静岡県NIE推進協議会

「楽しめるNIEを」 静岡大会成功誓う-県推進協総会

2013年06月16日(日)付 朝刊


 新聞を教材に活用する「NIE(教育に新聞を)」の普及を進める県NIE推進協議会(会長・角替弘志静岡大名誉教授)は15日、静岡市駿河区の静岡新聞社制作センターで総会を開いた。7月25、26日に同区のグランシップで開くNIE全国大会静岡大会の成功を誓った。

 角替会長は「誰でもどこでも無理なく楽しく取り組める“やさしいNIE”がテーマ。全国大会を新しいNIEの契機にしたい」と述べた。全国大会は日本新聞協会主催、県教委、静岡市教委、浜松市教委共催、県推進協議会と静岡新聞社の主管。パネル討論や県内小中高校の公開授業、実践発表、特別分科会を行う。
 本年度事業計画では「いっしょに読もう!新聞コンクール」(11月)や「実践報告会」(来年2月)などに取り組む。NIE実践指定校には新規と継続、奨励を合わせて18校を選出した。7月の日本新聞協会博物館・NIE委員会で正式決定する。

 指定校は次の通り。
 ▽新規 金谷高、浜松城北工高、静岡高松中、浜松積志中、裾野深良中▽継続 富士宮東高、掛川工高、浜松三ケ日中、焼津大村中、静岡安西小、静岡城北小、沼津原小、静岡サレジオ小▽奨励 島田高、常葉学園中・高、島田金谷中、静岡東源台小、浜松有玉小

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事業計画やNIE実践指定校を決めた総会=15日、静岡市駿河区の静岡新聞社制作センター

月刊NIE@しずおか(第8号)
=世の中の「なぜ」探す

2013年06月01日(土)付 朝刊


 □授業拝見
 ■世の中の「なぜ」探す 解明目指しさらに学習-浜松・三ケ日中(VOL.3)
 浜松市立三ケ日中(青木篤郎校長、392人)の小川高明教諭は、NIE全国大会で、新聞から課題をみつける―をテーマに公開授業を行う。5月の3年生の社会科の授業では、生徒に新聞記事から疑問を感じてもらう試みを実践。生徒が感じた疑問を授業で解明していく「学習の導入」として新聞を活用した。

 「幻の戦車探し街おこし」。冒頭、1枚の記事が紹介された。小川教諭の「浜名湖に戦車が沈んでいるのを知っている人は」との問い掛けに十数人の生徒が手を挙げた。
 「今日の課題は新聞を読んで疑問を見つけ出すこと」。小川教諭は、いずれも太平洋戦争に関連した北海道や磐田市、浜松市の出来事を取り上げた4枚の記事のコピーを配った。「記事から『なぜ』『どうして』という疑問点を挙げて」と告げた。
 生徒たちは、ペンで線を引きながら新聞を読み、考えをまとめた。個人の作業が終わると、5人ほどの班に分かれて互いの考えを発表し合った。
 次に、数人の生徒が疑問点をクラス全員に向けて発表した。「なぜ女学生も訓練したのか」「どうして犬まで出征したか」。回答は続々と出るが、小川教諭は「何か足りないのではないか」と指摘し、最後に男子生徒を指名した。生徒は「どうして特攻隊に自ら志願したのか」と答えた。
 「そう、志願。志願というのは、自分からやろうとすること。なぜ(米軍の戦艦に)突っ込んでいく、死ぬことを志願するのか」―。小川教諭は続けた。「この戦争は日本中、北海道も浜松も磐田も、最初に見せたようにここ三ケ日町も巻き込まれた」。そして「次回から第2次世界大戦を勉強します。今日、見つけてくれた疑問を解決していこう」と締めくくった。
 「新聞には教科書や資料集にはない人々の気持ちが紹介されている。生徒が知りたい、追究したいと感じやすい」と小川教諭は話す。「世の中の出来事から生徒に疑問を出してもらい、授業の中で深め、解決していく」と活用法を話した。

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記事を読んで感じた疑問を発表し合う生徒=5月16日、浜松市北区の三ケ日中

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 □実践発表校教諭インタビュー=浜松学芸中・大木島詳弘教諭

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 ■どんな授業 
 新聞のスクラップノートを活用している。1年生は好きな記事、2年生は歴史に関する記事をリレー方式で発表し、3年生は別の生徒が選んだ記事にコメントして発表という方式で実施している。
 情報があふれる現在、必要な情報を選び出す能力が求められる。新聞は受動的に読み流すのではなく、能動的に目的意識を持って記事を読むべきと考えている。

 ■手応え・課題 
 1年間のまとめの授業として1カ月分の新聞を使って、各国のニュースを切り抜き、体育館に変形の世界地図も作った。
 生徒は経済やスポーツなどさまざまなジャンルの中でも、地域によって偏りがあることに気付き、資源や産業など社会的な背景があることに驚いていた。生徒にとって日本と世界の関係が体験を通じて身に付くことにつながると実感できた。
 一方で略語や難解な用語の説明に時間がかかることも多かった。

 ■静岡大会に向けて 
 ダイナミックに生徒を動かし、動いた中で体感する授業を大切にしている。全国の先生たちにも新聞は目的意識を持って読むことが大切と伝えたい。
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 ▽浜松学芸中
 浜松市中区下池川町。生徒158人。大塚功校長。

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 □実践発表校教諭インタビュー=東海大翔洋高・川上博教諭

