一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載

2021年09月04日(土)付 朝刊


■紙面授業 社会 インドを多角的に知る 城南静岡高 梁瀬儀貴先生

 最近、新聞紙面上に「クアッド」という言葉が時々登場します。これは日本、米国、オーストラリア、インドの首脳や外相による安全保障や経済を協議する枠組みで、インド太平洋地域での連携強化を図っています。中でもインドが枠組みに入ったことが注目されています。
 私はインドに行ったことがあります。インドといえば「カレーがおいしい」「ヒンズー教徒が大勢いる」「人口が多い」などをイメージするのではないでしょうか。
 しかし、実際に現地へ行ってみると想像以上に面白い国でした。例えば、インドで大人気の国民的スポーツをご存じでしょうか。正解は「クリケット」です。あまり日本ではなじみではありませんが、世界での競技人口は3億人といわれ、野球やサッカーよりも多いのです。日本では公園、グラウンドでサッカーや野球をしている光景を見ますが、その感覚でインドではあちこちでクリケットをしています。
 インドでクリケットが人気となっている背景にはイギリスの植民地時代を経験したことがあります。さらに、トップ選手の年俸を見てみると推定20億円以上といわれ、かなりの高額です。
 世界でもトップクラスの競技人口の多さがクリケットに関する市場の大きさにつながり、インドの子どもたちはインディアンドリームをつかむために一生懸命に練習に励んでいるのだそうです。
 この他、インドの有力な産業といえばIT産業をイメージするのではないでしょうか。実はインドのIT産業の発展には「カースト」と呼ばれる古来の身分制度が大きく関係しています。この関係性についてはぜひ自分で調べてみてください。
 楽しんで歴史を学びましょう。大事なことは常になぜ・どうしてと考えることです。

 県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 
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NIEアドバイザーのワンポイント講座(52)批判的思考力を養う

 久しぶりに1年生を担当すると、大学受験対策として今から取り組んでおいた方が良いことが見えてくる。その一つとして小論文の入門「新聞記事を利用した練習法」を紹介したい。
 お薦めは、今年分は6日で締め切りとなるが、「しずおか新聞感想文コンクール」である。身近な地域の話題でこそ、クリティカルシンキングなる視点が養われるからだ。今回、筆者の担当するクラスでは「静岡大と浜松医大の統合・再編」の記事について執筆させてみた。
 注意点として挙げられるのは、賛成・反対双方の立場について忖度[そんたく]すること、単なる賛否の表明ではなく複雑に絡み合う事情に配慮しつつ総論的な意見表明を為すこと、これから進学する身として最も学問的環境が整う点に留意しつつ具体的方策を提言すること、を指摘した。また、当該記事だけを参考にするのではなく、先行・後追いの記事も各自で探して参照するよう促している。
 物事は全て時間軸により変化していくので、出来事の流れを時系列に沿って把握する姿勢を醸成する狙いも込めたい。学校や自己評価ではない外部査定も得られる絶好の機会となるであろう。
 (静岡高・実石克巳)