静岡県NIE推進協議会

探究と対話 新聞で深める 問い探り解決する力を 京都でNIE全国大会

2024年09月01日(日)付 朝刊


 教育に新聞をどのように活用できるかを考える「第29回NIE全国大会」(日本新聞協会主催、京都新聞社など主管)が8月1~2日、京都市で開かれた。スローガンは「探究と対話を深めるNIE」で、約1200人の新聞・教育関係者が集まった。

 1日の全体会では、大会実行委員会の橋本祥夫委員長が基調提案で、ジェンダー平等を巡る課題や国際的な紛争など、答えのない問いに対して自らが探り解決する力を養う必要性を指摘。「インターネットや交流サイト(SNS)に情報があふれている時代だからこそ、新聞を使って立ち止まって考えたり、対話が生まれたりすることに意義がある」と語った。
 パネルディスカッションには、日本新聞協会NIEアドバイザーで京都教育大付属桃山中の神崎友子教諭らが参加した。神崎教諭は国語科で新聞記事の中から生徒が関心を持ちやすいテーマについて意見を述べ合う授業を実践しており、デジタル版の関連記事と動画も活用。「進めるにつれ、自分の考えを夢中で書いたり、身を乗り出して仲間の意見を聞いたりする姿が見られるようになった。新聞は子どもたちの対話や探究を促す『生きた教科書』だ」と話した。
 進行役の日本新聞協会NIEアドバイザー宮沢之祐さんも「新聞の役割は人と人、社会をつなぐこと。知ることで自分が変わり、世の中がちょっと良くなる」と語った。
 基調講演では、歴史学者の磯田道史国際日本文化研究センター教授が登壇。江戸時代、「往来物」と呼ばれる教科書などの刷り物が、庶民たちが文字を楽しむ習慣や世の中の知識を得るのに大きな役割を果たしていたことを紹介。人工知能(AI)が発展する21世紀においても必要なのは「自分で学び、好奇心を持ち続ける力」と分析した。
 NIEに取り組む学校を対象とした学習効果に関する調査で、実践により児童生徒は書く力や読む力が、教師は指導する力がそれぞれ伸びたとする報告もあった。
 2日は公開授業や実践発表が行われた。来年の全国大会は神戸市で開かれる予定。 

 

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第29回NIE全国大会で行われたパネルディスカッション=8月1日、京都市 

 


 <AIの裏かく賢さ必要> 歴史学者・磯田道史さん 


 磯田道史さんの講演要旨は次の通り。
 江戸時代の庶民が文字を読んで楽しんだ習慣は、往来物によるところが大きい。私は身分別実学教科書と言っていて、大工や商人、武士がそれぞれの職業教育の中で実学的に学び、専門用語や技を自然に得ていた。
 こうした実学職業訓練だけでなく、江戸の人々には文化教養の素地もあったため、つまらない社会にならなかった。さまざまな文人が旅をし、身分を超えた交流を通じて科学の知識を伝え、社会の発展を支えたと言える。既存の社会制度から逸脱した人の中から、次の世代に貴重と思われる価値を生む人たちが現れると伝えたい。
 現在は人工知能(AI)が出現し、500~1000年に1度の大きな変化が起きようとしているのは間違いない。
 AIが発展する時代では「AIの裏をかく賢さ」が重要だ。新聞を読ませ、それを子どもたちに考えさせてほしい。そのためには問いを立てる力や発想力、学び続ける好奇心が必要だ。さまざまな体験を重ねると、それだけ人間の思考はひらめく。だからさまざまな体験をすることが非常に大切だと思う。
 

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    磯田道史さん

 