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 ■どんな授業 
 1年は現代社会、2年は総合学習、3年は学校設定科目を活用、新聞をスクラップして意見をまとめる授業や、インターネットの記事データベースを使って特定のテーマなどを検索する授業を行う。朝刊に載っている日経平均株価と為替相場を授業前に黒板に書いてもらい、授業の導入で時事ニュースと関連付けて考える時間を作っている。始業前の10分間の読書をその日の朝刊を読む時間に替え、自由に新聞に触れる機会も設けている。

 ■手応え・課題 
 記事の感想は個人によって大きな差があるが、3年間継続することで一人一人の能力は成長している。しずおか新聞感想文コンクールやニュース時事能力検定も合わせ、大学受験の小論文対策にもなる。どの教科でも新聞の活用は可能な一方、評価方法が確立していないのが課題。今後、興味を持った教員が取り組みやすい環境を整えることが重要だ。

 ■静岡大会に向けて 
 朝の新聞の時間やスクラップ、記事データベースを活用した授業における生徒の反応と成果を詳しく報告したい。多くの教員に聞いていただき、やってみようと思ってくれる先生が少しずつ増えてくれればうれしい。
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 ▽東海大翔洋高・中
 静岡市清水区折戸。生徒1082人(中等部含む)。高橋信由校長。

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 □実践発表校教諭インタビュー=静岡中央高・吉川契子教諭 

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 ■どんな授業 
 地学の授業で、学習内容に関連する科学記事を年間を通じて紹介し、教科書との関連を説明している。生徒が記事を読むことに慣れてきたら、科学記事のスクラップを行わせ、内容について興味を持ったことをインターネットや文献で調べ、感想を書かせる。
 実験観察を並行して行う、大学の教授等の出張講義をお願いする、校外学習・現地見学等を行うなど、実体験も取り入れて楽しく学べるように工夫している。科学ニュースに関心を持たせ、理科学習に対する意欲を高めることが狙いだ。

 ■手応え・課題 
 継続的に取り組むことにより、生徒は科学と日常生活の関わりに気が付き、理科学習の意義を悟り、学習意欲を持つ。課題研究的な活動にも積極的に取り組むようになる。
 学習の様子を新聞社に取材していただくこともある。生徒は、自分たちの学習活動が、外部の方にも認められたと受け止め、学習に対する自信を深めることができる。
 新聞を定期購読していない家庭が年々増えている。生徒が記事を読むのに慣れるまで、以前より時間がかかると感じる。

 ■静岡大会に向けて 
 富士山の裾野のように、NIE活動が一層広がることを期待する。そのためには、各発表者が、多様な活動成果をのびのび自由に発表することが大切だと思う。
 (現、県総合教育センター実務研修員)
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 ▽静岡中央高
 静岡市葵区城北。生徒2508人(定時制769人、通信制1739人)。吉沢勝治校長。

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 ■新聞に親子で親しむ方法学ぶ-島田の母親
 島田市内の小学生の母親26人が5月28日、静岡市駿河区登呂の静岡新聞社を訪れ、家族で新聞に親しむ「ファミリーフォーカス」を考えた=写真=。同社NIE担当者から取材や紙面作りの話を聞き、記事を使って親子一緒に勉強する方法を学んだ。
 島田市教委が市内の小学校・幼稚園の家庭教育学級長を対象に企画した。講話の後は、コンピューターによる紙面制作の現場や夕刊の高速印刷の様子も見学した。

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 ■読まれる新聞づくり講座
 「絶対に読まれる新聞を作ってみよう-テスト対策新聞作り-」と題した講座と実習が22日午後1時半から、静岡市駿河区登呂の静岡新聞社制作センターで開かれる。講師は日本新聞協会NIEアドバイザーの実石克巳静岡市立高教諭。県NIE研究会の会員のほか、NIE未経験者の参加も可。
 希望者は14日までに、県NIE推進協議会事務局(静岡新聞社ふれあい読者室内)<電054(284)9152>に申し込む。

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 ■きょうから参加受け付け 
 第18回NIE全国大会静岡大会の参加申し込みは1日から25日まで。日本新聞協会NIEウェブサイト(http://nie.jp/)から申し込む。静岡新聞NIEサイト(www.at-s.com/blogs/nie/)からも可能。県内教育関係者は参加無料。
 申し込みの問い合わせはSBSツアーズ〈電054(254)1552〉、大会全般は同大会実行委員会事務局(静岡新聞社ふれあい読者室内) 〈電054(284)9152〉へ。

 ※毎月第1土曜に掲載します

NIE全国大会静岡大会 参加申し込み1日から

2013年05月28日(火)付 朝刊


 第18回NIE全国大会静岡大会(7月25、26日・静岡市のグランシップ)の参加申し込みが6月1日始まる。
 大会スローガンは「『学び』発見―ふじのくにから『やさしいNIE』」。日本新聞協会主催、県教委、静岡市教委、浜松市教委共催、県NIE推進協議会と静岡新聞社が主管する。
 参加希望者は6月25日までに、日本新聞協会NIEウェブサイト(http://nie.jp/)から申し込む。県内教育関係者は参加無料。
 申し込みの問い合わせはSBSツアーズ〈電054(254)1552〉、大会全般は同大会実行委事務局(静岡新聞社ふれあい読者室)〈電054(284)9152〉へ。

 日程は次の通り。
 【7月25日】開会式(午後1時)▽記念講演 山口建・県立静岡がんセンター総長「子どもたちへのおくりもの―豊かな心を育むために」▽パネル討論 「NIEのすそ野を広げるために」
 【26日】公開授業・実践発表▽特別分科会▽閉会式
 (プログラム概要は6月1日付朝刊「月刊NIE」に掲載します)