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「C2C -Challenge to Cannes2014」監督らがトーク(中)

 静岡市葵区、清水区で行われた「シズオカ×カンヌウィーク2014」(5月17~25日)の企画として行われた、日本人若手監督のトーク抄録第2弾です。
 イベントは5月24日、葵区のサールナートホールで行われました。参加者は「Gateway for Directors Japan」アーティスティックディレクターの小山内照大郎さん(パリ在住)、真利子哲也監督(「イエローキッド」など)、深田晃司監督(「東京人間喜劇」など)、濱口竜介監督(「PASSION」など)、伊藤峻太監督(「虹色★ロケット」など)でした。(橋)

20140528webc2c2.jpg司会:約1週間カンヌに滞在したわけですが、どんなことを感じましたか?



濱口:単純素朴な感想は「えげつない」。行く前から小山内さんから「飲み込まれないように」と言われていたとおり、街全体が躁状態でした。熱量が高いんです。いろいろな人の欲求がここに集まってきている。それがプラスかマイナスかは分かりませんが、とにかくそこに驚きを覚えました。「映画」というものがここまで熱量を生み出せるのか、と。

深田:2010年に撮った「東京人間喜劇」でローマの国際映画祭に初めて参加しました。その他にも、いくつかの国際映画祭に呼んでもらったり、企画マーケットにも連れて行ってもらったことはありました。ただこれまでは全て、上映監督として行っていた。一面しか見えていなかったなと思います。今回は企画を売り込みに行ったということもあり、マーケットの部分が実感できました。カンヌ映画祭は商業的でありながら作家性も高い不思議な場所。話を聞いたプロデューサーたちが企画への参加を決めるのは、「脚本が面白いか」が半分、「自分が何を与えられるか」がもう半分だということがよく分かりました。きっと、一人で行ったら熱量に巻き込まれていたことでしょう。水先案内人が必要ですね。韓国のように、それを行政が担っている国もありました。

真利子:今まで短編映画で参加した映画祭でお会いしたいろいろ人が一堂に集まっていました。過去に会った人がみんないて、「集まってきているんだな」という実感でした。毎日企画をプレゼンする立場だったんですが、「この企画がどういうものか」を口にしながら過ごしていたおかげで、企画そのものがより明確になったように思います。映画がどう作られるかをあらためて勉強できた。身に染みる経験になりました。

伊藤(ユース特別枠として参加):唯一の20代ということで、カンヌで得た体験がこの先の自分の作品作りに影響しないわけがないと思っています。行ってみないとわからないことがたくさんある。いい意味でイカれた兄さんたち(他の4監督)と話せたのは大きな出来事でした。

小山内:カンヌ映画祭と言えば「上映しに行く」というイメージが強いですが、アート系の映画については、世界最大級のマーケットでもある。いわば幕張メッセのようなものです。ブースがズラッとならんでいて、映画の売り買いだけでなく、企画や俳優の卵が集まって。何とか自分を見つけだしてもらおうという欲望がうずまいています。日本のテレビ中継ではレッドカーペットのイメージですが、その裏側には「何とかそっち側に行きたい」という人々がいっぱいいる。そうした部分に触れるのが今回の企画の目的でした。

(敬称略、以下次回)

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