 <国内外の紙面読み比べ> 高3生 公開授業 


 メディアが発信する情報とどう向き合うべきか-。京都先端科学大付属高校はジェンダーの多様性を切り口に、新聞記事を読み比べながら報道の背景や意図を考える3年生の公開授業を行った。
 複数の情報から自分の考えを導き出すことを目標とした論理国語の授業の一環。担当の伊吹侑希子司書教諭はジェンダーに関する記事を扱った国内外の新聞社の紙面を比較し、意見交換する機会を設けてきた。
 授業では4~5人のグループに分かれて発表した。日本と海外のジェンダー意識の違いを学ぶため、昨年10月に米国へ研修旅行に行ったグループは、その頃に発行された米国の3紙と日本の4紙を比較。女性政治家の写真が掲載された回数は日本の方が少なかったとして、「日本の紙面に女性政治家が登場する機会が増えれば、社会全体の意識も変わると思う」などと話した。
 別のグループは、3月8日の国際女性デーについて、日本の新聞がどのように取り上げたかを調べた。ある大手新聞社では、今年の扱いが過去3年の中で最も大きかったことや、題字にシンボルカラーのミモザ色を取り入れていたことなどを指摘。背景について「同性婚をめぐる裁判などジェンダーの話題が多かったことが影響しているのでは」「ジェンダーの多様性を実現しようという編集者の意図が読み取れる」などと分析した。
 授業を終え、伊吹司書教諭は「教科書にはない新聞の強みは、読み比べることで大量の情報を多角的にとらえる力を養えることだ。社会問題を自分事としてとらえた上で、自分の意見を根拠付けながら相手に伝える力も身に付いていると感じる」と振り返った。 

 

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NIE全国大会の公開授業で意見を発表する京都先端科学大付属高校の生徒たち=8月2日

デジタルでも新聞読む習慣を 京都大会閉幕 実践報告や公開授業

2024年08月03日(土)付 朝刊


 京都市で開かれた第29回NIE(教育に新聞を)全国大会は2日、デジタル版を通して新聞を読む習慣を育む実践などを報告し、2日間の日程を終えた。スローガンは「探究と対話を深めるNIE デジタル・多様性社会の学びに生かす」。来年は神戸市で開催する。
 京都市立西京高付属中の国語の公開授業では、太平洋戦争の背景などを理解するため、戦争体験者の証言や、日米の思惑を戦後に振り返った複数の記事を扱った。2年の松田航輝さん(13)は学習端末でデジタル版を読み、日本に有利な戦況を喜ぶ市民もいたと知った。「さまざまな意見に触れて時代を多面的に捉えることができ、考えが深まった」と話した。
 京都教育大付属桃山小の井上美鈴教諭(40)はデジタル版を使って6年の授業で毎週、お気に入りの記事を発表する時間を設けてきた。紙の新聞を読む習慣がない子どもたちが学習端末を通して記事を読むようになったと紹介した。
 大会実行委員会の位藤紀美子顧問は閉会式で「日常生活での活用にはまだ課題がある」と説明。日本全体でNIEを盛り上げていきたいと強調した。

探究と対話 新聞で 京都で全国大会開幕

2024年08月02日(金)付 朝刊


 教育現場で新聞を活用する「NIE(教育に新聞を)」の実践報告をする第29回NIE全国大会が1日、京都市で開幕した。スローガンは「探究と対話を深めるNIE デジタル・多様性社会の学びに生かす」。日本新聞協会の中村史郎会長は開会式で「子どもが自ら問題解決する力の養成を後押しする手法の一つが新聞活用だ」と強調した。大会は2日まで。
 県内からは県NIE推進協議会の安倍徹会長とNIE実践指定校の教諭やNIEアドバイザー、新聞関係者ら約20人が参加した。
 パネルディスカッションが行われ、学校教員や研究者らが新聞活用の意義を議論した。シンクタンク「スマートニュース メディア研究所」の長沢江美研究員は「玉石混交の情報社会で、子どもがメディアごとの特性を知り、生き抜く力を身に付けるにはNIEの活動が効果的だ」と話した。
 子どもの新聞離れを止めるため、記者個人の苦労や思いを伝える取り組みが有効ではないかとの意見もあった。
 基調講演では歴史学者の磯田道史さんが、江戸時代に瓦版などを見て知識を得ていた庶民の学びを紹介。人工知能(AI)が発展する21世紀では「AIの裏をかく賢さが重要になる」と述べ、新聞も時代に合わせて伝える内容を工夫すべきだとの見方を示した。 

 

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第29回NIE全国大会で行われたパネルディスカッション=1日午後、京都市

