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映画「選挙2」をめぐるトーク(上)

 8月17日、静岡市葵区のサールナートホールで映画「選挙2」(想田和弘監督)の上映会が行われました。終了後に想田監督、ヒップホップグループ「ライムスター」の宇多丸さん、今年の東京都知事選に立候補した起業家の家入一真さんが「ここがヘンだよ日本の選挙!?」と題してトークを繰り広げました。3回に渡って、当日の模様をお届けします。(橋) ※敬称略

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〈パネラー3人の紹介の後、想田さんの映画製作の特色が語られました〉
宇多丸:一般的なドキュメンタリーと、想田さんの映画は作りが違いますね。そこから始めましょうか。

想田:ずっと「観察映画」と銘打って撮影しています。「選挙2」は6作目。「観察映画」には、僕自身が観察した結果を映画にするという意味がある。事前のリサーチをしない。台本も書かない。行き当たりばったりで何が見えるのか。

宇多丸:逆に言えば、僕らが普段見ているニュースやドキュメンタリーはそういう作りではないわけですね。

想田:そうですね。9割以上は事前にたくさんリサーチをして、「何が撮れる、何が撮れない」を明らかにした上で、構成台本を書く。エンディングも決まっていて、それに合わせて撮りに行く。でも台本に合うものばかりにカメラを向けてしまうので、発展がなくなってしまいます。

〈映画「選挙2」についての話に〉
想田:山さん(同作で描かれる元川崎市議の山内和彦さん)が出馬することは事前には全く知りませんでした。香港で彼のブログを読んでいたら出馬表明が書いてあって。どぶ板選挙は一切やりません、選挙カーは走らせないし、事務所も置かない、と。要するにお金のかからない選挙をして、脱原発の主張をしますということらしい。これ、撮らなくちゃまずいかな。と思ったんです。

宇多丸:それが2011年。

想田:機材をそろえて駆け付けたわけです。そうしたら、街頭演説すらやらないと言う。選挙なのに何もやらない中年のおっさんをどう撮ろうか悩みました。内心「ふざけるなよ」と。普通の映画作家は撮るのをやめていたと思います。

宇多丸:ポスターの貼り直しぐらいしかしませんもんね。

想田:これほど挑戦的(な撮影)だったことはありませんよ。

宇多丸:それでも、とりあえずカメラを回し続けたのはなぜでしょう。

想田:常日頃「ドキュメンタリーはネタじゃないんだ」と言っている。ずっと「どう見るか、どう観察するかなんだ」と言っていた。だから、何もしない山さんを前にして「こんなの映画にならない」と言ったら負けじゃないですか。

宇多丸:カメラを回しているうちに「オッ」というものがあったわけですね。

想田:そうですね。変なものが撮れているという実感はずっとありました。

宇多丸:結果的にエンターテインメント性が高い作品になりましたね。

家入:僕、笑いが止まらなかったですね。こういう映画だったんだなと。(前作の)「選挙」よりも笑いの要素が強いですよね。

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