久能山東照宮の神廟を訪ねる
語り：春風亭昇太
駿河湾を望む久能山。木々に囲まれ、静寂に包まれるこの場所に徳川家康が眠る神廟があります。元和2年(1616年)、駿府城で生涯を終えた家康は、久能山に遺骸を納めることを遺言しました。
亡くなった其の夜には、家康の亡骸が、側近によって、久能山に運ばれ、棺の中で座った姿勢で埋葬されたと伝わります。西を向いて埋葬されたのも、家康の遺言であったとされ、それは、故郷の三河や京の朝廷を見守っているとも、西国の有力大名に睨みをきかせるためとも、言われています。
創建当初は木造桧皮葺の造りだった神廟は、寛永17年(1640)に 3代将軍、家光によって石造宝塔に造り替えられ、今に残ります。1周忌ののち、当時の天皇から、東照大権現の神号が家康に与えられました。遺言に従って、日光にも家康を祀る日光東照宮が建てられ、家康はさらに神格化されていったと考えられます。久能山で西を、日光で北をにらみ関東を守護する。家康は自分亡きあとの天下の平和を守ろうと、久能山と日光を選んだのかもしれません。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。
静岡市の観光親善大使でもある春風亭昇太師匠の語りで、歴史や文化、特産品など、静岡市の魅力を紹介するミニ番組です。（毎週日曜日ひる12時54分放送）