実践指定校に14校 県推進協 初の視覚支援学校も

2024年06月23日(日)付 朝刊


 新聞を学校教材に活用するNIE(教育に新聞を)の普及に取り組む県NIE推進協議会は22日、本年度総会を静岡市駿河区の静岡 新聞放送会館で開き、実践指定校14校の推薦を承認した。
 本年度の新規実践校6校には、沼津視覚特別支援学校(沼津市)も推薦される。視覚障害の特別支援学校がNIE実践校に名を連ねるのは県内初。安倍徹会長は「視覚障害のある子どもたちにNIEをどう実践するか。今年も(NIEの)方法論が気概を持って展開されると思う」と期待を込めた。
 指定実践校に推薦された14校は、7月の日本新聞協会NIE委員会で正式に承認される。各校で2年間にわたりNIEに取り組み、最終年度の2月に担当教諭が報告を行う予定。 

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抱負を述べる新規実践指定校の担当者ら=22日午後、静岡市駿河区の静岡 新聞放送会館 

 

  指定校に承認されたのは次の通り。 


 ▽新規 東伊豆熱川中、静岡清水第六中、御前崎中、浜北北部中、桐陽高

▽継続 熱海泉小、静岡由比小、袋井南小、浜松初生小、静岡サレジオ小・中、浜松開誠館中・高、磐田北高、浜名高

思考力育成に活用 県内実践校が成果報告

2024年02月18日(日)付


 学校教育の教材として新聞を活用する活動(NIE)を進める県NIE推進協議会(安倍徹会長)は17日、県内のNIE実践指定校を集めた報告会を静岡市駿河区の静岡新聞放送会館で開いた。伊豆土肥小中一貫校、富士見中、清水飯田中、藤枝広幡中、浜松春野中、静岡北特別支援学校南の丘分校の計6校が参加し、担当教諭が成果や課題を報告した。
 各校に共通して新聞を購読していない家庭が増えて新聞がなじみの薄い存在になっているとして、複数紙を常備したNIEコーナーの設置や朝読書の時間を使って記事を読むなど、児童生徒が新聞に触れ合う取り組みを紹介した。紙面を読み込んで見出しをつけたり、互いに興味を持った記事の紹介文を作成したりと、新聞の活用で子どもらの論理的思考力や長文読解力を育成しようとする実践内容も目立った。
 新聞紙自体に着目して掃除やレクリエーションに利用した学校や、模擬記者会見を通じて情報を聞き出す力を養おうとした教室もあった。課題として、新聞を読む習慣をつける難しさや、NIEの成果を他の授業と区別して単独で検証できないことなどが上がった。

 学校図書館と新聞 フォーラムで議論 23日、日本新聞協会
 日本新聞協会は23日午後1時半から、NIE教育フォーラム「学校図書館×新聞 主体的で深い学びを実現するために」をオンライン形式で開く。参加無料。
 学習指導要領が情報活用能力の育成を重視し、学校図書館には読書活動の場だけでなく「学習・情報センター」の機能が求められている。子どもたちの主体的な学びを支えるため、学校図書館が果たす役割や環境整備、新聞活用の可能性について、大学図書館長や教育委員会らのパネリストが議論する。
 参加希望者は21日までに、同協会NIEウェブサイト(https://nie.jp)へ申し込む。 

 

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NIEの取り組みを紹介する教諭ら=17日午後、静岡市駿河区の静岡新聞放送会館 

 

月刊一緒にNIE@しずおか・第1日曜掲載=科目に応じ 活用多彩に 藤枝・広幡中 公開授業

2024年01月07日(日)付 朝刊


■科目に応じ 活用多彩に 藤枝・広幡中 公開授業

 国語 キーワード捉え 要約文作成

 保健体育 健康の話題 日常と関連付け

 英語 英字新聞 ニュース動画視聴

 

 NIE実践指定校の藤枝市立広幡中で昨年11月に行われたNIEの研究発表会は、特別支援学級を含む1~3年全10クラスの授業を公開した。国語や数学、英語、保健体育などさまざまな教科における新聞の活用例を紹介した。

