一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=「オリパラ教育」に記事を活用 学習の総まとめ 話題切り抜き展示 浜松・城北小

2021年11月06日(土)付 朝刊


■「オリパラ教育」に記事を活用 学習の総まとめ 話題切り抜き展示 浜松・城北小

 NIE実践指定校の浜松市立城北小(同市中区)の校舎の一角にこの秋、新聞記事を活用して東京五輪・パラリンピックを振り返る目的で児童が制作したパネルが設置された。同校は大会前から、多彩な「オリパラ教育」に取り組んできた。パネル制作や展示を通じて、これまでの学習の意義を児童に再認識してもらうのが狙いだ。
 制作を担当したのは「両大会の面白さを学校中にもっと知ってもらいたい」と集まった6年生の有志約20人。休み時間を使って大会の様子を伝える記事を読み、それぞれが興味関心のある話題を切り抜いた。パネルごとのテーマを分かりやすく伝える工夫として「県勢大活躍」「多様な個性」といった見出しも添えた。
 山岸珠代さんは「大変な作業だったけど、記事を読むたび、いろいろな振り返りができた」と語った。竹内碧さんは「新聞の伝える内容の多さに驚いた」と笑顔を見せた。
 同校は東京五輪・パラリンピックを機にスポーツの価値や効果を再認識し、国際的な視野を養う「オリパラ教育」を2019年度から実施している。障害者福祉についての授業をはじめ、ボッチャやブラインドサッカーといったパラスポーツを実際に体験するなど、多角的な視点から学びを深めてきた。
 NIE担当の稲田晴彦教諭は「新聞はまとめ学習には最適の教材。文章力向上や情報の取捨選択についても学ぶことができた」と意義を強調する。
 パネルを掲示したすぐ横には新聞各紙が置かれ、新聞をより身近に感じてもらう取り組みも実践中という。山田真代子校長は「社会の出来事に多く触れ、今後の成長につながるように視野を広げてほしい」と話した。
 (浜松総局・足立健太郎)

 

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東京五輪・パラリンピックを振り返るパネルに見入る児童=10月下旬、浜松市中区の城北小

 

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■紙面授業 国語 今も昔も災厄恐れて 静岡学園中・高 猪又恵理先生
 季節は秋。全国に猛威を振るった新型コロナウイルスの感染者数も減少し、少しずつ人出も戻りつつあります。コロナ禍では、妖怪のアマビエが災厄を予言した存在として取り上げられ、新型コロナ感染拡大防止のシンボルとして新聞紙面でも度々紹介されました。
 アマビエは人に益をもたらす妖怪でしたが、そもそも今から千年ほど前の日本では、病気は悪霊のたたりによって引き起こされると考えられていました。そのため、陰陽師[おんみょうじ]らによって病気を引き起こした悪霊、生き霊を払う加持祈祷[きとう]が行われ、病気を鎮めようとしたのです。
 死後、たたりとして疫病を起こしたとされる一人に、菅原道真がいます。中学校の社会科においては、遣唐使の廃止を提案した人物として覚えられているのではないでしょうか。彼は、平安時代に右大臣の地位にまで昇りつめましたが、左大臣藤原時平によって謀反を起こそうとしていると告げ口をされ、無実の罪で福岡県の太宰府に左遷され、そこで一生を終えました。
 その後、藤原時平の病死や疫病の流行、天皇の住居であり政治の中心でもあった清涼殿の落雷事件などが起こります。こうした一連の出来事について、人々は怨霊となった菅原道真のたたりであろうと恐れ、京都の北野と福岡の太宰府に天満宮を作って天神様として祭り、魂を鎮めようとしたのでした。菅原道真は、3代続く文章博士でもあったため、現在では学問の神様として、受験生にお参りされる存在でもあります。
 菅原道真が愛した花は梅の花と菊の花。重陽の節句である9月9日を過ぎた後の菊の花を、めでる漢詩を残しています。木々の紅葉が進み、菊の花の香る秋の夜長に、読書に勉強にいそしむのもよいのではないでしょうか。

 

※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(54)広告の情報 考える素材に
 広告は、企業などの広告主から消費者への一方的な情報伝達であると捉えてはいませんか。
 新聞広告に目を向けてみると、お互いがコミュニケーションをとることで成り立っているものがあることに気付きます。これを広告コミュニケーションと言います。広告主は、発信した情報を消費者がどのように受け止めてくれるのか、反応を期待していますが、コロナ禍ではその意味合いがより強くなったように感じます。
 商品の良さや特徴を全面に押し出すものが商品広告ですが、コロナ禍を健やかに生き抜く知恵やSDGs(持続可能な開発目標)に関連付けて商品を紹介するという形にシフトしているものも多く見掛けるようになりました。
 さらに、商品広告ではなく意見広告として、紙面1面を使って読者に直接意見を問うものもあります。
 ポスターのような色合い、レイアウト、キャッチコピーで構成されている新聞広告。記事のような詳しい説明がないからこそ、見えない情報を自分なりに受け止め考える場を提供してくれる新聞広告を、授業などで活用しない手はありません。
 (静岡井宮小・中村都)