SPAC「サーカス物語」を巡る対話(上)
11月3日、県舞台芸術センター(SPAC)の公演「サーカス物語」の千秋楽に行ってきました。
終演後、SPACの芸術総監督を務める宮城聰さん、今作の演出を務めたインドネシア人のユディ・タジュディンさん、振付家でダンサーの北村明子さんによるトークセッションが行われました。
興味深い発言が相次いだので、3回に分けてご紹介します。
まず、タジュディンさん。
日本、そしてSPACの印象をこう語りました。
「2000年に初めて日本人の俳優と仕事をしました。そのときから日本、そして日本語に魅力を感じています。インドネシア語に比べ、音楽的だと思います」
「いろいろな人から日本人は『堅い』と聞いていましたが、SPACの俳優は決してそういうところがありませんでした。7月のけいこ初日から、さまざまなアイディアを出してくれた。オープンで自己責任感がある人物が多いと思いました」
自らの母国、インドネシアという国の文化について。
「多民族国家です。スマトラ、ジャワ、パプア…。各地域に違う民族が住んでおり、違う言語を話します。傾向も異なっていて、例えばジャワの人はどちらかと言えば内向的。外に自分の感情を出さないことが多い。これに対してスマトラの人はもっとオープンですね。自由に表現をする方が多い」
「自分がインドネシア人だからかもしれませんが、『文化の違い』に慣れているかもしれません。インドネシアは多様性に満ちた国ですから。小さいころから異なる文化というものに触れ合う機会があり、多様性が尊重されています」
最後に、演出という仕事について。
「常に思うのは、出会いの場であるということ。海外に行ったときは、個人との出会いの他に、他の国の文化に触れるということもある。舞台というのは共同作業だから、失うものもありますが、得るものもある。それまでとは異なる自分に出会える場だと思います」(橋)
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