 

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タブレット端末を使って新聞記事を要約する生徒=藤枝市立広幡中

 
 同校のNIE実践は2年目。「1年間に本を読むことがない」という生徒が半数を超える実態を踏まえて、記事を読み論理的思考や文章力を養う目的で取り組んでいる。柳本雅弘校長は「生徒がさまざまな事象に触れるためには、教職員一丸で進める必要がある」と強調。自らも新聞に写真を投稿するなど、生徒が新聞を身近に感じられるよう積極姿勢を見せる。
 1年生の国語の授業では、文意を要約する単元で新聞記事を使った。石橋直明教諭(27)がキーワードを抜き出したり熟語を用いたりすることで短く分かりやすい文章で伝えられると指導。ネット上のコミュニケーションも踏まえて「文章を読む時にはその意味を理解するだけでなく発信される意図も考える必要がある」と指摘した。生徒は、イスラエルとイスラム組織ハマスの対立や新型コロナウイルス禍の影響、米大リーグ大谷翔平選手についての記事の要約に挑戦。タブレット端末で要約文を作成した。樋川翔大さん(13)は「要約のポイントが分かった。印象に残った新聞記事や文章のキーワードを抜き出してまとめておけば、後から見返すことができそう」と話した。
 2年生の保健体育は、生徒がそれぞれ選んだ健康に関する記事を基に日常生活で意識すべきことを発表した。県内で危険ドラッグの販売店が再確認されたという記事を選んだ生徒は「手軽に入手できるため依存性が高い」などと自分で調べた内容と合わせて、「(一掃のために)自分たちができることは少ないが、知識を持って生活すべきだと思う」と意見を述べた。がん治療の経済的負担や心臓病の記事から、運動習慣とバランスの取れた食生活の重要性を説く生徒もいた。

 

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健康に関する新聞記事を基に意見交換した2年生の保健体育の授業

 
 3年生の英語の授業は導入として英字新聞のニュース動画を視聴。特別支援学級でも、記事内の単語の意味や漢字を辞書で調べながらワークシートを記入した。
 (教育文化部・鈴木明芽)

 
               ◇........................◇ 
 

■紙面授業 国語 感性育む四季の大切さ 静岡大成中・高 中山龍一先生

 「百人一首」の中に「奥山に紅葉[もみじ]踏みわけ鳴く鹿の声きく時ぞ秋は悲しき」という歌があります。この歌は秋のどことなく悲しさを感じさせる季節感を「紅葉」や「鹿の声」という存在で表現しており、聞いたことのある方も多いかと思います。
 昨年の夏は世界各地で記録的猛暑となり、国連のグテレス事務総長は「地球沸騰化の時代が到来した」と警告しました。静岡県では11月に入り25度以上の夏日を記録し、秋らしい陽気も束の間、冬が到来したはずが、12月にも25度近くを記録しました。気候変動によって日本の「四季」が「二季」になるのではないかというニュースに、秋がなくなってしまったら、四季それぞれの美しい自然の姿に育まれてきた豊かな感性も失われてしまうのかと危機感を覚えてしまいます。
 「枕草子」の「うつくしきもの」の一つに、小さな塵をめざとく見つけた幼子が大人一人一人にそれを見せて回る場面があります。幼子は自分の思った通りに見つけたものを大人に見せて回るわけですが、実は大人にとってそれは大したものではありません。しかし、その愛らしい姿を見て、きっと「よく見つけたね」とか「すごいね」といった声をかけていたと思います。そうすると幼子はまた違うものを見つけては大人に見せ、新たな世界を広げていきます。これこそが感性の原点なのだと思います。
 「感性」は「自分の感情を大切にすること」と「自分の世界を広げること」を日頃から意識することによって、筋力トレーニングのように鍛えられていくものだと思います。だからこそ、さまざまな姿を見せてくれる四季の変化は感性に良い影響を与えるものであると感じています。 
 日本の四季を守るということは、その豊かな感性を守っていくことと同義であるのではないでしょうか。
※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 
               ◇........................◇ 
 

