静岡県NIE推進協議会

「友達や家族と新聞読もう!」
-9月まで記事感想・意見募集

2013年05月14日(火)付 朝刊


 日本新聞協会は第4回「いっしょに読もう!新聞コンクール」の作品を募集している。2012年9月15日以降の新聞を対象に、全国の児童、生徒に家族や友達と一緒に記事を読んだ感想・意見を寄せてもらう。応募は専用の用紙に限る。
 新聞協会が毎年募集している「HAPPY NEWS」のうち、学生部門を今回から「いっしょに読もう!新聞コンクール」に移し新たに「HAPPY NEWS賞」を設けた。
 県内作品の送り先は、県NIE推進協議会事務局(〒422-8033 静岡市駿河区登呂3の1の1、静岡新聞社ふれあい読者室内)。締め切りは9月13日(必着)。県内1次審査を行う。問い合わせは同事務局〈電054(284)9152〉へ。

月刊NIE@しずおか(第7号)
=「大きな数」イメージ

2013年05月04日(土)付 朝刊


 □授業拝見
 ■「大きな数」イメージ、まとめ学習へ活用模索-静岡・安西小(VOL.3)
 静岡市葵区の市立安西小(鈴木淑弘校長、児童335人)は新聞を活用しやすい社会や道徳だけでなく、さまざまな教科への活用を試みる。全国大会で公開授業を担当する沢田智之教諭は、4年生の算数の単元「大きな数」のまとめとして、兆や億など大きな単位が盛り込まれたニュース記事を取り入れた。

 教材は、授業日の朝刊1面トップ。高速道路の老朽化対策として、今後100年間に最大10兆6千億円を必要とする試算を報じる記事には、多くの数字が盛り込まれている。
 沢田教諭は、「高速道改修 最大10兆円」の見出しから「1日1万円ずつもらえるとしたら、10兆円もらうまでに何日かかるか」と問いかけた。「ニュースに表れる実用的な数字を通して、『大きな数』のイメージを膨らめてほしい」と狙う。
 授業の後半では、新聞の中から数字を見つける学習に取り組んだ。途中、沢田教諭が「どんなことが書かれているか、内容も読んでみよう」と呼び掛けると、児童から「記事が難しい」「数字がたくさんありすぎて大変」という声も漏れた。
 「数字を探し出す作業に終始してしまうと、道筋を立てて考えるという算数の授業目標には届かない」と沢田教諭は課題を明かす。2012年度の国語の授業でも、記事から指示代名詞を探す活動を取り入れた。「新聞の情報量の多さを生かして授業の導入に用いたが、その後、学習内容にどう結び付けるかを考えなければならない」
 新聞を用いた授業では、ニュースへの理解も求められる。今回の授業でも、記事にある「土木構造物」を地面、「改修」を修理と言い換えるなど言葉をかみ砕いて説明した。
 年間の実践を通して「児童の知識欲は旺盛」と感触を得ながら、「記事内容の読み取りや理解力、ニュースへの関心の高さに個人差がある」と授業の中に新聞を取り入れる難しさを実感してきた。
 全国大会では、地域の今昔をテーマにした社会科の公開授業を行う。無理なく、継続的な実践方法を探りながら、授業案作成に取りかかる。

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多くの数字が盛り込まれた新聞の特性を紹介する沢田智之教諭=静岡市葵区の安西小
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 □公開授業校教諭インタビュー=静岡中田小・中村都教諭

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 ■どんな授業 
 2012年度は担任を受け持った4年生を対象に週1回、スクラップの宿題を出した。児童は記事を読んで分かったこと、感想、疑問、提案などをワークシートにまとめ、日直当番の日には朝の会で発表した。
 ゲスト講師を招いた授業も行った。ロンドン五輪を取材したカメラマンや社説を書いている記者に、写真や記事に込めた思いなどを語ってもらった。「新聞は難しい、読み方が分からない」という概念を取り払い、自分から新聞を手に取れるような環境づくりに努めた。

 ■手応え・課題 
 新聞に親しみを覚え、スクラップなどを通して多くの情報を取り込めるようになった。一方で、その情報をどのように整理していいか分からない児童も多い。今後は、自分にとって必要な情報は何か見極める整理力、取捨選択能力が付くように指導をしていきたい。記事をきっかけに話す力も伸ばしていければ。

 ■静岡大会に向けて
 あくまでも新聞は教材の一部で、手段。児童の「やりたい」「調べたい」「発信したい」という気持ちを大切に、授業を展開したい。富士山など静岡県の自慢をテーマとして扱おうと予定している。
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 ▽静岡中田小
 静岡市駿河区中田。児童730人。橋本ひろ子校長。

