一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

県内アドバイザー講座

2014年03月30日(日)付 朝刊


 日本新聞協会認定の県内NIEアドバイザーによる「一緒にNIE 県内アドバイザー講座」は今回で終了する。コラムを含め3年間に渡り執筆を担当した4人が読者にメッセージを寄せた。

 ■「やさしい」具体的に-島田川根中・矢沢和宏
 私は、誰にも取り組めて長続きする「やさしいNIE」の具体的な実践を紹介し、広めようと心がけてきました。「やさしい(優しい・易しい)」は、「子どもにやさしい・実践者にやさしい・新聞が学びの素材としてやさしい」を意味します。
 昨年7月に静岡で開催されたNIE全国大会でも、この「やさしいNIE」を全国に向けて発信しました。学力低下が心配されていますが、新聞を活用したNIE学習を地道に積み重ねている子どもたちの学力は向上していると実感しています。今求められている活用型の読解力が育ち、社会への関心が高まって、静岡県が目指す「有徳の人」づくりにもつながるのです。
 これからも多くのみなさんにさまざまな形で「やさしいNIE」の具体を伝えながら、華やかですぐに消える花火でなく、徐々に浸透し、よさがにじみ出てくるようなNIEに取り組んでいこうと考えています。
 今までお読みくださり、ありがとうございました。

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 ■学習に深みと広がり-浜松曳馬小・山崎章成
 「NIEは小学生に難しいのでは?」「自分の学校はNIEを行っていない」と思っている子どもたち、保護者、そして教師の皆さん。国語や生活科、総合的学習の時間でどんな学習をしているか思い出してください。1年の国語では「大事なことを落とさないように話したり、聞いたり」する学習をし、生活科や総合では知りたいことを調べ、分かったことをまとめ、発信しています。こうした学習がNIEそのものなのです。
 多くの人はNIEを意識せずにさまざまな学習をしているのですが、NIEとは何かを理解すれば学習に深まりと広まりを生むことができます。NIEは新聞記事の活用に限定されるものではありません。小学校では国語を基盤に情報活用能力を身に付け、全ての教科領域に生かすことができる学習です。
 NIEの魅力を多くの人と共有することを願い、ブログ「アドバイスNIE」を開設して半年が過ぎました。ぜひご覧いただき、一緒に学び合いましょう。

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 ■情報の刺激が活力に-静岡市立高・実石克巳
 新しい年度が始まろうとしているが、やる気モードに突入しただろうか。ただ待っているだけでは、百万年経ってもモチベーションは生じて来ない。やる気は、努力して、無理して、つらいのを我慢して、無理矢理ひねり出すものなのだ。「やれば、私はできる」という戯[ざ]れ言を発する者がいるが、それは単なる言い訳にしか過ぎない。
 では、具体的にどうすれば活力は湧いてくるのだろうか。その答えは【毎日、新聞を読む!】
 今まで勉強習慣が着いていないのだから、時間が足りないということはなかろう。少しでも良いから必ず毎日読み、情報入手を図るのだ。その刺激が学習へのバイタリティーを生み出すことは、必定である。だまされたと思って、まずは読んでみよう。
 環境の変化は、意識改革へのチャンスである。今こそ新聞という身近な情報ツールを生かし、自分を劇的に変える人生のターニングポイントとしよう。

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 ■実態に応じて工夫を-静岡中央高・吉川契子
 日本の児童生徒は、理科授業と日常生活の関連があると考える割合が、国際的に見て低いことが知られている。理科の授業で、学習内容に関連するニュースを、新聞記事を活用して紹介することにより、生徒が理科学習と生活の関連を発見し、学習の意義を悟り、学ぶ意欲が高まることをお伝えしてきた。インターネットやテレビでも、さまざまなニュースが入手できる。授業でそれらも活用しているが、新聞情報の方が、生徒が、学習内容とニュースの関連を理解することができる効果が高いと感じる。
 新聞を授業の素材として選択することは、インスタント食品と手作り料理のうち、手作りを選ぶことに似ているかもしれない。どちらも空腹を満たすが、長期的には栄養面で優れて健康を保つのが手作り料理だ。また、手作り料理は目の前のお客さんのその日の様子に応じてアレンジすることも容易だ。
 本コーナーに掲載されたレシピを参考に、新聞情報の持つ魅力を生かして、各学校の児童生徒の実態に応じて新聞が学校の授業で取り入れられることを期待している。

