静岡県NIE推進協議会

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=気になる記事 地域とシェア 住民と交流、世代超え意見交換 裾野高「まわしよみ新聞」

2020年03月07日(土)付 朝刊


 新聞を通じた地域との交流手段として、県立裾野高が1月下旬、新聞の切り抜きを基に意見交換する「まわしよみ新聞」を同校で開いた。1年生約200人と住民約30人がグループに分かれ、気になった記事を紹介し合って、感想や意見を共有した。

 生徒らは机に新聞を広げると、スポーツや事件、事故、コラムや読者投稿など気になった記事をチェック。身近な話題から国際問題まで自由に選んだ記事を切り抜き、思い思いに感想を語った。
 中国・武漢市で発生した新型肺炎関連の記事を取り上げる参加者が特に目立った。「人が集まる場所に行かない方がよさそう」「治療法が見つかっていないが東京五輪・パラリンピックは大丈夫だろうか」など、さらなる流行拡大や国際イベントの開催を危ぶむ声が上がった。このほか、「プロ野球選手の契約更新。年俸をたくさんもらえてすごい」「振り込み詐欺で高齢者が被害に遭っている。おばあちゃんが心配」などと率直な感想を発表した。
 本田凜さん(16)は「まわしよみ新聞は同じ記事でも人によって違う感想を持って楽しかった」と話す。普段はスマートフォンのアプリでニュースを確認していて「アプリでは興味のあるものを中心に読む。新聞はいろいろな記事が目に入るので便利」と今回の経験を通じてそれぞれの媒体の長所、短所を実感した様子だった。
 裾野市の会社員菊池勇一さん(55)は「新聞は世代間の交流のツールになる。自分は生徒の親世代。新聞の面白さを伝えたい」と述べた。
 同校の大端大教諭は「生徒と地域の方が記事を読んで思ったことを言い合うことで、地域との親密度を高めたい」と活動の意義を説明。若者の新聞離れにも触れ、「大人がどのように新聞を読むかを学び、手に取るきっかけになれば」と期待を寄せる。

 

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切り抜いた記事を紹介し、感想などを話す生徒=裾野市の裾野高

 

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机に新聞を広げ記事に目を通す生徒

 
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■紙面授業 商業 近未来都市への道 浜松啓陽高 増田正一先生

 浜松市のゆるキャラ、出世大名家康くんと出世法師直虎ちゃんは今も大活躍です。徳川家康は浜松発展の礎を築き、井伊直虎は大河ドラマで脚光を浴びて、観光客が多数訪れました。観光面では浜松ギョーザも名物になっています。残念ながら、2019年の世帯当たりギョーザ購入額は2位で、宇都宮市に首位を明け渡したことは新聞でも取り上げられました。浜松地域の温暖な気候は綿花栽培に適し、「織機」から「機械」の発展につながりました。繊維、オートバイ、自動車、楽器、光学など高度な技術力は、世界に名だたる企業を誕生させています。
 温暖な気候と長い日照は、お茶、ミカンなどの農作物だけでなく水産物にも恵みをもたらしています。こうした恵まれた環境の中で、地域経済は進化、発展を遂げてきました。
 今後、都市構想を練る中で、浜松が近未来型都市として一層の発展を遂げるには、人と人、人とモノ、人と企業などの「つながり」が、緊密で円滑に機能することが一層必要になります。それは発電エネルギー事業、農林水産・自然環境開発、水質保全、AIとロボット技術の融合であり、さらには市内周遊周回無人モノレール、シェアカー輸送、ドローン輸送などに必要な法律やインフラの整備です。そして、ポテンシャル相応の着想と創意工夫が不可欠になります。
 人々が暮らしやすく、それぞれが関わりを深め合える社会の構築を期したいという思いがあります。そこで大切なことは、「経済は経世済民」ということです。常に経済は、生活の基盤として「人のため」のものであることが第一条件なのです。
 さて、家康くん、直虎ちゃんに続く、「近未来型主要都市#浜松」の創生に登場する令和の創造者の一人は、あなたかもしれませんね。

 県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(36)「自分の個性」新聞で発見

 私の学校では、「個性輝く人」を目指しています。子どもたちには、「個性を輝かせ、新たな道をつくる人になろう」と言い続けています。
 ところで、どうしたら自分の個性を発見できるでしょうか。そんなとき、役立つのが新聞です。新聞は「社会の現実を知らせる窓口」であると同時に、「新たな生き方」を示し「未来を照らす希望」を伝える意義を持つと考えます。
 暗い記事が多いと思われがちな新聞ですが、実は未来を開く発見や個性的で魅力的な生き方がたくさん紹介されています。「新たな生き方に出合う」「自分の可能性に気付く」など、自分の個性を発見するチャンスが詰まっているのが新聞です。
 最近の記事でも、イモリ研究に情熱を注ぐ中学生「イモリ博士」、フランスで日本人初のミシュラン三つ星獲得など、「初めて」「挑戦」「個性」などを紹介した記事には魅力があります。自分にも新しい世界や新たな道を開く人になれそうな勇気が湧いてきます。
 そんな記事と出合い、「個性を輝かせて未来をつくる人」が次々と登場してくれることを心から願っています。
 (焼津豊田中・矢沢和宏)