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 □公開授業校教諭インタビュー=川根高・中園亮平教諭

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 ■どんな授業 
 現代社会を中心に授業の冒頭で新聞を導入している。国会と内閣、裁判所の三権分立を学ぶ授業で衆院選の記事を活用した。「小選挙区」「1票の格差」など、授業で使う単語が登場する紙面を読んでもらい、生徒の興味や関心を引き出そうと心掛けた。
 原発の再稼働問題についての各紙の社説を読み比べ、推進派と反対派に分かれて討論も行った。

 ■手応え・課題 
 世の中の出来事と授業内容をリンクさせたことで、日々の勉強をより身近に感じてもらえたはず。生徒が新聞に触れる機会を増やしていきたい。
 一方で、社会科以外では新聞導入に苦労している。特に時事問題とのつながりが薄い数学などは難しいことも。記事を探す労力も必要だ。新聞へのなじみの度合いにも生徒間で大きな差がある。

 ■静岡大会に向けて
 生徒がニュースに関心を持ち、社会性を高められる新聞導入方法を公開授業で紹介していきたい。
 今学期は、開通から1年経過した新東名の記事を使い、町に与える経済効果などについて話し合う活用法を検討している。
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 ▽川根高
 川根本町徳山。生徒176人。堀田英正校長。

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 ■「学び」発見―ふじのくにから「やさしいNIE」 全国大会「静岡からの提言」目指す、パネリストに児童や生徒も 
 NIE全国大会静岡大会(7月25、26日・静岡市駿河区のグランシップ)のスローガンは「『学び』発見-ふじのくにから『やさしいNIE』」に決定した。教諭にも児童・生徒にも保護者にも「やさしい」新聞活用を考え、富士山の裾野のように大きく広がるNIEを目指す。4月22日の同大会実行委員会で承認された。
 山口建県立静岡がんセンター総長による記念講演のテーマは「子どもたちへのおくりもの―豊かな心を育むために―」の予定。パネル討論は小学生、中学生、高校生各1人と教諭2人、保護者代表の計6人がパネリストを務め、形式にとらわれず本音の討論を行う。コーディネーターは日本新聞協会認定NIEアドバイザーの矢沢和宏島田市立川根中校長。
 2日目の公開授業は県内小中高各3校、実践発表は小中高計8校。それぞれ授業と発表後には、助言者として教委や新聞関係者らを交え意見交換を予定している。
 特別分科会では、初日の基調提案とパネル討論を受け「静岡からの提言」を議論する。矢沢校長の司会で、静岡市出身の高木まさき横浜国立大教育人間科学部長、谷野純夫県立中央図書館長らをパネリストに迎える。
 このほか、実践指定終了後の活動、地域NIE、特別支援教育のNIE、朝のNIEタイムをテーマにした特別分科会も組んだ。
 閉会式後に、初心者向けワークショップと全国アドバイザー会議もある。

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 ■新聞活用の教育的効果-19日、静岡で講座
 静岡新聞講座「教育に新聞を使おう~新聞から知るさまざまな知識」が19日午後2時から、静岡市駿河区谷田の県立中央図書館3階会議室で開かれる。受講無料。
 7月25、26日の第18回NIE全国大会静岡大会のプレイベントとして開催中の企画展「静岡発NIE ふじのくにの学校と新聞」(同図書館主催、静岡新聞社・静岡放送共催)の関連講座。講師は日本新聞協会認定のNIEアドバイザー山崎章成浜松市立曳馬小教諭。新聞紙面を使いながら、記事の読み方のコツや紙面構成の特徴を紹介し、新聞活用の教育的効果などについて説明する。難しい漢字を知らない低・中学年児童向けの新聞活用法などにも触れる。
 定員は70人。申し込み、問い合わせは県立中央図書館企画係〈電054(262)1246〉へ。

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 ■高校向けのガイドブック


 日本新聞協会はNIEガイドブック「新聞活用の工夫 提案」の高校編=写真=を発刊した。新学習指導要領の高校本格実施に合わせ、幅広い教科にわたり実践例を紹介した。

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 NIEアドバイザーや実践経験豊富な全国の高校教諭らが教科ごとに単元の狙いと学習指導要領との関連、新聞活用のポイント、指導計画を示した。スマートフォンなどで授業風景の動画が見られるマークの付いたページもある。A4判、104ページ。350円。
 購入問い合わせは日本新聞協会〈電03(3591)4403〉へ。

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 □NIEワークシート

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 2009年11月10日静岡新聞夕刊(静岡新聞社発行のガイドブック「新聞でこんなに学べる」より)

 ※毎月第1土曜に掲載します