静岡県NIE推進協議会

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=全国大会静岡大会から3年 パネリスト その後

2016年08月06日(土)付 朝刊


 2013年のNIE全国大会静岡大会からこの7月で3年がたった。「NIEのすそ野を広げるために」をテーマに行った討論でパネリストを務めた松岡賢史朗さん(当時静岡西奈小6年)、小関萌可さん(同静岡高松中3年)、山内花緒さん(同清水東高2年)、稲村明教諭(町立清水小)、高塚陽子教諭(浜松積志中)、尾崎行雄さん(元静岡市PTA連絡協議会長=同市葵区)にその後の新聞との関わりについて寄稿してもらった。

 ■意見発信の方法学べた-松岡賢史朗 付属静岡中3年
 僕はこの3年間で新聞から少しだけ遠のいてしまいました。スクラップは続けていますが、頻度は落ちました。バスで通うのに時間がない、部活で忙しいというのが主な理由です。しかし、それでも新聞の国際欄、社会欄、日曜日は書評欄を読んで情報を集めています。
 パネリストとしての経験は、生徒会活動を重視する僕の学校の校風において、自分の意見を言うことに大いに役立っています。その意見の中にも、国会や世界情勢での出来事を照らし合わせたりしています。最近は総会がありませんが、もしあったなら英国のEU離脱や参院選と照らし合わせていたと思います。
 その中で大きいのは、大会に来て僕に手紙を出してくれた方がいたことだと思います。その方と文通しているうちに、自分の意見をよりはっきりと持てた気がします。そして、新聞の読み方、新聞からの意見の発信の仕方を学べたと感じます。その方に感謝を述べたいと思います。ありがとうございました。

 ■記事を題材にスピーチ-小関萌可 静岡高3年
 NIE全国大会から3年が経ち、私は高校3年生になりました。大学受験を約半年後に控え、毎日勉強に励んでいます。
 高校に入学してからも、私はなるべく毎日、新聞を読むように心がけています。あまり時間は取れませんが多くの記事を読むようにしています。また、高校3年生になってから、倫理の授業の始めに、生徒が新聞記事を題材にスピーチをして、それを聞いている人は感想や意見を書き、時事問題について考える、という活動が行われています。今年の4月から行われている活動ですが、熊本県の地震や参院選、英EU離脱などさまざまなニュースがスピーチの題材とされました。
 学生は勉強や部活に忙しく、ゆっくり新聞を読む機会があまり多くはないと思います。だから、このように授業を通して新聞に触れ合えるというのは良いことだと感じています。このような活動がさまざまな所で広がると、より多くの学生が新聞に親しみを持てるのではないでしょうか。

 ■新聞読む機会 大学で増-山内花緒 金沢大2年
 NIE全国大会静岡大会のパネル討論に出場して3年。当時は清水東高で新聞部の部長をしていたが、その後部活を引退し、卒業後は金沢大学に進学した。今は考古学を専攻しており、講義や実習などを楽しんでいる。
 新聞部を引退してからは新聞を作ることはなくなった。大学にも校内新聞があるが、主観的な意見を述べることを主旨としていて肌に合わず、入部しなかった。一方で新聞を読む機会については、高校時代よりも増加した。大学の図書館では、喫茶スペースに幾つかの新聞が置かれていて、自由に読むことができる。私に限らず、この場所で新聞を読む学生は多い。また、講義で新聞記事が教材として用いられることも少なくない。概して、大学生になってから新聞を読むことが増えた、という人が多い。
 NIEを通じてより早く新聞に親しんでもらうのが一番だが少なくとも大学生のうちに新聞を読む習慣がつくよう、さらに工夫していくことが大事だと思う。

 ■最新性に富む学習資料-稲村明 町立清水小教諭
 当時、静岡大会でお世話になった皆さま方には研修の機会をいただき感謝申し上げます。
 あの場でパネリストとして発言させていただいた、新聞記事も学習資料の一つ、という思いに今も変わりありません。特に社会科では教科書や市販の資料集よりも地方性、最新性に富んだ新聞の活用は不可欠です。使いやすいのはアットエスのワークシートです。発達段階に応じてルビもふられ、設問も付いて一人学習としても活用しやすいのですが...。
 昨年度、4年の社会科で河津桜の授業をすることになった時のこと。河津桜で町を活性化しようと努力や工夫をしている河津の方々の思いを伝える記事を探そうとアットエスを検索したのですが残念ながら適応資料なし。
 結局、河津桜を扱った県内ニュースやちびまる子ちゃんなどの映像を資料にしました。
 アットエスのワークシートの更新に期待を寄せながらも、私自身が資料となる新聞記事に日々敏感であらねばと思う今日この頃です。

 ■気軽に楽しくプチ実践-高塚陽子 浜松積志中教諭
 「『火星の衛星、天体衝突で誕生』この記事読んだ?」帰りの会でクラスの生徒たち(中3)に語りかけたのは、国語の授業で、小久保英一郎さんの書いた「月の起源を探る」を学習して間もない頃である。子どもたちは口々に自分の思ったことを言い始めた。
 私が、NIE全国大会静岡大会にパネリストとして参加させていただいてから、早3年が過ぎた。当時の私は、「生きた教材」である新聞の素晴らしさを実感しているものの、タイミングがつかめず、実践することは難しいと感じていた。
 3年たった今も実践発表をしてくださった先生方のような立派な実践はないが、日頃からいろいろな場で、臆することなく気軽に新聞を活用するようになった。実践してみると、思っている以上に活用の場が多いことを知った。また、そうしたプチ実践や新聞活用を楽しく感じている自分がいることも知った。この意識の変化こそ、自分にとっては大きな進歩であると感じている。

 ■家庭での有用意識向上-尾崎行雄 静岡市葵区
 NIE静岡大会の折に新聞活用についてさまざまな角度から学ばせていただいたことは、その後の新聞への関心をさらに高めてくれている。子どもにも読ませたい記事はコピーして、いつでも読めるようにして勧めている。
 進学した娘に尋ねると、大学でも授業に関連する記事を紹介するときに先生が新聞を使ったり、本人がレポート課題作成で利用したりしているようだ。息子の高校のPTA講演会でも塾の講師が、言語感覚を磨き表現力を身につけるために新聞コラム・社説の活用を勧めていた。新聞を読むことでコンテンツ(素養・背景知識)を豊かにし、語彙[ごい]を増やすことができ、その読書量と記述力は比例するということだ。ぜひ新聞活用で記述力もつけてほしい。
 また新聞は生き方をも学ばせてくれる身近な資料、そしてコミュニケーションツールとして小中学校での活発な利用と、家庭での有用意識を高めていくことが必要と感じる。

 最近は高校生新聞の記載面が気に入っている。今後も新聞の質を高め、NIEのさらなる推進を願っている。

 

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NIE全国大会静岡大会では、パネリストが教育現場で新聞を活用する課題や方策を議論した=2013年7月、静岡市内