一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=静岡中央高 本紙読者欄を活用 「新聞投稿」授業 自分の視点発信 客観性意識 自己肯定感高く

2022年02月05日(土)付 朝刊


■静岡中央高 本紙読者欄を活用 「新聞投稿」授業 自分の視点発信 客観性意識 自己肯定感高く

 静岡市葵区の静岡中央高の3年生15人が、「小論文」の授業で気になる記事を選んで意見をつづり、静岡新聞の読者欄に投稿する活動に取り組んでいる。本年度は延べ20本が掲載された。生徒たちはニュースを的確にとらえる大切さや、客観的な検証をしながら自分の視点を発信する意義を実感している。

 

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記事を読み、投稿する文章を考える生徒たち=1月中旬、静岡市葵区の静岡中央高


 1月中旬には「ジェンダーレス制服、全国で拡大」などの記事をテーマとした。生徒は制服の多様化を「選択の自由」と結び付けて賛成し、さらに「制服を着ない日があってもいい」と付け加えた。記事は教科担当の青木伸也教諭(63)が参考に用意したが、記事を独自に選び持参する生徒もいる。年末年始の交通事故のニュースを通じて自らを戒めたり、地域活性化への期待感を表したりと、多彩な原稿がそろった。
 3年の村松玲旺さん(19)は「掲載されれば多くの人の目に触れるので、客観的にどう受け止められるか意識して言葉を選ぶようになった」と振り返る。昨年は3回掲載され、親戚から連絡が来て「うれしかった」という。

 

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村松玲旺さんのノート。まず意見をノートに整理してから文章を書き上げる


 青木教諭は2019年度から、投稿用に原稿を書く授業を実施している。本年度の生徒たちは「親ガチャ」「成人年齢引き下げ」、県知事選に合わせた「知事への期待感」など、一人一人が関心事を選び、原稿を書いた。ほとんどの生徒が採用されている。
 「生徒たちは確かな視点を持っている」という青木教諭。「選ぶ言葉に、経験に裏打ちされた優しさや説得力がある。新聞に掲載され第三者に認められることで、自己肯定感を高めたい」と期待する。
 生徒は読まれる前提で文章を書くことで事実確認や調べ学習にも力が入るといい、「ネタ探しとして、社会の事象に自然に目が向くようにもなった」と手応えを語る。
 (社会部・大須賀伸江)

 

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■紙面授業 情報 現代に必要な新課程 桐陽高 米村友裕先生

 2022年度より、高校の各科目で新課程が施行されます。その中で、大きな変化を迎える科目の一つが「情報科」です。これまで2種類の科目の中で高校の課程に合わせた選択がなされていましたが、来年度からは全国統一で「情報1」という科目に変わります。
 内容としては、デジタルとアナログの違いに始まり、コンピューターの仕組みやネットワークの仕組みなど高度情報化が進んだ現代において必要となってくる知識を幅広く学んでいくことになります。

 中でも、とりわけ目新しい要素として「プログラミング」が正式に学習内容に追加されたことが挙げられます。ここでいうプログラミングは、言語の仕組みを理解し、日常の中でプログラミングを用いて解決可能な課題を提案し、実際にシミュレーションすることで問題解決の方法を理解するといった流れになっていきます。難しく考えずに、まずは、なんとなく自分たちはこんなことやるんだなぁと思っていてもらえるといいでしょう。

 情報科についてもう1点挙げるとすれば「大学入試共通テスト」です。というのも、同じく22年度に高校に入学する生徒が3年生になる年から、共通テストの受験科目の一つとして「情報」が追加される方針となったのです。このニュースは新聞紙面でも報じられました。
 ここで重要になってくるのは、1年生の時にどれだけ授業の内容を「知識」として定着できるか、ということです。もちろん高校、ひいては指導する先生によって授業展開の仕方は大きく変わってくるでしょう。
 この記事を読んで、これから高校にあがってくる皆さんが、入学してくる前から少しでも情報という科目に興味をもち、積極的に学ぶ姿勢を示してもらえたなら幸いです。

※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(56)学びがつながる楽しさ

 今の学びが、過去の学びとつながることは、楽しいものです。学ぶ楽しみをもたらすすてきなツールとして、新聞記事を活用しています。
 新聞を眺めるのが私の朝の大切なルーティン。「この記事を授業の始めやまとめに」「この記事や写真から思考が深まっていきそうだ」。考えが頭の中を巡りながら一日が始まります。
 ある日、「レタス工場起工」という記事が目に留まり、6年生の子たちと読みました。「なぜ野菜を工場で?」。見出しから疑問が生まれます。その瞬間、5年時の学びとつながる子がいます。「水と空気と適切な温度があれば発芽できるから畑でなくてもいいのでは?」
 さらに、次なる疑問。「日光や養分がなければ、成長しないよね。室内でどうやって日光を?」。数カ月前に学んだ内容です。その疑問にも、記事の写真から人工的な明かりに気付く子がいます。
 一つの記事をきっかけに、植物の発芽と成長という2年間の理科の学びがつながり整理されていきます。
 新聞のすごさは、幅広いジャンルと信憑性(しんぴょうせい)です。つながる楽しさを体感してみませんか。
 (静岡清水三保第二小・小川訓靖)