更新日：2022年3月7日

罪悪感を抱きつつも、食べたときの達成感がたまらない「背徳グルメ」

後ろめたい!? 話題の「背徳グルメ」とは

背徳という言葉には、「道徳に反する」という意味があります。後ろめたい……そんなマイナスイメージの言葉がついた「背徳グルメ」が最近、話題になっているらしいんです。今回は、フードライターの笹木理恵さんに、SBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。

※2月24日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

牧野：そもそも「背徳グルメ」という言葉はこれまであまり耳馴染みがなかったのですが、どのようなものを指すのでしょうか？

笹木：食べると罪悪感を感じてしまう食べ物という意味合いから、「カロリーの高いもの」「身体に悪そうなもの」など。あとは、深夜に食べたくなってしまうカップラーメンなどがあげられると思います。

牧野：なるほど。でも、そういうものって、美味しいんですよね。「背徳グルメ」という言葉はいつごろでてきたのでしょうか？

笹木：感覚的な数字になってしまいますが、「背徳」という言葉をインターネットや雑誌でよく使うようになったのは、2019年以降だと感じています。それ以前は、同じようなグルメであっても「デカ盛り」「悪魔的」といった別のキーワードで表現されていたように思います。

牧野：「背徳グルメ」が流行りだしているのは、「健康的に生きましょう」という流れの反動がでているのでしょうか？

笹木：「健康」は、すでにライフスタイルとして一般的になっているので、それがきっかけというのは少し違う気がします。それよりも食のトレンドとSNSの結びつきが強くなるなかで、「背徳」という言葉が男女問わずつぶやきやすいキーワードとして浸透していったのかなと感じています。

牧野：コロナ禍というのも、何か影響はありますか？

笹木：ストレスの多いコロナ禍で、身近なストレス発散法として「食べること」というのはあると思います。「背徳グルメ」は罪悪感を感じるけど、食べると達成感やちょっとした快感なども味わえるため、コロナ禍で紹介される機会も多かったように思います。

牧野：一時的には体に悪いかもしれませんが、食べることによって幸福感に満たされるなどいい部分もあると思います。この「背徳グルメ」は、主にどのような世代に支持されているんですか？

笹木：SNSに日常的に触れる機会が多い、20代～40代くらいの働き盛りの世代かなと思います。

牧野：働き盛りでストレスも多い世代かもしれませんね。それでは、いま注目の「背徳グルメ」を教えてください！

背徳グルメ1. 韓国「マヌルパン」

笹木：昨年流行ったマリトッツォなどは、背徳グルメの代表として挙げられますが、今年になって注目されているのは、韓国の「マヌルパン」です。

牧野：それはどんなパンなんですか？

笹木：ニンニクとバターを使ったパンです。丸いパンにチーズを挟んで、溶かしたガーリックバターを染み込ませるんです。油脂がたっぷりでニンニクも効いていて、食べたあと人と話すのはちょっと......、というのも背徳感につながっている感じです。

牧野：ほかにはどんなものがありますか？

背徳グルメ2. イタリア菓子から「スフォリアテッラ」「ズコット」「カッサータ」

スフォリアテッラ

笹木：マリトッツォがイタリア菓子だったので、同じくイタリア菓子のカテゴリーで、今年ちょっと注目を集めているのが、「スフォリアテッラ」「ズコット」「カッサータ」！より背徳感を高めてクリームたっぷりにアレンジされる可能性があるのかもしれません。

牧野：「スフォリアテッラ」をネットで見ると、クロワッサンみたいな見た目ですね。

笹木：たくさんひだがあるのが特徴で、バリバリっとした食感が他にはないお菓子です。パイ生地の中にチーズやクリームが入っています。

牧野：教えていただいたなかで、手軽に買えるものはありますか？

カッサータ（左）とスフォリアテッラ

笹木：カッサータは、昨年コンビニで販売されていて、ローソンでは冷凍スイーツになっていたりします。

牧野：カッサータもよくわからないのですが、どのようなお菓子ですか？

笹木：カッサータは、アイスケーキになります。主にチーズと生クリームでできていて、そこにナッツやドライフルーツがたっぷり入っているので、脂肪分が高いスイーツになりますね。

牧野：笹木さんも背徳グルメ、たくさん食べていらっしゃいますか？

笹木：そうですね。食べて幸せを感じています（笑）。

牧野：フードライターさんは毎日いろいろなものを食べてらっしゃると思います。健康を維持する上で、心がけていることはありますか？

笹木：取材で撮影した料理をいただく場合は、お昼を食べないなどの調整はしています。

牧野：全体の中でバランスをとっているんですね。健康に留意しながら、背徳グルメを楽しんでください！

今回お話をうかがったのは……笹木理恵さん
フードライター。飲食業界専門誌の編集を経て独立。スイーツ・パンからフレンチ、ラーメンなどまで、食のあらゆるジャンルを担当。飲食専門誌を中心に、一般雑誌やWEB、書籍などで活動している。「All About」「Yahoo！ニュース個人」でも執筆中。公式サイト『フードライターrieの食日記』