一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=ワークシートで情報力磨く ニュース「自分ごと」に 三島徳倉小

2021年03月06日(土)付 朝刊


 静岡新聞の記事を教材に学習するワークシートを活用した授業が、三島市立徳倉小で行われている。児童らが身近なニュースを読み解き、自分ごととしてとらえて新たな発見やアイデアを見いだす楽しさを実感する。正しい情報を見極める能力も身に付け、ネット時代を生きる子どもたちの考える力を養うのが狙いだ。

 昨年12月、同校の6年生がワークシートと向き合っていた。記事は、県警がスマートフォンのアプリで歩行者用信号機の情報を視覚障害者に知らせる装置の運用を開始した―との内容で、舞台は三島駅周辺の交差点。児童らは写真や記事のキーワードから要点をつかみ、さらに便利な装置にするためのアイデアを考えた。
 三島駅の周辺は景観学習の授業で訪れたばかり。佐藤由紀枝教諭が「自分のこととして考えてみよう」と呼び掛けると、児童からは「道路の段差をスマホで教えてあげられないか」「信号が変わるまでの時間を伝えられたら」などの声が上がった。視覚以外の聴覚や発声の障害がある人も想定し、「音を大きくしたい」「文字を使ったらどうか」など次々と意見を出し合った。
 同校では、6年生の全3クラスでワークシートを授業に取り入れている。社会のめまぐるしい変化に気付いて対応する力を身に付けるとともに、新聞記事に必ず登場する「人」のつながりが世の中を作っていると知ってほしいからだ。朝のスピーチでニュースに対する考えを述べる6年生も出始めるなど、情報に対する意識は高まっている。
 今春からは1人1台のタブレット端末を配布する「ギガスクール」が始まる。情報をいかに理解して取捨選択し、自身の人生に活用できるか。佐藤教諭は「ネットは便利だが頼りすぎず、新聞やテレビなどさまざまなメディアも上手に活用できるようになってほしい」と語る。
 

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本紙記事のワークシートに取り組む児童ら=三島市立徳倉小
 

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授業に活用したワークシート
 
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■紙面授業 英語 学びがつながる喜び 浜松開誠館中・高 伊藤亮先生
 昨年9月に発足した菅内閣は、2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会を実現することを宣言し、新聞でも大きく取り上げられました。
 そんな中、昨年9月3日に気候変動・環境対策に関するオンラインの閣僚級会合が行われました。
 Platform for REDESIGN2020と名付けられたこの会合で、勤務校の生徒たちが英語のスピーチを投稿することになりました。
 伝えたいことを英語にする場合、日本語を単純に英語にするのではなく、聞き手の心に響く表現や単語選びをすることが大事です。
 例えば「地球温暖化は深刻です」という言葉をそのまま言っても印象が強くありません。"Climate Change is no longer a change.It's acrisis.(気候変動はもはやただの変動ではなく、危機だ)"
"Global Warming isn't a prediction.It'shappening.(地球温暖化はこれから起こることではなく、すでに現在起きている)"など、聞き手に思いが伝わる表現を心掛けるべきなのです。
 スピーチを作ったときには他教科で学習した知識も活用できました。green house effect(温室効果ガス)やcarbon dioxide(二酸化炭素)など社会や理科で学習した単語が登場しました。それぞれの教科で学んだ内容が教科横断的に結びつき深い学習をすることができます。
 中学・高校は新学習指導要領の実施を控えており、今後はこのような教科横断的な学びがより重要になってくると考えられます。各科目で学んだことがどこかでつながります。つながる瞬間...その瞬間を楽しみにしながら、学習していきましょう。
 県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。
 
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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(47)総合的な探究学習と連係
 既に発表されているところもあるが、今日から悲喜こもごも国公立大学の前期合格発表のラッシュが始まる。本年度は初の大学入学共通テストということであったが、国語に関していえば、案に相違して問題傾向の激変は見られなかった。
 しかし、今後は共通テスト対策の問題集で試みられているように、写真や図、グラフ、表のコメントに正解が隠されていたり、設問字数が激増したり、そして複数文書の読み比べが求められたりすることが予想される。この対策にこそ、NIEが効果的なのである。
 この先、高校におけるNIEへの取り組み方はより細分化されるであろう。大別すれば、受験対策か社会で通用するスキルや人間性を高めるキャリア教育か、ではないだろうか。
 新教育課程の学習指導要領では、総合的な探究の時間が設定される。まずはこの時間にNIEとしてどのように関わるか、が喫緊の課題であろう。文部科学省の「未来社会を切り拓くための資質」や、経済産業省の「人生100年時代の社会人基礎力」との連係に向けての研究が肝要である。
(静岡高・実石克巳)