一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=学校図書館 積極活用を 新聞と向き合う「学びの基地」-担当教諭ら 三島で研修会

2016年11月05日(土)付 朝刊


 新聞を教育に生かす「NIE」について学校図書館の担当教諭や司書が学ぶ研修会がこのほど、三島市立北上中で開かれた。講師を務めたのは焼津市立大井川中校長の矢沢和宏さん。日本新聞協会NIEアドバイザーでもある矢沢さんは多様な情報が集まる学校図書館を"学びの基地"と呼び、「NIEに最適」と積極活用を呼び掛けた。

 

 研修には、三島市内の小中学校21校の関係者約50人が参加した。矢沢さんはまず、学校図書館の空間を「新聞とじっくり向き合える場」「主体的で対話的になることが可能な場」と評価し、学校図書館の利用方法として、例えば新聞記事の感想を個々に答えさせる取り組みを提案。「感想には不正解がなく、どれも正しい。子どもたちが自己肯定感を持つ一層の後押しになる」と強調した。
 参加者はNIEを実践するには自ら新聞に親しもうと、新聞の基礎を学んだ。結論から書く記事の逆三角形の構成、記事によって見出しの大きさが異なる点など。見出しでしりとりをするゲームは夢中になって楽しんだ。
 見出しについて、記事内容を凝縮し、かつ読み手の関心をつかむ役割から「新聞の命」と断言する矢沢さん。「新聞は、見出しと、冒頭部分を指すリードを読めば内容がほぼ分かるといわれる。記事を全て読み込めば文庫本1冊から1冊半ほどの分量になる」という明快な指摘に、教諭らは「なるほど」とうなずいた。
 矢沢さんはこうした見出しの特性を踏まえ、「子どもたちには新聞を『読む』でなく『見る』と教えることも、親しみを持つきっかけになるのでは」とアドバイスした。
 一方で、限られた文字数で記事を表現する見出しは、人によって受け止め方が分かれることがあるのも事実。「読み比べができるよう複数紙を講読するなどの工夫も必要」と紹介した。
 最後に、新聞には「人」を紹介する記事が多くある点に触れ、「伝記を読ませるより端的でいい。子どもたちに、いろいろな生き方に出合わせることができる」とし、道徳や総合の授業での活用を挙げた。
 受講した北上中の和智俊明校長は「各学校の実態に合った形で図書館を通してNIEを広めたい」と意欲を語った。

 

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新聞を教育に生かす方策を考えた研修会=10月中旬、三島市立北上中

 

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講師を務めた焼津市立大井川中の矢沢和宏校長