一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=ニュースを勉強 家族新聞づくり 話題共有、広がる会話-藤枝・森田家 4世代8人

2015年05月02日(土)付 朝刊


 気になるニュースや家族の話題をまとめた「家族新聞」が、藤枝市の大家族で発行されている。ニュースの整理と子どもたちの活字離れを防ぐことを目的に始まった。いまでは家族で話題を共有でき、会話が広がると好評だ。

 家族新聞を発行しているのは、藤枝市花倉の会社員森田明弘さん(57)一家。長女夫婦と3人の孫ら計8人で暮らす大家族だ。森田さんが家族新聞を始めたのは昨年秋ごろ。本紙の子ども向け新聞「YOMOっと静岡」に「分かりやすい!」と目が留まり「これを題材に新聞を作って家族で勉強しよう」というのがきっかけだった。
 「最初は勉強も兼ねて自分のために新聞を作ったが、いまさら聞けないことがいっぱいあった」と森田さん。次第に大人が興味を持つニュースだけでなく、子ども向けの話題も取り入れるようになった。活字に親しみを持ってもらうのが狙いだった。
 発行は不定期で月に2回程度。編集長は森田さんが務める。まずはYOMOっと静岡から孫たちと気になる記事を探す。記事を選んだ後は森田さんが記事の内容を要約してパソコンで打ち込む。子どもたちが気を引きそうな写真や図柄も忘れない。一度印刷して家族総出で間違いがないかもチェックする。
 A4サイズにまとめた家族新聞を掲載する場所は、なんとトイレだ。森田さんは「誰でも1日1回は立ち寄る場所。落ち着いて新聞を読んでほしかった」と説明する。
 これまでに発行したのは半年間で10号ほどに上る。アニメ「妖怪ウォッチ」から地方の人口減少問題、燃料電池車、リニア中央新幹線などさまざまだ。最近では時事ニュースに加えて家族の話題を取り入れた紙面も作った。最新号は孫の永寿君(3)の幼稚園入園を祝う特別号だ。
 3人の子どもの母親で森田さんの長女絵理さん(30)は「新聞は大人の読み物だと思っていたが、分かりやすいと子どもでも興味を持ってくれる」と効果を話す。さらに「子どもたちは自分が出ているとうれしいみたい」と笑顔を見せる。
 これまで家族新聞の題材はYOMOっと静岡だけだったが、今後は静岡新聞からも題材を探したいという。森田さんは「子どもたちの話題から逆に教えられることもある。時代に合った記事を探したい」と語る。さらに加えた。「子どもたちには一つのことだけでなく、いろんな物事に興味を持ってほしい。ゲームの手を止めて新聞を読んでほしい」

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「YOMOっと静岡」を参考に「家族新聞」を作る森田さん一家=藤枝市花倉

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トイレに掲示された「家族新聞」

Q&A
=スクラップの評価は

2015年05月02日(土)付 朝刊


 生徒に記事スクラップを提出させ、コメントを書いています。評価はどのようにしたらよいですか。
 (沼津市・中学校教諭)
 
 ■つけたい力に応じた観点・規準で 
 【答】新聞スクラップに直接コメントを書いて評価することは、時間はかかりますが、生徒の活動を価値づけるために効果的な方法だと思います。その際、「生徒にどのような力をつけたいのか」によって評価する観点と規準も違ってきます。
 例えば、社会科では、「社会的な事象への関心」「社会的な思考力・判断力」「資料活用の技能」などの観点からの規準が考えられます。国語科では、「記事(文章)への関心」「読む力(読解力)」「書く力(表現力)」などの観点からの規準が考えられます。スクラップを通して生徒につけたい力に応じて評価規準を考え、その観点からコメントの内容を工夫しましょう。
 ただし、すべてに共通するねらいは「NIEの学びを好きになり、長続きする」やさしいNIEです。したがって、生徒のスクラップのよさを価値づけ、意欲を持たせる肯定的な評価(コメント)が重要になります。そのためにも、結果だけでなく、生徒の取り組みの経過や苦労、疑問などにも着目した評価を心がけたいものです。
 もちろん、スクラップを価値づけるのは教師だけではありません。スクラップを展示(掲示)したり、交換したりしてコメントを書き合うなど、生徒同士の相互評価もNIE活動への意欲を高めます。家庭NIEで家族にコメントをもらう方法もあります。
 また、「こんな記事にも目を向けてみよう」「こんな集め方をすると変化や違いが記事から読み取れるよ」「こんな点に着目して記事を読むと新たな発見があるよ」などのアドバイスを加えた評価も有効です。
 (焼津大井川中・矢沢和宏=NIEアドバイザー)