■NIEアドバイザーのワンポイント講座(78)言葉と出合う クロヌリハイク(中村都教諭/静岡千代田小)

 小学3年生を担任しています。国語で俳句を勉強した後、クロヌリハイクに挑戦しました。これは、昨夏行われたNIE全国大会松山大会で考案者の方が披露したものです。
 俳句は、季語を入れて四季の情景や自分の思いを五七五で詠みます。一方、クロヌリハイクは、一つの新聞記事から季語とそれに結び付けて使えそうな言葉を探し出して五七五にし、使わない部分を黒く塗りつぶすのです。
 俳句と違い、文中から言葉を抜き出して作るという制約があるので、使いたい言葉が使えるとは限りません。しかし語彙[ごい]の少ない子どもたちにとっては、記事を読むことで、今まで知らなかったたくさんの言葉に出合うことができるのです。意味が分からなければ、その都度、国語辞典で調べ、選んだ言葉を再構成し作品を完成させました。
 クロヌリハイクは、記事を読んで感想や意見を言い合うというものではありません。しかし、何度も記事を読み返すことで、言葉にこだわりながら文章を読むことができるようになります。クロヌリタンカとしても応用が利くので、どちらも挑戦してみてはいかがでしょうか。

キーワード押さえ効果的に 藤枝・広幡中 公開授業で記事要約

2023年11月30日(木)付 朝刊


 新聞を教材として活用するNIE実践指定校の藤枝市立広幡中で29日、研究発表会が開かれた。1~3年全10クラスの授業を公開し、数学や保健体育、英語などさまざまな教科での実践例を紹介した。

 

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記事からキーワードを抜き出し、要約する生徒=29日午後、藤枝市上当間の市立広幡中

 

 1年生の国語の授業では、26人が新聞記事を要約する作業に取り組んだ。イスラエルとイスラム組織ハマスの対立や米大リーグ大谷翔平選手に関する記事の内容をタブレット端末を用いてまとめた。グループごとに互いの文章を読み、感想を述べ合った。石橋直明教諭(27)は、文章の意味と発信する意図について考えたり接続語の役割を学んだりしたこれまでの授業を踏まえて「大切な事柄はキーワードを盛り込んだ短い文章で伝えると効果的」と説明した。
 市内外の教員ら約20人が参観した。同校では全教職員がNIE実践に取り組み、同日以外も新聞を活用した事例を校内発表する。

新聞活用の授業公開 29日藤枝・広幡中 参観者募集

2023年11月06日(月)付 朝刊


 県NIE推進協議会は29日午後1時半から、藤枝市立広幡中の全10クラスで、新聞を活用した授業を公開する。授業後は意見交換会も開く。
 同校は日本新聞協会のNIE実践校として指定を受け2年目。11月のNIE月間行事として行う。参観希望者は15日までに、県NIE推進協議会事務局<電054(284)9152>に申し込む。

実践指定 14校承認 県推進協 静岡で総会

2023年06月25日(日)付 朝刊


 新聞を学校教材に活用するNIE(教育に新聞を)の普及に取り組む県NIE推進協議会は24日、本年度総会を静岡市駿河区の静岡 新聞放送会館で開き、実践指定校14校を承認した。
 本年度の事業計画には11月に藤枝市立広幡中でNIE公開授業を開くことなどを盛り込んだ。安倍徹会長は同協議会の活動に関し「皆さんに日頃の思いを話してもらい、今年度あるいは来年度の事業に反映したい」と呼びかけた。教育への活用の是非が議論されている生成AIについても言及し、活用方法次第ではないかとする考えを示した。
 実践指定校に決まった14校は7月の日本新聞協会NIE委員会で正式に承認を受ける。8校が新規指定で6校が継続2年目。各校の担当教諭らは「新聞を通して世の中に関心を持ち、そこから自分の意見を組み立てて社会に貢献する生徒を育てたい」などと語った。
 
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抱負を述べる新規の実践指定校の担当者ら=24日午後、静岡市駿河区の静岡 新聞放送会館
 
