一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

Q&A
=保護者も参加できる活動

2015年10月03日(土)付 朝刊


 当たり前のように身近にあるインターネット環境から、大人も新聞から遠ざかりつつあることを感じます。授業参観の場などで、子どもと一緒に保護者も参加してできる活動がありますか。
 (島田・小学校教諭)

 

 ■「まわしよみ新聞」おすすめ
 【答】ここでは、新聞を持ち寄った者が気に入った記事を切り抜いて順番に思いを語り、画用紙に貼って壁新聞を作る「まわしよみ新聞」を紹介します。
 「まわしよみ新聞」は①まわしよみタイム―新聞をまわしよんで記事を切り取る②プレゼンタイム―切り抜いた記事を紹介して感想を言い合う③新聞作りタイム―切り抜いた記事を使って壁新聞を作る、の3段階を経て完成させます。
 低・中学年の児童は自分一人でやることが難しいので、授業参観などの場で親子がチームとなり、話し合いながら作戦を立てるといいでしょう。いわゆるファミリーフォーカスの学校版となります。
 記事をネタに誰でも公平に発言でき、意見交換を行うことで会話が弾み、話題が思わぬ方向へ広がっていく可能性があります。このように、「まわしよみ新聞」がコミュニケーションの道具になることは間違いありません。
 ネット検索にはない、思わぬ情報と出会える新聞の楽しさをぜひ知ってほしいと思います。
 (静岡城北小・中村都=NIEアドバイザー)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=地域新聞 交流に一役

2015年10月03日(土)付 朝刊


 新聞には地方紙や全国紙の他に、地域の情報に特化し、町おこしや住民交流に大きな役割を果たしている多種多様な「新聞」がある。この夏、家庭でのNIEを勧める記事を掲載した島田市の地域情報誌「ココガネ」と、静岡市で山村移住者らが中心となって発行する「玉川新聞」を紹介する。

 ■多彩な情報 世代つなぐ-島田「月刊cocogane」
 島田市のオープンデータなども活用して地域の子育て情報やグルメ、見どころ、歴史など紹介する情報誌「月刊cocogane(ココガネ)」が同市内で発行されている。4月から毎月1回、地域の多彩な魅力を発信し続け、じわじわとファンを増やしている。
 編集、発行を手掛けるのは、さまざまな仕掛けで地域活性化を図るNPO法人「クロスメディアしまだ」。民間の視点から地域の情報を伝え、自分たちの住む街を元気にしたいと考えた。
 「ここがね~いいんだよね~と、心に眼鏡をかけて違う見方で地域を見てほしい」-。ココガネにはそんな意味が込められている。
 新聞販売店の協力を受けて毎月25日、新聞折り込みや公共施設への配布で計3万部を発行する。季節に合わせた「かき氷コレクション」や「しまだ公園さんぽ」などクロスメディアしまだのスタッフ4人が毎月テーマを決め、取材に出向く。子育て情報は市の情報をカレンダーで一覧化して発信している。
 幅広い世代が理解できるよう平易な言葉で表現し、家族共通の話題になるテーマ設定を心掛ける。大石歩真理事長は「新聞を読む高齢世代がココガネの情報を若い世代に伝えるなど、家族の中で世代間交流が生まれている」と実感する。家庭内での地域教育の道具になると考える。
 今後は「集めた情報を違う形でフィードバックしていきたい」と話し、ココガネで紹介した店をつなげるイベントなどを検討中だ。

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店主に商品コンセプトなどを取材するNPO法人クロスメディアしまだのスタッフ(左)=9月中旬、島田市

 

 ■山村の魅力 掘り起こし-静岡「玉川新聞」
 9月中旬、原田さやかさん(36)と太田紗世さん(34)は静岡市葵区の中山間地、玉川地区にいた。同地区の集落の一つである横沢のお年寄りに、山の暮らしや林業について聞くためだった。2人は玉川地区の情報誌「玉川新聞」の制作スタッフだ。木々に囲まれた家。庭に面した畑を眺めながら、お年寄りの話に耳を傾けた。
 自然と共生する暮らしが玉川にはある。そんな山村の魅力を掘り起こして発信しようと、「玉川新聞」は誕生した。集落と集落、山村と街をつなぎたいと考える原田さんを中心に、2010年11月に創刊した。玉川に魅せられた10人が県内各地から集まった。玉川の人たちの暮らしぶりと、新しく就農した若者やイベントなど、前向きな話題を全8ページの紙面で提供する。
 年4回の無料季刊紙で、10月1日に最新の第20号を発行した。現在は4500部を玉川地区の住民に配布するほか、市立図書館などの公共施設に置いている。
 生涯学習の一環として3年前、玉川地区の児童に地域マップを作ってもらう取り組みを試みた。児童の負担が大きく継続は難しかったが、原田さんは新たな挑戦のアイデアを練っている。「子どもたちにもっと地元の魅力に触れてもらえるような、一緒に紙面を作る仕組みを考えたい」
 横沢に住む北沢いま子さん(81)は「玉川出身の人以上に村のことを考え守ってくれる」と信頼を寄せる。原田さんは「伝えたい魅力がまだたくさんある。発信し続けることが大事」と応える。

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「玉川新聞」の取材で、地元のお年寄りから山の暮らしや林業の話を聞く原田さやかさん(右)と太田紗世さん(中央)=9月中旬、静岡市葵区