一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載

2019年09月07日(土)付 朝刊


■紙面授業-国語 怪談で伝え方学ぶ 静岡学園高 相原出帆先生

 8月はさまざまな記念日があります。
 広島原爆忌(6日)、長崎原爆忌(9日)、終戦の日(15日)。全国で犠牲者を悼み、恒久平和を誓う様子が新聞でも大きく報じられました。このほか、道の日(10日)、特許の日(14日)などもあります。

 怪談の日(13日)もそんな記念日の一つ。私は時々せがまれて授業の合間に怖い話をすることがあります。
 たとえば、こんな話があります。

 彼は大学に入り一人暮らしを始めた。夜部屋にいると、何かの気配がして気になる。そこで神社でお札をもらい、帰ってすぐに部屋の壁に貼ると、「無駄だよ」と耳元で声がした。

 一応、怖い話と言える内容になっていますね。細かく見てみると、いつ、どこで、誰が...という情報を述べ、最後のセリフにつなげています。必要な情報は整理して順番に伝える一方で、怖がらせるにはわざと分からないことを残す必要があります。セリフの前に「オバケの声が」などと入れたら、台無しでしょう。また、リズムや表情などの話し方も大切です。物音や、あえて何も話さない間を入れるのもいいでしょう。

 人を怖がらせるにはどうすればいいか、それを意識しながら講談や落語など古典芸能の名人が語る怪談を何度か聴くと、張り巡らされた工夫に気付けます。気付いたら真似てみる。他の話にも応用してみる。そうすると、どんどん上手に話せるようになるでしょう。
 皆さんが授業でする発表や討論も、目的をもって言葉を活用し何かを伝える、という点は同じです。怖い話が好きなら、楽しみながら言葉で上手に人に伝える訓練をぜひしてみましょう。それは言葉についての立派な学びになります。今から始めれば、来年の夏にはりっぱな怪談名人、そして人前で話す名人になっているかもしれませんよ。

※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

  
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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(30)宇宙解説で興味深める

 2020年注目の話題はもちろん東京五輪ですが、小惑星りゅうぐうに着陸し、岩石採取実験を成功させた「はやぶさ2」の帰還も、注目するべきニュースです。
 今年4月5日に、「はやぶさ2」が小惑星に金属弾を撃ち込む世界初の実験を成功させたとき、新聞は実験内容をイラスト入りの、分かりやすい文章で解説しました。こうした記事を活用すれば、授業内の短時間で実験内容を紹介できます。
 20年に「はやぶさ2」が無事帰還した時には、研究上のチームワークの大切さ、リーダーの役割などに関する記事が掲載されるかもしれません。科学にあまり関心のない生徒も興味を持つでしょう。これらの話題は特別活動や総合的な学習の時間でも取り扱うことができます。
 「はやぶさ2」のプロジェクトは、学校理科の学習としては応用・発展的な内容ですが、新聞記事で学べば、子どもたちはスムーズに理解できて、宇宙への興味・関心を深めることができると思います。科学者の研究姿勢に、生き方を学ぶこともできます。記事を見逃さないで継続的にスクラップし、授業で紹介したいものです。
 (清水西高・吉川契子)