一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

Q&A
=全校巻き込み活動したい

2015年01月25日(日)付 朝刊


 活動は4、5年生だけで、他学年はほとんど関わっていませんが、強制もできません。学校全体を巻き込んでいくにはどうすればいいでしょうか。
 (静岡・小学校教諭)
               ◇……………………◇
 ■管理職の先生の理解得て 
 【答】「NIEを学校全体の取り組みにしたい」という課題をもつ学校は多くあります。課題解決のためには、「個人や学年の取り組みを全校に紹介する」「子どもたちの手でNIEの環境づくりを行う」「図書館と連携・協同する」「全校で可能なやさしい取り組みを提案する」などが考えられます。そのために、「管理職の先生の理解を得る」ことも大切です。
 まずは、4、5年生の活動を校内研修の機会や掲示、印刷物などで他学年の先生にも知らせましょう。おもしろい記事や授業に役立ちそうな記事を紹介するのもいいですね。「NIEコーナー」などの環境づくりには専門委員活動など、できる限り子どもたちに関わらせると全校で取り組む体制が整っていくと思います。
 「図書館NIE」も有効です。図書館司書や司書教諭などと連携して、「新聞記事を図書館に掲示する、ニュース記事に関係する本の紹介コーナーを作る、授業に使えそうな記事のスクラップを置いておく」などの活動はどうでしょうか。
 また、学校全体での「NIEタイム」として、「昼の放送で新聞記事の感想を発表する、朝読書の時間に記事(写真)を読む、道徳や学級活動の時間にどの学級も新聞記事を資料に授業を行う」など、できることから始め、「やさしいNIE」を全校に広げていきましょう。
 (島田川根中・矢沢和宏=NIEアドバイザー)

県内教諭の実践
=記事からクイズを作成

2015年01月18日(日)付 朝刊


 生徒たちにとって新聞を読むという行為が身近なものではなくなってきたと感じるようになりました。スマートフォンやパソコンでニュースやさまざまな情報を集めている生徒たちは、視覚的な情報の利便性ということを体験的に知っています。そのため、生徒たちは新聞を読むなど、時間をかけて文章を読むということを敬遠しがちです。
 文章を読む機会が減少していることは、生徒たちの読解力の低下につながります。そのような状況だからこそ、授業においてさまざまな文章を読む機会が求められていると考え、新聞を授業に取り入れることにしました。
 授業では生徒1人につき1日分の新聞を貸し出します。生徒たちは全国紙、地方紙、地元紙の3種類の中から好きなものを選びます。そして、興味を持った記事を一つ選び、感想や意見を書いたり、記事を読むと答えが分かるクイズを作ったりするということを行っています。インターネットの検索と異なり、思いもかけなかったようなニュースに出合うことができるという点が生徒たちに好評です。
 身近なことが載っているという理由で地元紙を好きになる生徒もいました。各自で読みたい記事を選ぶことで、生徒たちの文章を読むことに対する抵抗感が和らいできたと感じています。
 今後は、新聞から不特定多数の人に向けてメッセージを発信する方法を学ぶことで、読解力だけでなく、表現力を高めていけるようにしたいと考えています。スマートフォン等を利用し、インターネット上に自分の思いや考えを社会に向けて表現することが日常となっている生徒たちには、表現力がこれまで以上に求められているからです。
 授業で新聞を活用しながら学ぶことを通じ、「伝え合う力」を磨き鍛えることで、生徒たちにも伝え合うことの喜びや楽しさを感じてほしいと思っています。(田口愛/熱海高)

県内教師の実践
=週日課設け、読解力育成

2015年01月11日(日)付 朝刊


 本校は、平成24年度よりNIEの実践指定校となり、現在3年目となる。これまでの主な取り組みは
 (1)NIEコーナーの設置。登校した児童が必ず通る昇降口に、4種類の新聞を並べ、自由に新聞を閲覧できるスペースを作った。4紙を並べると、立ち止まって一面の違いを見比べたり、興味のある記事に目を止めたりする児童があらわれた。
 (2)読書月間で「新聞クイズ」。読書月間の一企画として「新聞クイズ」を行った。全校児童分いただいた小学生新聞体験版からクイズを出題した。子どもたちは楽しみながら新聞を読み、答えを探す姿が見られた。
 (3)週日課への位置づけ。毎週火曜日の朝15分間を「NIEタイム」として設定し、新聞記事をもとに問題を作ったり、静岡新聞社のNIEワークシートを利用したりして、プリントを準備した。NIEタイムは、読解力を育成するために、全国学力学習状況調査の問題形式に合わせた形で作成している。
 静岡市教育委員会の分析によると、国語科における本市児童の課題は、①さまざまな資料から必要な情報を的確に得ること②中心的な部分と付加的な部分、事実と意見を読み分けること③複数の情報について、目的に応じて取捨選択したり関係づけたりして書くこと―の3点である。この3点を意識したワークシートを作成し、付けるべき力が付くための指導につなげている。こうした取り組みなどにより、本年度は、読解力や活用に関する国語Bにおいて大きな伸びが見られた。
 (4)授業での新聞活用。昨年度のNIE全国大会では、4年生がごみの減量について新聞を活用した授業を公開した。本年度も全ての学年で、新聞を活用した授業が行われている。幅広い発達段階がある小学校では、新聞に対して苦手意識を持たないように、新聞記事を単元の学習にタイミングよく取り入れることで、新聞が社会生活と学習をつなぐ、よい扉の役割を果たしている。(森竹高裕/静岡安西小)