静岡県NIE推進協議会

NIE全国大会 静岡大会参加1300人

2013年07月13日(土)付 朝刊


 第18回NIE全国大会静岡大会実行委員会(委員長・角替弘志県NIE推進協議会会長)は12日、参加申し込み状況をまとめた。教育関係750人、新聞社・新聞販売店関係450人と保護者や学生、韓国教育関係者など、合わせて約1300人が参加する。県内教育関係者は約320人。受け付けは同日締め切った。=関連記事29面へ

 大会は25、26の両日、静岡市駿河区のグランシップで開く。「『学び』発見―ふじのくにから『やさしいNIE』」をスローガンに、初日は山口建・県立静岡がんセンター総長の記念講演と児童・生徒、教諭、保護者によるパネル討論、2日目は県内小中高9校の公開授業と8校の実践発表、「静岡からの提言」など五つの特別分科会を行う。
 日本新聞協会主催、県教委、静岡市教委、浜松市教委共催、県NIE推進協議会と静岡新聞社が主管する。

県内18校正式決定-NIE実践校

2013年07月13日(土)付 朝刊


 日本新聞協会は12日、教育現場で新聞を活用する「NIE」(教育に新聞を)の2013年度実践指定校571校(昨年度より17校増)を発表した。指定は原則2年間で、授業などで新聞を活用してもらうため、一定期間の購読料を協会と各新聞社が補助する。

 県内の実践校は次の通り。
 ▽新規 金谷高、浜松城北工高、静岡高松中、浜松積志中、裾野深良中▽継続 富士宮東高、掛川工高、浜松三ケ日中、焼津大村中、静岡安西小、静岡城北小、沼津原小、静岡サレジオ小▽奨励 島田高、常葉学園中・高、島田金谷中、静岡東源台小、浜松有玉小

月刊NIE@しずおか(第9号)
=地元の課題掘り下げ

2013年07月06日(土)付 朝刊


 □授業拝見
 ■地元の課題掘り下げ 「空港」「新東名」を討論-川根高(VOL.3)
 県立川根高(堀田英正校長、176人)は本年度、新聞記事を資料に討論するディベート形式の授業を開始した。生徒はテーマに対して「肯定」「否定」の立場に分かれ、それぞれに有利な情報を新聞から仕入れる。「社会の出来事を地元に掘り下げて議論する」を目標に、論戦は日増しに熱を帯びてきている。

 「空の旅に向かう県民の利便性が大幅に向上した」「羽田のようなハブ(拠点)空港の機能がないため不便だ」。3年生の政治経済の時間に行った討論会。生徒は「静岡空港開港の是非」をテーマに意見を出し合った。事前に配布された空港関連記事のコピーを注意深く読みながら、激しい舌戦を繰り広げた。
 反対派が「搭乗率が当初予測より低く、県民全体の利益になっているとは言えない」と述べれば、賛成派は「世界遺産登録で富士山が注目を浴びる。空港の利用客も増えるはず」とすかさず反論。
 担当の中園亮平教諭(44)は「活発に意見が出て盛り上がった」と満足げに振り返り、昨年の修学旅行で同空港を利用したことを挙げて「自分の経験を通して経済を考えるちょうどいい議題だった」と分析した。
 川根高はNIE全国大会(25、26日・静岡市)の公開授業で、「新東名における経済波及効果」をテーマにしたディベートを披露する予定。中園教諭は「空港を扱った時は、川根本町に引き付けて討論する視点が足りなかった」と残念がる。「公開授業では新東名が町に与えた影響や、町に人を呼び込む方法なども踏まえた意見が出れば」と注文を付けた。
 公開授業を目前に控え、生徒は新東名の経済効果について書かれた記事を探す作業に取り掛かっている。「経済効果を大々的に取り上げる論調の記事が多いため、否定派は不利な戦いになる」と中園教諭はニヤリ。「『開通による効果を町民は感じていない』などの視点を持ち、何とか形勢を盛り返してほしい」と期待する。
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新聞記事を資料に討論を繰り広げる生徒=6月、川根本町徳山の県立川根高

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 ■インタビュー 子供の意見楽しみ-NIE静岡大会で保護者代表としてパネリストを務める尾崎行雄さん

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 NIE全国大会静岡大会のパネル討論「NIEのすそ野を広げるために」でパネリストを務める。2011~12年度、静岡市PTA連絡協議会長を務めた。高校3年の長女と中学3年の長男の父親。51歳、静岡市葵区。

 ―家庭ではどのように新聞に親しんでいますか。
 「子供たちや家族とは、地域の話題やスポーツの記事を見て会話が弾むことが多い。学校の取り組みについて情報を得る手段でもある。長女は論説やコラムなども読み、社会事象について理解を深めるとともに、文章の書き方も学んでいる」

 ―NIEにより得られる効果をどう考えますか。
 「新聞ではさまざまな分野の記事に触れられるため、語彙(ごい)力が増える。文章の読解力を鍛えることにもつながる。また、学校での新聞作りを通して、見やすさを含め、表現の仕方を学べる」

 ―パネリストとして静岡大会に期待することは。
 「今回、パネリストに子供や保護者を加えた点に意義がある。子供の意見を吸い上げることで、NIEの新たな方向性を探ることができると考える。NIEの活用法が全国に分かりやすく発信されることを期待する」
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 13日に静岡市駿河区で開かれる市PTA連絡協議会の10周年記念講演会の実行委員長としても、準備に駆け回る。

