一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

月刊一緒にNIE@しずおか・第1日曜掲載

■紙面授業 保健体育 夢を持ち続ける意味 日大三島高 高村昭寿先生

 水泳の世界選手権が7月に福岡で開催されました。福岡での開催は2001年以来2回目です。久しぶりの日本開催とあって新聞紙面でも連日、大きく報道され、水泳指導者である私も心が躍りました。この大会で、私はある一人の選手に注目しました。女子平泳ぎの鈴木聡美選手です。
 鈴木選手は、開催地福岡県の出身。2012年のロンドンオリンピックでは一つの銀メダルと、二つの銅メダルを獲得し、32歳の今も現役を続けるベテランスイマーです。水泳の女性トップスイマーの平均年齢からすると、だいぶ年齢を重ねていますが、今大会の100メートル平泳ぎで14年ぶりとなる自己記録更新を果たしました。トップになればなるほど、自己記録更新が難しくなる中、14年という歳月をかけて自分に挑み続けた結果に、心打たれました。
 私は教師であると同時に、一人の大人として生活しています。改めて、大人は皆、「夢」や「目標」を持って生きているのだろうかと考えさせられます。仕事では自分の役割があるにしても、子どもの時に思い描いたような非現実的なことも含めた夢を見ているでしょうか。
 30代前半のころ、ある集まりで、「君の夢は何か」と聞かれ、はっきりと答えることができませんでした。進路指導では生徒に目標を持つようにと言いながら、日々の仕事に追われ、自分に「夢」や「目標」がないことに気付かされた瞬間でした。
 その日以来、夢を探す努力をし、40歳を前にして今は明確な目標を掲げて充実した日々を送っています。鈴木選手は五輪を経てなお、追い求めたい価値あるものを見つけたのではないでしょうか。
 夢があると前向きに、そして楽しく生きる力が湧きます。皆さんに夢はありますか。追い求めたいものは何ですか。

※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 
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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(74)五感働かせ思考する重み(中村都教諭/静岡千代田小)

 NIEでは、デジタルとアナログの共存に焦点が当てられています。どちらかというと、「すぐに答えが見つかるから、絶対デジタル」の傾向が強いように感じます。これからの時代、スピードも効率も当たり前ですが、情報イコール答えではありません。
 獲得した情報を活用し、それを知識にしていく活動こそが重要だと考えます。そのためには、両者のいいとこ取りは必至で、教師自身が使い分ける術を身に付けることが急務です。
 小学校では、五感を働かせて獲得した手触りのアナログ情報は欠かせません。図画工作で花を写生するなら、タブレットの写真を使うのではなく、本物を見て触れて香りを楽しみながら描かせるのです。そうすることで、絵に感情を織り込むこともできるでしょう。
 子どもたちに「面倒くさい」と言われても、手間取ったり無駄とも思えたりする中に、自分で思考していく時間が生まれます。デジタルに置き換えられない価値のあるものを意識して探し出していくことや、ゆっくりと熟考する時間は、いつの時代でも誰にとっても大事なことかもしれません。