一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=授業に朝活動 紙面を活用 浜松学芸中 新聞コンクール 学校奨励賞 関心広がり 表現力向上も

2023年03月04日(土)付 朝刊


■授業に朝活動 紙面を活用 浜松学芸中 新聞コンクール 学校奨励賞 関心広がり 表現力向上も

 浜松学芸中・高(浜松市中区)の中学が昨年末、日本新聞協会の「第13回いっしょに読もう!新聞コンクール」で、学校奨励賞に選ばれた。朝活動での発表や新聞作りを通じ、新聞に親しみながら表現力を高める取り組みを強化している。

 

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気になった記事について発表する生徒=浜松市中区の浜松学芸中

 

 1月中旬、3年のクラス。昨年12月29日付の本紙朝刊に掲載された「2022年県内十大ニュース」を教材に、社会科の授業が進められた。黒板には各項目を空欄で表示。生徒は班ごとに「2位は保育園の事件かな?」「観光バスの事故じゃない?」などと記憶を頼りに予想し合った。
 さらに、十大ニュースに取り上げられた事件や事故を振り返り、再発防止策なども探った。5位の裾野市の不適切保育に関しては、「保育士は給料が少なく、人手も足りない。事件はストレスが原因ではないか。給料を上げるべき」といった意見が聞かれた。

 

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2022年県内十大ニュースを使った社会科の授業

 
 スポーツニュースも話題となった。サッカーが好きという磯部翔さん(15)は「エスパルスとジュビロのJ2降格が印象的だった。残念だけど、新聞からは選手の頑張る姿が伝わる」と受け止めた。
 新聞の活用は、会話や文章の表現力向上も重要な目的の一つ。3年生は毎朝、その日の朝刊で気になった記事をクラスで発表する。企業の賃上げについて紹介した鈴木杏望さん(15)は「家族とも賃上げの記事について話した。新聞を通して、今の出来事を学びたい」と意欲的だ。
 長期休みには、学年ごとに都道府県の特徴や歴史などの課題が割り振られ、生徒が調べたことをまとめて「新聞」を作る。社会科の大場裕幸教諭(45)は「自分の意見をきちんと表現できるようになってほしい。いろいろなテーマでNIEに取り組みたい」と話す。
 (浜松総局・日比野都麦)

 
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■紙面授業 地歴公民 生き方考える金融教育 星陵高 間宮健先生

 2022年度、高校公民科はこれまでの「現代社会」が廃止され、「公共」が必履修科目として新設されました。その目的は、「公共的な空間の中で、他者や社会と関わり、課題を発見し議論することで、望ましい社会を創造できる人間を育成すること」とうたわれています。
 本校の1年生の公共の授業は「2分間スピーチ」から始まります。ニュースや、今自分が気になっていることなど、生徒個々が準備をして発表を行います。新聞でも度々取り上げられているSDGs(持続可能な開発目標)などの国際的な問題から、飲食店での迷惑行為などの身近な問題まで、さまざまな内容が取り上げられます。中には、アイシングについて詳細に調べる野球部の生徒、パートナーと長続きするための秘訣[ひけつ]を調べる恋愛真っ最中の生徒もいます。どれも、生徒が主体的に考え、調べ、発表を行っています。
 発表の中で、私の目を引いたのは、「投資」に興味を持っている生徒が多数いたことです。本年度から高校の家庭科で「金融教育」が始まったことが大きな要因と言えます。私が高校生の頃は、「投資」という言葉すら頭になかったことを考えると、時代は変わってきていると感じます。
 生涯賃金を逆算し、お金をどう「投資」し「運用」していくか。それは、人生をどう生きていくのかにもつながっています。「堅実に長期的な投資をして、将来に備える」「若いうちに資産形成し早期にリタイアして自由な生き方を望む」など、考え方は人それぞれです。
 大切なことは、高校生の段階で、「お金」を含めた将来を真剣に考えること。「お金」と「時間」を、自ら考え「投資」することで、物心ともに豊かな生活を送ることができるように、生徒たちと一緒に考えていきたいです。
※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 
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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(68)共通テスト攻略へ「読む」(塚本学/常葉大常葉中・高)

 大学入試共通テストは、質、量ともに増加した複数の資料から必要な情報を適切に読み取る問題が増えました。受験生を取り巻く社会や実生活にかかわる設問もありました。
 読解力、情報処理力や時事問題へ関心を持つことが求められ、新聞を読むことの有効性を改めて感じました。新聞を読んでいれば、真実を知り、知識を増やすことになります。「そういえば、この前読んだ記事にあったな」と思えれば、しめたものです。
 また、知らない言葉を調べる習慣を身に付けておきましょう。読解を支えるものは知識だからです。長文を読んでいると、内容が入り組んで混乱してしまい、分からなくなることがありますが、記事には見出しがあるので、参考になります。一番大切なこと、伝えたいことが見出しになっているので、分からなくなったら見出しを見ればいいのです。
 もう一つは、硬い文章に慣れ親しむことができることです。インターネットの記事は、クリックしてもらうために軟らかい文章にしていることが多いので、やはり新聞がお薦めです。堅苦しくやるのではなく、気楽に新聞を読むことから始めてみましょう。