 指定校は次の通り。
 ▽新規 熱海泉小、静岡由比小、袋井南小、浜松初生小、静岡サレジオ中、浜松開誠館中・高、磐田北高、浜名高▽継続 伊豆土肥小中一貫校、富士見中、静岡清水飯田中、藤枝広幡中、浜松春野中、静岡北特別支援学校南の丘分校

【動画あり】県内8校 活用例など報告

2023年02月26日(日)付 朝刊


 教育に新聞を活用する活動に取り組む県NIE推進協議会(安倍徹会長)は25日、静岡市駿河区の静岡 新聞放送会館で、県内の実践指定校8校による報告会を開いた。河津南小、静岡中島小、牧之原萩間小、浜松上島小、静岡大成中、浜松学芸中・高、御殿場南高、藤枝東高が登壇した。

 

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自校での取り組み事例を発表する教員=25日午後、静岡市駿河区の静岡 新聞放送会館

 
 小学校では、まだ漢字が読めない1年生の場合、目を引いた掲載写真を探すことを通して新聞に触れる機会を設けるなど、学年ごとの学習内容や成長段階を踏まえた取り組みが報告された。3年生の算数で紙面で洋数字と漢数字の表記の違いを見つけるなど、教科と連動した授業展開も目立った。6年間の系統性を見据えて授業に工夫を凝らす半面「学年によっては漢字や内容を理解するのに支援が必要になる」との指摘もあった。
 中学校ではSDGsやキャリア教育など多様な分野で生徒自身が記事を選び、理由を語る場を設けるなどして主体性を伸ばす試みが多かった。高校では、生徒が新聞に親しむ行事を発案した事例や、地域社会の課題を議論する際に新聞を参考資料として活用したり、大学入試対策に利用したりしたケースが発表された。ICT(情報通信技術)教育が普及する中「紙媒体よりも記事データベースの方が使い勝手が良い」など、教育現場からの感想も報告された。
 (社会部・大須賀伸江)

 静岡市内で2023年2月25日に開催された、静岡県NIE推進協議会主催「2022年度NIE実践報告会」の報告動画です。2年間のNIE実践を終了する小学校・中学校・高校の計8校が報告しました。学校での新聞活用の参考事例としてご覧ください。

▽河津町立南小学校(土屋晃子教諭)

▽静岡市立中島小学校(伊東一磨教諭)

▽牧之原市立萩間小学校(絹村雅昭教諭)

▽浜松市立上島小学校(笠原吏沙教諭)

▽静岡大成中学校(片井奈美教頭)

▽浜松学芸中学校(大場裕幸教諭)

▽静岡県立御殿場南高校(芹澤光教諭)

▽静岡県立藤枝東高校(深澤拓教諭、矢代哲子教諭)

英字新聞活用記事熟読 静岡大成中で公開授業

2022年10月29日(土)付 朝刊


 NIE(教育に新聞を)実践指定校の静岡大成中(静岡市葵区)で28日、新聞記事を教材にタブレット端末を使った授業が公開された。県内の小中学校の教員ら約30人が参観し、教育現場での新聞の活用法について理解を深めた。

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新聞記事に対する意見を英語でまとめた生徒=28日午後、静岡市葵区の静岡大成中

 吉永光希教諭(48)は3年生約20人に対して、世界のニュースを紹介する英字新聞を活用した英語の授業を展開した。ペアになった生徒らはタブレット端末で「エリザベス女王国葬」「ロシアがウクライナ侵攻」などの記事を熟読。英語で関係代名詞を使うことを意識しながら意見をまとめた。
 生徒は今後、学習ゲームアプリを使い、記事に関するクイズを英語で作成する。吉永教諭は「楽しみながら新聞を読み、長文を速く読み解く力を身に付けさせたい」と話した。
 新聞の天気図と観測データを使った理科の授業も公開された。