県内教諭の実践
=実感伴った理解深める

2014年03月23日(日)付 朝刊


 「えっ本当に中止したの?」。子どもたちの真剣な眼差[まなざ]しが新聞の見出しに注がれました。「え、だって、(漁師さんたちの努力であさりが)増えてきたのに、何で。」そんな驚きの声が広がり、新聞を見つめる子どもたちから、自然と課題が生まれていきました。
 4年生の社会科では、静岡県の特色ある地域の地形や産業を取り上げて学習しています。自然環境に恵まれた緑豊かな長泉町に住む子どもたちは、「海」「湖」という響きにときめき、『浜名湖の潮干狩り』の学習にも、高い学習意欲を示しました。
 学習は、「わたしたちの静岡県」という副教材を使って資料の読み取りを中心に展開していきます。しかし、残念ながら、平成25年度の潮干狩りが全面的に中止されたという事実は載っていません。でも、授業で一生懸命資料を読み取ってきた子どもたちに対して、生の情報を提示して、社会への関心を一層高める良いチャンスにしたいと考えました。
 映像や写真も資料として効果的ですが、子どもを釘[くぎ]付けにする資料として、新聞も欠かせません。限られた紙面の中には、写真や文字がぎっしりと埋められ、難しい言葉だらけです。でも、子どもたちは語感や脈絡から伝えようとしている事実や生の声を何とか探っていきます。今回も資料(4月9日、10日付静岡新聞)として配ると、子どもたちは食い入るように見つめ、台風や赤潮といったあさりの不漁となる原因を探っていきました。
 本物との出会いは、子どもたちの関心を集め、深い学びを支えます。新聞も、日々の授業を活気付け、実感の伴った理解を深めるための資料としての価値は大きいのです。
 日々の生活の中でタイムリーな話題や現場の生の声をダイレクトに伝えている新聞には、教材化する面白さが未知数に潜んでいると思います。紙面を読みながら、この資料でどんな力をつけることができるかを意識しながら、新聞とも上手に付き合っていきたいです。

(米津智恵/長泉北小)

県内アドバイザー講座
=学ぶことの意義を悟る

2014年03月16日(日)付 朝刊


 今まで当コーナーで、新聞記事を活用した授業実践の方法を紹介して参りました。生徒はNIEをどのように感じているのでしょうか。半年間NIEを行ったある授業集団で、生徒に、新聞記事を取り入れた授業の感想を聞きました。

 【生徒の感想】
 ■授業でニュースを見ると勉強になると聞いてから、私はできるだけテレビのニュース番組を見ようと思うようになりました。環境の変化などが分かるようになりとても楽しく思えるようになりました。今後もニュース番組を見て生活に役立てていきたいと思います。

 ■私は理科の授業でニュースを学習して視野が広がったと思いました。ふだん気にとめてなかったテレビのニュースを見るようになりました。自然の関係のニュースは自分とつながりのある関係のある事であって、自分たちが考えなくてはいけないニュースだと思いました。これからも、いろいろな問題が出てくると思うけど、一つの知識として知っておくのが大切なことだと思いました。

 ■ただテレビや新聞のニュースをながめるだけではなく、授業で扱った事柄に関するニュースはやはり気になるし、より理解を深めやすくすることができた。

 ■今までは新聞の記事やテレビのニュースも何となくながめるだけだったが授業を通して意味を知ることができた。意味を知ることで内容が分かったり関連した新聞記事やテレビのニュースに興味を持つことができた。今まで何となく見ていたニュースや新聞の記事もこれからは意識してみたいと思う。

