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栗コーダーカルテットとの対話(上)

 10月7日夕刊「情熱細胞」に、結成20年を迎えた「栗コーダーカルテット」のインタビューを掲載しました。9月22日、朝9時20分からのSBSラジオ出演を終えた4人に、スタジオ前のスペースで話を聞きました。4人で重ねた歳月が、バンドの表現にどんな変化を与えたかがテーマ。新聞紙面で本筋は書き尽くしましたので、ここでは「余談」をお送りします。ステージ同様、ユーモアあふれる親密な雰囲気ながら、話はかなりマニアックな領域に。インタビュアーとしても充実した時間でした。数回に渡ってその内容をお届けします。(橋)※発言者敬称略

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▼昨日のライブ(9月21日、静岡市葵区のサールナートホール)は、非常に盛り上がりましたね。特に印象に残ったのは「富士山」。関島(岳郎)さんが吹く低音の主旋律が、あの山のどっしりした量感をよく表しているように感じました。

関島「会場の音の鳴り方もあって、いつもより太く聞こえたかもしれません」

栗原正己「全体的に、お客さんが熱心に聴いてくれましたね」

関島「いろいろなことに興味のある方が多いのかなと感じました」

川口義之「春風亭昇太さんの落語会に呼んでいただいたときに近かった。すべてを聞き逃さないぞ、という」

▼結成のいきさつは? 公式サイトには、一堂に会したのは1993年春、近藤(研二)さんが在籍していた「ハイポジ」にサポートメンバーとして3人が参加したときとありますが。

関島「当時からみんな、ポップスの分野でいろいろなことをやっていた。それぞれに行き来はありましたが、『ハイポジ』に加わって全員が出会ったんです」

栗原「僕は1992年の暮れから参加していました。その後、みんなが入ってきて」

川口「いろいろな人が出たり入ったりしているんです。僕の前のサックス奏者は、今をときめく菊地成孔先生ですね。その前は(関島のグループ)コンポステラのサックス奏者、篠田(昌巳)さんがやっていました」

▼リコーダーでアンサンブルをするというアイディアは、どうやって生まれたのでしょうか? 94年春に知久寿焼さんのライブで伴奏を務め、7月に栗コーダーカルテットで初ライブを行っていますが。

栗原「僕にリコーダーのブームが来たのと、ハイポジの演奏に参加させてもらうようになったのがほぼ同時期なんです。ステージは基本的にエレクトリックでやるんだけど、行進しながら、例えば大太鼓とかバンジョーとかを抱えて入場することがあった。その時にリコーダーは便利でした。エレキベースを持って入るわけにはいかなかったですからね」

関島「具体的な話をしたのは94年の早い時期、梅津さんの『大仕事』でしたね」

川口「(西荻窪の)『アケタの店』で数日かけてやるイベント」

栗原「それまでも関島は、(演奏時に)チューバの陰に小さなリコーダーを持っていたんです」

関島「ハイポジでは飛び道具として吹いていた」

栗原「僕はそれに感化された。こんなに吹けるのか、という気持ちがあった。それまではハ長調とかト長調でのんびりした旋律を吹く楽器だと思っていたんですが、いろいろ幅が作れるんだなと。その打ち上げのときに栗原、関島、川口の3人がいて、2人はもともと管楽器の奏者だし、僕にはブームが来ている。だからやろうと。それから、『どうせなら四重奏がいい』となって、近藤を誘いました」

▼近藤さんは弦楽器奏者だし、戸惑ったのではないですか?

近藤「それがそうでもなくて。自分の曲のデモテープではリコーダーを使っていましたし。もともとイギリスの音楽が好きだったので、ロックでもトラッドでもリコーダーが出てくる(ことには慣れていた)。でも本格的な四重奏は初めてでしたから、とにかく猛特訓しました。タンギングからやり直したことを覚えています」

▼アンサンブルがどうなるか、ある程度想像していましたか?

栗原「最初はとりあえず、がむしゃら、やみくもにやっていた感じ。今振り返ってみて反省するのは、音域が全部使えるものだと思っていたことですね。リコーダーって、鳴るには鳴るけれど実用的ではない音域がある。低い方は鈍いし、高い方は(音を出すのが)きつい。それゆえの面白さはあったかもしれませんが、決して演奏しやすくはなかったですね」

関島「リコーダーでどこまでできるかを追求するというのが、アレンジのテーマだった」

近藤「僕はブラスバンドの経験もないので、4人で力を合わせて和音を出すという体験がそもそも新鮮でした。吹奏する楽器でステージに立つことはそれまでなかったし」

栗原「エレクトリックのバンド編成でのアンサンブルになれていたから、単音の楽器で協力して和音を作ることは確かに新鮮でした。ずっと忘れていた感覚だった。ちゃんとハモると、気持ちいいですからね」

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