実践指定校に14校 県推進協 総会で選定

2022年06月26日(日)付 朝刊


 新聞を学校教材に活用するNIE(教育に新聞を)の普及に取り組む県NIE推進協議会は25日、本年度総会を静岡市駿河区の静岡新聞放送会館で開き、実践指定校14校を選定した。
 安倍徹会長は「各校で新聞に接した教員が、子どもたちに問いかけ、子どもたち自身も自ら考え発信するような教育活動が求められている」と述べた。
 本年度は、8月に宮崎県でNIE全国大会を3年ぶりに対面で開催するほか、10月下旬にNIE教育の公開授業も行う予定。
 実践指定校に選出された14校は、7月の日本新聞協会NIE委員会で正式に承認を受ける。実践指定校の担当教諭は「キャリア教育の柱として取り入れる」などと抱負を述べた。
 指定校は次の通り。
 ▽新規 伊豆土肥小中一貫校、富士見中、静岡清水飯田中、藤枝広幡中、浜松春野中、静岡北特別支援学校南の丘分校▽継続 河津南小、静岡中島小、牧之原萩間小、浜松上島小、静岡大成中、浜松学芸中・高、御殿場南高、藤枝東高

 

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実践指定校として抱負を述べる教諭ら=25日午後、静岡市駿河区の静岡 新聞放送会館

新聞活用授業を見学 静岡聖光学院中・高 県推進協が幹事会

2022年04月21日(木)付 朝刊


 NIE(教育に新聞を)の取り組みを展開する県NIE推進協議会(安倍徹会長)は20日、静岡市駿河区の静岡聖光学院中・高で幹事会を開き、参加者らが新聞を活用した授業を見学した。
 同校は2017年、18年度に実践指定校を務めるなど、NIEを継続的に行っている。高校3年の日本史の授業では「戦争遺跡」に着目し、御前崎市池新田の旧陸軍遠江射場の観的所に説明板が設置された記事などを教材にした。生徒たちはグループワークで「残したい戦争遺跡」とその方法を考えた。
 多くのグループが防空壕(ごう)や原爆ドームを取り上げ「VR(仮想現実)を作って体験し、遺跡を知ってもらう」などの継承方法を発表した。伊藤大介教諭(NIEアドバイザー)は「戦争遺跡を振り返り、後世に伝えていってほしい」と語り掛けた。
 幹事会では2022年度の事業計画を承認。新たに6校を実践指定校に推薦した。

 

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「戦争遺跡」について発表する生徒。県NIE推進協議会のメンバーが見学した=20日午後、静岡聖光学院中・高

静岡県NIE推進協議会「2021年度実践報告会」

2022年2月19日開催の「2021年度NIE実践報告会」の模様を、ウェブ公開します。2~3年にわたってNIE(教育に新聞を)の実践をしてきた6校が、特色ある取り組み内容を報告しています。

◆2021年度の実践報告校は以下の6校です。

小山町立小山中学校(鳥越諒教諭)

三島市立南中学校(野口厚校長)

静岡県立清水特別支援学校(川上健治教諭、松原悠馬教諭)

静岡市立大河内小中学校(山内俊治教諭)

掛川市立桜が丘中学校(石神克海教諭)

浜松市立城北小学校(稲田晴彦教諭)

行政に住民意思 どう反映させる? 掛川・桜が丘中で公開授業

2021年10月28日(木)付 朝刊


 新聞を教材として活用するNIE実践指定校の掛川市立桜が丘中で27日、授業研究発表会(県NIE推進協議会主催)が開かれた。地方自治や差別と偏見、エネルギー変換技術などをテーマにした8授業を公開し、担当教諭が教育現場での新聞の活用法を披露した。
 溝垣駿教諭(33)は「地方自治と私たち」と題した社会科の授業を展開した。過去の新聞報道を基に、行政に住民の意思を反映させる直接請求権を行使した実例を挙げ、生徒は首長の解職請求や条例制定の手段と効果について意見を交わした。
 住民投票で建設反対の民意が示された御前崎市の産廃処理施設に関する報道も題材にした。溝垣教諭は「建設に反対する市民の立場から、どうすれば意見が通るかを考えよう」と問い掛けた。生徒は課題解決に向けたアイデアを出し合い、グループ内で議論した。
 同校のNIE実践の取り組みは2年目。市内外の教員ら約50人が参観した。

 

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行政に住民意思を反映させる手段についてグループで議論する生徒=27日午後、掛川市立桜が丘中