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アクアチントを追究 二見彰一さんの個展へ

 1月19日まで静岡県立美術館で開かれている「二見彰一展」に足を運びました。銅版画技法の一つ「アクアチント」による深い青色を基調にした作品で世界的に知られる作家の個展です。(橋)

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 二見さんは1932年生まれ。今なお創作を続ける、日本を代表する銅版画家です。今回の展覧会は県立美術館収蔵品を中心に、約300点が出品されています。

 まるで深海に身を置いたような気持ちになる、青く繊細な静物画の数々。1960年代から1999年まで、徹底的にアクアチントを追究したブレのない作風からは、とてつもない意志の強さを感じます。

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 銅版画の数々の中に、そっとさし込まれるようにして置かれた二見さん本人の言葉が印象的です。
 版画集「ミクロドラマ」を集めたコーナーは、作品一つ一つに寄せた二見さんの「解説」が添えられています。一例を紹介しましょう。

 ガラスのとりは
  光をすいこみ
   光にそまり
    光にかげる
  光のないところでは
   とりは うたわない
(ガラスのとり)

 これ自体、現代詩としてとても優れた作品だと思います。
 極端に技法と色を制限した中から、自身の表現をつかみ取った二見さんにとって、「言葉の世界」は気ままに羽を伸ばせる場所だったのではないでしょうか。

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