一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=記事に反響 活動手応え 清水東高新聞部「清高新聞」 企画から編集 伝え方に知恵

2022年03月05日(土)付 朝刊


■記事に反響 活動手応え 清水東高新聞部「清高新聞」 企画から編集 伝え方に知恵

 清水東高新聞部(静岡市清水区)が2021年度県高校新聞コンクールで最優秀賞を受賞した。紙面の総合的な完成度の高さや速報性が評価された。背景には2年生と1年生の部員計5人がネタ集めから取材、原稿執筆、整理作業までを担当し、伝え方にも工夫を凝らす新聞部の取り組みがある。

 

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一般紙や学校新聞を並べて紙面構成をチェックする清水東高新聞部の部員=静岡市清水区の同高

 
 紙面を彩る記事の内容は幅広い。受賞した2021年9月発行の第293号(全16ページ)の中には、1年生の参考になればと文理選択を経験した上級生へのアンケートから、自然科学部化学班の全国大会での活躍を伝える速報性の高いニュース、コラム、4こま漫画まで、「新聞」に求められる硬派と軟派、両方のコンテンツを網羅した。

 

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完成度の高さを評価された清高新聞

 
 新聞部の活動は週4回。紙面制作の第一歩となる「ネタ会議」では1人当たり五つほど原稿のアイデアを持ち寄って構成を話し合い、案がまとまると2人一組になって取材に取り掛かる。コロナ禍で校外取材が難しくなる中でも、取材先選びを工夫し自分たちでアポイントを取って原稿を日々集めている。
 紙面組みにも工夫を凝らす。手でちぎったように各部活動の写真を並べるスクラップ風の紙面レイアウトを試したり、記事を目立たせる円形の「箱組」を作ったりと、生徒自らが整理記者の役割も実践する同部の特色を生かして組み上げる。
 近年、コンクールで活躍を続ける同部だが、5年ほど前までは「廃部寸前。幽霊部員が宿題をやる広場だった」と顧問の井口知佐子教諭(60)は振り返る。部員数減少も深刻だった。試験前も取材や紙面組みに奔走する必要があるなど、入部先を迷う新入生に受けが良い部活動ではない。
 活動を支えるのはやはり読者の反応だ。蓬田正義部長(17)は「クラスで新聞を手に取る級友を見て、自分の書いた記事について話し合う声を聞く。影響力がある活動だと感じることができる」と高校新聞の魅力を語った。
 (蒲原支局・マコーリー碧水)

 

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■紙面授業 国語 古典は現代を知る教材 清水国際高 深沢満美先生

 「古典はオワコン 終わったコンテンツ」。1年ほど前、そんな衝撃的な言葉がネットを騒がせました。しばらくの間、ネット上に賛否さまざまな意見があふれ、私は複雑な気持ちでこれを眺めていました。
 私と古典との〝出会い〟は、小学生時代。私の読み物は七つ上の姉の影響を受けていて、特に平安貴族をモデルにした少女小説「なんて素敵にジャパネスク」(氷室冴子作)には、胸を躍らせました。そこから、古文、漢文、歴史、宗教、思想へと関心の幅を広げ、今に至ります。
 オワコン論争の軸は、実生活に役立たないという「不要論」でした。しかし、古語が日本語の源流であること、日本人に大きな影響を与えたのが古代中国や漢文であること、言葉は文化から生まれ思考の軸になることを思えば、必要かどうかに論点をおくこと自体、危険なことだと思います。
 何より、これまで何千何万もの文学作品が紡がれてきた中で、数百年、数千年読み継がれ後世に伝わる作品を「古典」と呼ぶわけですから、古典は「生きているコンテンツ」に他なりません。
 4月から、高校でも新学習指導要領の下、新しい教育が始まります。必修科目「言語文化」は、古文、漢文、現代文の全てを扱い、古代から連綿と続いてきた文学を一続きのものとして学びます。新たな高校教科書の検定結果が公表された際にも、「言語文化」の特徴が新聞紙面で大きく紹介されました。
 国語は、単に日本語を勉強する時間ではありません。さまざまな時代や作家の文学を広く学ぶことで、日本文化や考え方を知り、言語力や思考力、人間性の涵養[かんよう]を目指すのだと思います。高校生が「思考のヒントとしての国語」に関心を寄せ、主体的に学ぶ姿勢を持てるよう、私自身が研さんを積むべきだと強く感じています。

※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(57)考えて書く力をつける(塚本学/常葉大常葉中・高)

 しっかり考えて書く生徒を育てたいと思っています。その一環として本校では、「しずおか新聞感想文コンクール」に毎年応募しています。対象は中学3年生から高校2年生、夏休みの課題として取り組ませています。
 その際に使っているA3判ワークシートは、3項目からなります。
 1、記事で中心となるテーマを記し、記事の要旨のまとめをさせる。2、生徒が気になった点を書かせる。生徒には、「ここが勝負!」と励まします。気になるところは考える糸口、それを押し広げることで、自分の考えを作るからです。3、上記を踏まえて、気になった点について理由や考えを箇条書きでもいいから書かせます。
 1から3を順番にやることで感想文の〝骨格〟が出来上がります。新聞記事を読むことにより、社会の現実と向き合い、それについての考えを書く作業は小論文に近いと思います。審査員長の赤石達彦県立中央図書館長は、「新聞を読んで、自分が社会とどう関わっていくのか、どう生きていくのかを考える際の道標にしてほしいと思います」と講評で述べていました。皆さんもぜひ書いてみてください。
 (常葉大常葉中・高・塚本学)