 ■今まではニュースが理科と深い関係があるとはあまり思っていなかったけど、きちんと意識して聞くことで授業の内容と重なる部分を発見できたり、理科を身近に感じられて面白かった。
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 半年なり、1年なり、NIEの授業を続けることで、生徒たちは科学と日常生活の関係に気がつき、学ぶことの意義を感じる効果があります。
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 私は、理科授業で、新聞記事をスクラップして読ませるだけでなく、多様な理科学習を展開しています。
 教科書の学習内容に関連する新聞記事を読み、その記事に掲載されている大学教授を招請して出張講義を実施していただくことがあります。静岡県教育委員会の「高校と大学の連携事業」という制度を利用するのです。
 生徒は、外部講師の授業について「とても分かりやすく、貴重な資料を見て大変いい機会でした」「専門家の人の話はすごくリアルで知識が増えました」「貴重な体験ができて良かったです。授業の内容をより深く学習することができたと思います」と感想を寄せてくれました。
 NIEにより、生徒は身近な地域の防災や自然科学の研究成果を、新聞記事を通じて知り、科学と日常生活の関係に気がつくことで学ぶことの意義を悟り、理科学習に意欲を持ち、学ぶ心が育つと感じています。
(吉川契子/静岡中央高)

県内教師の実践
=課題解決の有効的資料

2014年03月09日(日)付 朝刊


 「先生、この写真すごいよ」
 朝一番、教室に飛び込んできたAくんは、片手に一枚の新聞を抱えていました。見ると、昨日の社会科の授業で学んだ大阪城の写真(天守閣には雪が積もっているとてもきれいな写真)が紹介された新聞でした。Aくんは、そんなに社会科が好きな子ではなかったのですが、この写真だけは、昨日の授業のことを覚えていたこともあったのでしょう、驚くほどの興味や関心を示したのです。
 新聞を授業でタイムリーに使うことの可能性の大きさに驚きました。その時から積極的に新聞を活用するようになりました。使い始めると、以下のことに気付きました。
 ・タイムリーな情報は生きた教材になること
 ・多くの情報から必要な情報を選択する力が育てられること
 ・情報を活用し課題を解決する力を育てられること
 ・記録として残しやすく、確認が容易なこと
 以上のことから、子どもたちの学習への意欲や関心を高めたり、課題解決の有効な資料となったりしていきました。
 また、新聞記事の4コママンガを活用して、単元ごとの学習のまとめも取り組んでみました。マンガの主人公や登場人物の会話の吹き出しの中を白くし、自分で学んだことを生かして会話の内容を考えていくものです。子どもたちは楽しそうに単元のまとめに取り組むことができました。
 新聞にはさまざまな活用があります。自分のスタイルで、自分の実践してみたい方法で自由に取り組んでみることがよいと思います。そのためには、教師自身が新聞に興味や関心をもち、「授業で使えるな!」というヒラメキのもとに、新聞をストックしていくことが大切だと思います。

(渡辺晴好/浜松浜名小教頭)

県内アドバイザー講座
=独自方法開発の手助けに

2014年03月02日(日)付 朝刊


 静岡新聞社は、小・中・高とそれぞれの校種に対するNIEガイドブックを作製した。その全てに関わった唯一の人間として、つまりはどのような新聞の利用方法があるのか、簡潔な総まとめを行う。読者諸氏の、オリジナルな利用法開発の一助とならんことを望む。なお分類は、便宜的なものであることを了解されたい。

 ■写真
 *ニュースかるた=取り札は写真、読み札は記事。応用して写真当てっこも可能。
 *写真読み取り①=被写体の心情を読み取り、その際の状況説明を含めて文章化・口頭発表。
 *写真読み取り②=5W1Hを書き出し、Becauseを付けて小論文。
 *写真比べ=同被写体なのに新聞社ごとの写真の違いを見つけ、どのように印象が異なるかを説明する。
 *季節見つけ・行事見つけ=一年を通して順番に切り貼りし、自分の体験も書いておこう。
 *報道写真の撮影=記念写真や集合写真との違いを認識する。
 
 ■図・グラフ・表・マンガ
 *4コマ漫画=セリフ・オノマトペ・ト書、前後コマの創作。起承転結の構成を意識した、文章化訓練に!
 *動く天気図=パラパラ漫画のように貼り合わせ、自分の手を動かして台風の動きなどを認識する。
 *天気記号比べ=新聞社により絵柄が異なることを認識し、自分なりの記号を創作。
 *数字で計算=気温・潮干満などデータからさまざまな数式や表・グラフを作る。
 *数字さがし=静岡県が全国で一番のものを探し、絵に描く。
 *風刺マンガ説明書=上級者向け。何がどう面白いのか、背景や経緯などが理解できないと解説できない。それを分かっていない人に説明するのも難しい。

