一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=紙面授業/NIEアドバイザーのワンポイント講座

2022年07月02日(土)付 朝刊


■紙面授業 国語 読み比べのススメ 藤枝順心中・高 増田春一先生

 ロシア軍によるウクライナ侵攻のニュースには、世界中で多くの人々が、憤りや悲しみを感じているでしょう。しかし、ロシア側からは「ロシア軍が一般市民を攻撃したというのは、ウクライナのフェイクニュースである」と発信され、ロシア国内では、その情報を事実だと思っている人が多いということです。また、新型コロナ禍の初期には「コロナは空気感染する」と恐れられるなど、本当かどうか分からない情報も流れました。
 現代の中高生にはスマートフォンを通して、多くの情報が入ってきます。何が本当で何がうそか分からない、と感じる人もあることでしょう。その際に、オススメするのが、新聞など活字の文章と読み比べることです。入力したままのSNS(交流サイト)上の文章(よく誤字が見つかりますよね?)と、多くの人の目と手を経て活字化された新聞とでは信頼性が違います。
 気になるネット上のニュースは、活字の新聞と読み比べましょう。また、語句を検索する際も、複数のサイトを見比べましょう。それによって、あなたなりの「本当」が見えてくるはずです。このような、情報を読み比べる力の必要性は、大学入学共通テストで二つの文章を比較・総合する問題が頻出していることからも分かります。
 面倒に思うかもしれませんが、読み比べることは楽しいものです。例えば、歴史上のヒーロー、源義経。彼は「平家物語」「義経記」などの古文から近現代の小説まで、多くの作品に描かれています。それらを読み比べていくうちに、あなたの心の中に、生き生きとした「義経」ができあがるのです。
 「本当」の情報を知り、「本物」の人物があなたの中に生まれることは、とても楽しいことではないでしょうか。

※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

               ◇........................◇

 

■NIEアドバイザーのワンポイント講座(61)最新の学問成果に注目(吉川契子/静岡城北高)

 今年、宇宙に関する大きなニュースがいくつか新聞紙面に掲載されました。
 5月、天文学の国際研究グループが、銀河系の中心部にあるブラックホールの「輪郭」の撮影に成功したと発表しました。
 6月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機はやぶさ2が2020年に持ち帰った小惑星りゅうぐうの砂からアミノ酸が検出された、と報じられました。
 記事を気軽に紹介するため、よく利用しているのが教材提示装置です。教室に新聞を持参し、装置でスクリーンに拡大表示すると、教師が解説する前から、見出しや写真を見て「これ、知っているよ」などと会話する生徒もいます。
 見出しと写真とリード文の拾い読みだけで、生徒がニュースの概要を理解することができます。教科書のどこに関連しているかも併せて説明します。学習段階に応じて、さらにかみ砕いた分かりやすい表現で補足説明を行うといいでしょう。記事を回覧して教室に提示し、自宅の新聞でも記事を探してみるよう声を掛けます。
 新しい学問上の成果が、生徒が理解しやすい文章と、写真や図・解説で紹介されている新聞記事を利用して、話題のニュースを取り上げることは、学習に興味を持たせる上で極めて有効です。