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 □寄稿
 ■指導者の背中そっと押す(望月和彦/県NIE研究会会長)

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 私たちの研究会では、NIEの実践者及び活動に関心のある方々が、自らの実践を持ち寄り、意見交換等により内容を深め合い、情報交換を通して、NIEの実践力を高めようとしています。また、これから始めてみたいと考えている方の参加も大歓迎で、実践者と自由に対話のできる雰囲気の中で、具体的な「取り組みへのヒント」を見つけ出すことができることが、この集まりの特徴でもあります。会の目的の一つは、NIEの素晴らしさをより多くの人たちに知ってもらい、仲間を増やしていくことです。
 実践者の中には、かつて推進協議会の指定校で経験を積まれて、学校を異動してもご自分で実践を進めている方々がいます。経験に裏打ちされたすばらしい内容で、NIEのよさや生き生きとした子どもの学びの姿が語られ、大いに参考になるものばかりです。
 そんな中、初心者の方からは、「子どもたちに新聞を読むという習慣がない、文章を読むこと自体に抵抗がある」「教材研究に時間がかかるのでは」など、自分が受け持っている子どもたちの実態からすると、「道のりは遠いような気がする」という声も聞かれます。活動の成果の部分だけを見ると、ある意味で圧倒されて、果たして自分にできるだろうかという思いをもたれてしまうのかもしれません。「いきなり、新聞記事から入らなくても、写真だけで進める方法もあります」「導入だけ、最初の5分間だけの活動でも十分効果があります」―実践者の言葉で、はじめの一歩を踏み出す勇気をもらう参加者もいます。
 今回の全国大会静岡大会が、「やさしいNIE」をテーマにしているとお聞きしました。興味がある、やってみたいと思う指導者の背中をそっと押していただけるような、そんな大会になることを期待しています。そして、その参加者の中から、私たちの仲間が少しでも増えてくれれば、幸いに思います。

 ■未来の「有徳の人」育てる(谷野純夫/県立中央図書館長)

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 NIEは、「教育に新聞を」と訳されますが、教育の中に入った新聞は、「教材」になります。教材としての主食は「教科書」ですから、NIEの「教材」である新聞は、副食と考えられます。主食と副食が、子供たちの血となり肉となって、心が育ち、思考力が高まるわけです。
 ところで、「教材」としての新聞の優位性は、何でしょうか。それは、教科書同様の客観性、中立性に加えて、日常性、即時性、記録性にあると思います。図書館の立場から考えて見ると、本と新聞・雑誌の関係に似ていると気がつきます。実は、図書館の資料には、図書資料と逐次刊行物という大きな区分けがあります。図書資料とは本のことを、そして逐次刊行物とは、新聞・雑誌のことを指します。特に、新聞は、毎日刊行される資料であり、「記憶の番人」と言われる図書館にとって、地域の記録の根幹を成すものとして大変重要です。
 図書館では、新聞は、縮刷版・オンラインデータベース・マイクロフィルム・CDといった様々な媒体で提供されています。利用者の皆様は、世界や日本、地域の情勢を知るだけでなく、他の資料と組み合わせて、歴史的な調査にも新聞を活用しています。NIEのEは、ここでは社会教育あるいは生涯学習ということになります。新聞は、図書館の資料であるとともに「学習材」として、県民の生涯学習の拠点という県立図書館の重要な機能を支えてくれているのです。
 新聞を読む習慣と読み方を身につければ、情報や言葉の荒海を進んでいくための心強い羅針盤を手に入れたも同然です。NIEは、新聞に親しみ、教科学習を深め、社会に目を開き、より良い生き方を探っていく子ども、即ち未来の「有徳の人」を育てます。今回の静岡大会により、NIEのすそ野が富士山のごとく広がることを期待します。

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 ■パネリストの6人顔合わせ-NIE静岡大会
 第18回NIE全国大会静岡大会でパネル討論を行うパネリストとコーディネーターがこのほど、初顔合わせの会を静岡市内で開いた。それぞれが普段の新聞との関わりやNIEに対する考え方などを話し、討論の進め方を話し合った。
 パネル討論は大会初日の25日、「NIEのすそ野を広げるために」をテーマに行う。パネリストは松岡賢史朗君(静岡西奈小6年)、小関萌可さん(静岡高松中3年)、山内花緒さん(清水東高2年)、高塚陽子教諭(浜松積志中)、稲村明教諭(町立清水小)、尾崎行雄さん(前静岡市PTA連絡協議会会長)。コーディネーターはNIEアドバイザーの矢沢和宏・島田川根中校長が務める。

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 ■学習のポイント、互いに取材

 県NIE研究会(会長・望月和彦静岡由比小校長)はこのほど、第7回定例会を静岡市駿河区の静岡新聞社制作センターで開いた=写真=。NIEアドバイザーの実石克巳静岡市立高教諭が講師を務め、「絶対に読まれる新聞を作ってみよう」をテーマに「テスト対策」を新聞形式にまとめる実習を行った。
 2人1組で互いに専門教科の学習のポイントを取材し合い、似顔絵や見出しで人の目を引く工夫をした。

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 □NIEワークシート
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