 ■地理
 *白地図の塗りつぶし=世界・日本・静岡県の市町の白地図を準備。記事や写真を読み取ったら、塗りつぶしていき、位置や特徴の確認と掲載頻度の差異を考察。
 *国旗描き=きれいにカラーで描こう。成立の意味も調べると良い。
 *すごろく作り=世界各国や都道府県・県内市町名ですごろくを作り、毎日、新聞を読んで駒を進めていく。

 ■発信
 *ポスターセッション=模造紙にテーマを決めて、記事や写真を切り貼りする。分かりやすいように、コメントや矢印を記入しながら一覧性のある資料を作成する。掲示してポスターセッション(資料に目を止めて、立ち止まってくれた人に対してのみ、プレゼンを実施)を行う。
 *新聞コラージュ=ビリビリ破って色の配置などを考え、楽しい貼り絵を描く。
 *新聞つくり=修学旅行・宿泊体験・職業学習・授業内容・部活動・進路調べなどの発表。(レイアウトや逆三角形文などは、上記のNIEガイドブックを参照。詳しく書いておきました)
 *英語=見出しや記事の英文翻訳・写真スピーチ、英字新聞の音読・ヒヤリング。
 *スピーチ=お気に入りの記事を要約し、どこが面白いのか理由付けで発表。写真だけ見せるのも良し。原稿無しが効果的。SHRなどで順番・毎日の実施が望ましい。

 ■内容
 *調べ学習=熟語・難解語・外来語・比喩・倒置法・同音異義・多義語・現代用語など。
 *守破離作文指導法=記事を部分的に修正液で塗りつぶし、穴埋めで作文を書かせる。文章指導の第一歩。【2012年8月に本欄で紹介】
 *探し物シリーズ=理由・数字・比較・特徴など。例えば、シェアほぼ100%の理由・カードと紙切符運賃差額・楽天とアマゾンビジネスモデルの違いなど。
 *見出し付け=記事を読み、自分なりの見出しを付ける。隠されていた本来の見出しと比較検討する。
 *朝新聞=読書の代わりに、ヒタスラ新聞を読む。
 *新聞ヒヤリング=先生が記事を音読し、なるべく多くの漢字を使用しながらの書き取り(結構、難しい)
 *絵ハガキ新聞で近況報告=祖父母に、近況報告をする。絵ハガキ用の枠組みを利用して、同居でも良いので郵送しよう。【13年2月に本欄で紹介】
 以上、ちょっとユニークと思われる内容のものを紹介した。新聞コラージュなど、幼稚園からでもできるような、親しみやすい例を多く引用したつもり。言葉足らずの面があれば、全て責任は筆者にあるのでご容赦いただきたい。
(実石克巳/静岡市立高)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載
=新聞で育む主体性

2014年03月01日(土)付 朝刊


□県内3教諭が実践報告
 ■難しい言葉にも興味-静岡サレジオ小・田辺恵教諭

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県NIE推進協議会(角替弘志会長)はこのほど、2013年度NIE実践報告会を静岡市駿河区で開いた。12年度から2年間、新聞を活用した教育を進めてきた小、中学校、高校の3校の担当教諭が活動事例や成果を発表した。報告内容の概要を紹介する。
 語彙[ごい]を豊富にすることは、人間関係をスムーズにすることにもつながる。こうしたコミュニケーション能力を得るうえで、新聞の利用は効果的ではないかと考えた。
 6年生を中心とした活動では「新聞に親しもう」「新聞を読もう」「新聞を書こう」という取り組みを進めた。まず、神奈川県鎌倉市への校外学習を前に、同市在住者からの公共マナーに関する投書を取り上げ、児童の意識を高めるとともに新聞にも親しみを持たせることができた。
 その後、それぞれに米大統領選などテーマを掲げ、テーマに沿った記事を集めた。さらにその記事を模造紙に張り、記事に関する自分の考えを書き加えた。「読もう」「書こう」の活動だ。この作業を通して、難しい語句や知らなかった言葉に興味を持つことができた。

