといえばピラミッド、スフィンクス、ラクダなど、連想できるものは数多くありますが、ナイル川もその一つです。ナイル川が氾濫するたびに土地の境界線をつくらなければならなかったので、土地の測量技術が発展したといわれています。「3辺の長さが3対4対5の三角形は、直角三角形になる」ことを利用して、縄に結び目をつくり土地の面積を測量するという考え方は、中学3年生で学ぶ「三平方の定理」を指しています。つまり、今から何千年もの昔に、既に数学の知識が用いられていたということが分かります。
 「数学が将来何の役に立つのか」。生徒たちに何度も尋ねられましたが、これは誰もが直面する壁です。
 現に、私自身も疑問に感じたことがありましたが、学生時代「数学=mathematics」の語源はギリシャ語で「mathemata(マテーマタ)=学ぶべきもの」と知り、将来役に立つのかを考えるより「数学は数楽、今学ぶことを楽しもう」という気持ちに変化していったのを覚えています。
 中学生や高校生は、数と式や関数、図形などの「数学」に取り組み、その中で数多くの定理や公式を学んでいますが、それらがどのような文化的背景、社会的背景から生まれたものなのかを学ぶ機会は多くありません。しかし、それを学べば、数学は社会生活を送る上で重要な役割を果たしていることを知り、違う角度から数学を楽しむことができるのかもしれません。

 県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。
 
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NIEアドバイザーのワンポイント講座(50)柔軟発想で教科と関連
 理科の授業で扱う地球の形や内部構造は、地震、火山を理解する上で重要である。
 函南町特産の「函南西瓜(スイカ)」目ぞろえ会の記事(静岡新聞5月25日付朝刊)に「たたいた音で分かる実の詰まり具合」とある。地震、火山は人間生活に影響を与える。地球深部を掘削して調べたいが、技術的に困難である。そこで授業で「スイカをたたいて中身を推定するように、地球内部は地震波の伝わり方を観測して調べている」と説明すると、硬い学習内容が軟らかく感じられる。
 地球表面のプレートが動いてできる「海溝」は、巨大地震の震源となる。地球最深の「マリアナ海溝」は、ニホンウナギの産卵場所、と浜名湖でのウナギ放流記事(静岡新聞2020年10月30日付朝刊)にある。「日本から約2千㌔南のマリアナ海溝で産卵し、ふ化した稚魚が黒潮に乗って日本沿岸にたどり着く」という。はるか遠くの海溝が身近に感じられる記述だ。
 授業は教科の専門性にこだわりがちだが、「農業」「漁業」と単純な思考で分類せず、柔軟な発想で新聞記事を活用したい。学習が身近な生活と関連することを発見させ、興味を持たせられるだろう。
 (静岡城北高・吉川契子)