一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

Q&A(月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載から)
=新聞の効果的掲示方法は

2015年12月05日(土)付 朝刊


 廊下などで新聞の効果的な掲示方法はありますか。
 (南伊豆町、中学校教諭

 

 ■落ち着いた空間をつくる

 私の学校では、昇降口の近くに『読んで見!コーナー』を設置しました。そこに、新聞全紙を掲示したり、特集記事を掲示したりしています。最近では、「ノーベル賞関係」の記事を掲示しました。
 また、校長室前に『NIEコーナー』を設置し、「学校や生徒、教職員のようすが紹介された記事」や「生徒の投稿が掲載された記事」、「生徒に知らせたい記事」などを掲示しています。同様のコーナーは学年の掲示板にもあります。
 新聞を掲示する場所には、机や椅子を置き、新聞を配置して、落ち着いた空間をつくるとよいと思います。新聞を手に取って読みやすくなったり、記事を話題にして話をしやすくなったりして、さらに効果が上がります。
 読書活動の奨励につなげるため、学校図書館と連携し、「図書館に新聞を置いたり掲示したりする」、「新聞記事に関係した本の紹介コーナーを設ける」などの取り組みも有効です。 
 (焼津大井川中・矢沢和宏=NIEアドバイザー)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=見出しの役割、大切さ学ぶ ラグビーW杯素材-富士・田子浦小公開授業

2015年12月05日(土)付 朝刊


 NIE実践指定校の富士市立田子浦小(同市中丸)でこのほど、新聞を活用した国語科の公開授業が開かれた。4年生33人が「学級新聞を作ろう」をテーマに、記事や写真の内容を端的に表現する見出しの役割やポイントについて学んだ。

 児童はラグビーのワールドカップ(W杯)日本代表の試合で紙面を飾った「日本 サモアに快勝」の見出しにふさわしい写真を選ぶクイズに挑戦した。望月千恵教諭(27)が選手の表情やプレー中の場面を捉えた4枚の写真の切り抜きを見せながら教室を回ると、「みんな笑顔で喜んでいる写真が良い」「悲しい顔をしているのは少し違うと思う」などと一人一人感じた印象を次々に発表した。
 地元の「かりがね堤」に咲く満開のコスモスの写真に合った見出しを選択するクイズにも取り組んだ。▽かりがね堤で親子にっこり▽かりがね堤彩るコスモスが見ごろ-二つの見出しで悩んだ児童も「写真で目立たせているのは親子ではなくコスモス」などと声が上がり、写真の構図から伝えたいメッセージを読み取る大切さを導き出した。
 児童は11月上旬、4コースに分かれて県内の会社などを巡る社会科見学を行った。見学を通して望月教諭が制作した"記事"に自ら見出しを考案。クラスの6人が代表して発表し、それぞれの見出しの良いところや改善点を話し合った。社会科見学で初めて入浴剤を作った場面をイメージしながら、楽しかった思い出やわくわくした気持ちが伝わる見出しには賛成意見や拍手が湧いた。
 これまで児童は新聞の構造や原稿で必要な要素を表す「5W1H」などを学んできた。今回見出しの大切さやこつを知ったことで、さらに新聞について理解を深めた様子。その後、原稿執筆や編集会議などを通して社会科見学の取材を基に手作りの新聞を作り上げた。
 鈴木優太君(9)は「友達の見出しが、体験したときの気持ちにぴったり合っていて良かった」と笑顔。水島涼花さん(9)は「見出しは最初に目に入るものだから、一番伝えたいことをまとめることが大切だと思った」と振り返った。
 4年生は気になった新聞記事をスクラップする学習を毎週末取り組んでいる。記事を選んだ理由や感想をクラスの当番が代表してスピーチすることで、普段から自然に新聞に親しんでいる。望月教諭は「新聞に触れることで書く力や感想の質が上がってきている。見出しが持つ役割を知り、今後も学級新聞の制作に生かしてほしい」と期待を込めた。

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見出しに適した写真を選ぶ児童=富士市立田子浦小

 

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見出しを考える児童