 ■修学旅行の情報収集-富士宮東高・田子貴志教諭

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 2年生を対象に、沖縄への修学旅行や進路選択に関わる形で活動を進めた。各クラスにノートを3~5冊用意し、修学旅行委員と進路委員が気になる記事をスクラップしていくスクラップリレーを進めた。書き込みができる形にしたため、工夫を重ねるクラスも出た。
 修学旅行に関しては事前と事後に新聞作りを行った。テーマは沖縄戦、米軍基地など。サイズはA4判に統一したが、それ以外は自由とし、作品はすべて掲示した。沖縄に行った後に作った新聞では具体性のある作品が目立った。
 進路選択に関しては、小論文模試に向けた活動も進めた。新聞記事と、その内容に関する設問を入れたワークシートを作った。教員、生徒に負担がかからない形で裾野を広げられればと感じた。

 ■昼の放送で記事紹介-焼津大村中・石田勝彦教諭

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 「自他を大切にする生徒、あたたかい学校」という学校の目標を達成する手立てとして、NIE活動を進めた。
 週1回、教員が選んだ記事を朝読書の時間に配布して生徒が簡単な感想を書く活動や、生徒が記事を選び、帰りの会で要約や選んだ理由を発表する活動、さらに放送専門委員が給食時に自ら選んだ記事を紹介する活動などを続けた。
 各教科でも新聞記事の活用を進めた。3年の国語では、森オウ外の「高瀬舟」の学習で、テーマの一つである安楽死に関する新聞記事を取り上げた。1年の理科の地震の学習では、「南海トラフ地震」の発生の仕組み、予想される被害、防災・減災について、新聞記事を使って学習した。新聞記事を使うことで教材が身近になり、主体的に学習するようになった。

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 ■NIE楽しくやさしく(3)=構成知れば読みやすく
 新聞には読みたい記事が探しやすいように、ジャンル別に分けてニュース等が載せられていることをご存じでしょうか。新聞社によっても新聞のつくり(構成)は多種多様ですが、家庭に届けられる新聞を毎日読んでいる方は、きっと新聞がどんなつくりになっているのか経験的に十分ご理解されているはずです。しかし読み慣れていない方にとっては、新聞は極めて複雑かつ羅列的で、文字の多さばかりが目に入り、大変読みづらいものと感じてしまうのかもしれません。
 ちょっと紙面の欄外に目を向けてみましょう。日付と一緒に「スポーツ」、「国際」、「地域」等のジャンルが表記されています。新聞を大きく広げなくても欄外の表記だけをぱらぱらめくるだけで、必要な記事を探し出すことができるのです。
 また、一面の「インデックス」も大きな助けになります。一面は「新聞の顔」といわれ、その日のもっとも重要な注目記事が掲載されています。しかし、一面には入らなかったさまざまなジャンルの注目記事も多数あります。そのため、注目記事は内容・種類によってページが振り分けられて掲載されることになります。一面の日付等の下には、振り分けられた注目記事の見出しと掲載ページを示した「インデックス」が設けられています。お目当ての記事がある場合、新聞をすぐにめくって探すことができ、手間もかかりません。
 さらに、探し出した記事を瞬時に読むことができるしかけもあります。新聞記者が記事を書く場合、大事なことから書くのが原則になっています。一番重要なことは冒頭の第一段落に詰め込まれているため、記事は最後まで読まないとわからないということはありません。最初の段落だけさっと読んで次の記事へ、という読み方も可能なのです。
 新聞のつくりを知ることによって、新聞を読む楽しさを広げ、「ひと・もの・こと」に対する興味や関心を一層高め、よき情報の使い手となることができるのです。
 (安藤雅之・常葉大大学院教授)

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 ■ワークシート利用できます
 「静岡新聞NIE」ホームページwww.at-s.com/blogs/nie/に本紙記事を使ったNIEワークシートを学年や教科ごとに掲載しています。無料でダウンロードでき、コピーして授業で活用することも可能です。
 使用方法などの問い合わせは、静岡新聞社ふれあい読者室<電054(284)8930>へ。