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【静岡のスポーツについて聞きたい!】ベルテックス静岡のバスケB1昇格の鍵は?パリ五輪に向け注目の競泳選手は?静岡新聞運動部の記者が答えます!

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「静岡のスポーツについて聞きたい!」。先生役は静岡新聞運動部の寺田拓馬専任部長が務めます。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」2024年2月29日放送)

(山田)今日は事前にリスナーさんからいただいた寺田記者への質問に答えていただこうと思います。

まずは1人目です。「バスケットボールB2リーグで活躍しているベルテックス静岡がB1昇格に向けてさらに観客数を増やすためには、どうしたら良いですか」という質問です。SBSはバスケ好きのパーソナリティーが多いので、ベルテックスとラジオ番組がタッグを組んだゲームデイなどがあれば、観戦をしたことがない人も興味持ってくれると思いますというアイディアもいただいております。

なかなか難しい質問ですがいかがですか。

(寺田)ベルテックスは創設6年目で、現在B2の西地区で5位につけています。成績でも健闘してるんですが、集客も好調です。2月26日はホームの静岡市中央体育館で愛媛戦があり、この体育館では過去最高の2254人が来場しました。

担当の記者によると、肌感覚ではありますが、熱狂的なバスケファンだけじゃなくて中高年の女性層にもファンが広がってるそうです。

ちなみに松永康太社長は山田さんの先輩だそうですね。

(山田)同じ高校で2学年上のバスケ部の先輩でした。

(寺田)その松永社長も「コアなファンだけを相手にしてはジリ貧になってしまう。今まで観戦したことがない人もアリーナに呼び込んで楽しい雰囲気を作りたい」と言っているそうです。

コアなファンからは「やりすぎ」という批判もあるそうですが、DJによる音楽で会場を盛り上げて、「また来たい」と思うファンを増やそうとする取り組みを進めています。

(山田)ベルテックスのホームゲームには非現実的な空間があって、もうすごいんですよ。MCや音楽から。一方で、コアなファンからは「いや、バスケットはそうじゃないだろ」という意見があるのも現実ですね。

ベルテックス静岡、B1昇格の鍵はアリーナ

(寺田)野外のサッカーよりも、体育館なので空間の演出はしやすいですよね。ワンプレーごと得点が入ったり、最後の1秒まで勝敗が分からなかったりと、スリリングな展開があるのもショー向けという部分があると思います。ただ、B1昇格に向けて鍵を握るのは「箱」なんです。

(山田)僕も今日はその話になるのかなと思ってました。

(寺田)今ホームにしている静岡市中央体育館は上限3000席なんです。B1のライセンスには「5000席以上のアリーナ」という条件があるため、現在B1ライセンスが申請できていない状況です。

そこで、東静岡駅北口のアリーナ構想に注目が集まるわけなんです。静岡市は、2024年度の当初予算案に基本計画策定費を計上しました。魅力的なチームづくりを進めるとともに、行政の支援を得るための機運を醸成できるかが課題になってくると思います。

(山田)そうですね。バスケのMCをやっていた目線からなんですけど、静岡市中央体育館は昔からある水銀燈という照明を使っているので、一度電気を消すと再点灯するまで結構時間がかかるんです。

でも、最近のアリーナの照明はすぐに点灯させることができます。これで何ができるかというと、暗転の演出ができるんです。一度暗くしてレーザーなどの演出を行い、選手が入場する際にぱっと明るくすることが可能です。それが古い体育館だとできない。新アリーナ構想は演出にも関わってくると思います。

Bリーグが打ち出す構造改革とは?

(寺田)東静岡のアリーナ構想はバスケだけでなく、コンサートなど多目的に使えるようにする計画があるそうです。実は、山田さんもご承知かもしれませんが、Bリーグは今、大胆な構造改革を打ち出しているんです。

(山田)そうなんです!

(寺田)2026年からということなのでもう再来年ですね。今は成績に応じてB1、B2というリーグがあるんですが、競技成績によるチームの昇降格制度を廃止し、最上位にBプレミアというカテゴリーを作るとしています。新人選手の獲得についても、プロ野球のようなドラフト制度を導入するそうです。

(山田)プロ野球と同じように、2部リーグに行くことがなく、ずっと1部リーグで戦うシステムを作るわけですよね。

(寺田)先日もこのコーナーでプロ野球とJリーグの違いについて話をしましたが、プロ野球は「閉鎖的な統治」で、限られたオーナー会議で仕切っています。それに対して、Jリーグは「開放的な統治」です。これにはそれぞれメリット、デメリットがありますが、これからBリーグも目指してる閉鎖型は、降格の恐れがないからオーナーが心配なく投資できるんです。

そのため、選手の獲得やアリーナの整備が進みやすく、戦力も均衡するから競った試合が増えて面白くなるということがあります。逆に、新規参入がしにくいというデメリットも出てきます。

選手強化の面では、バスケの日本代表はうまくいってますよね。男子は2019年に21年ぶりにワールドカップに、2021年には45年ぶりにオリンピックにそれぞれ出場しました。昨年は沖縄でフィリピン、インドネシアとワールドカップを共催し、次のパリオリンピックの出場権を獲得しました。

一方で、ビジネス面に目を向けると、Bリーグは上位チームと下位チームの格差が広がっています。

(山田)めちゃくちゃ広がってますよね。

(寺田)そうなんですよね。このため、バスケは閉鎖型に舵を切ったということです。

(山田)寺田さんはバスケには閉鎖型と開放型のどちらが適していると思いますか。

(寺田)確かにJリーグのような開放型の方が、全国に中小規模のクラブが多く生まれて競技の普及には追い風になると思います。ただ、Bリーグは、NBAに続く世界2位のリーグにしたいという大きな夢を抱えてますので、この実現も見てみたいですね。

(山田)僕はJリーグが開幕したときは小学1年生で、全員がサッカーをやっていました。Bリーグができてから、バスケにはあの熱がまだ1回もないんですよ。あれを1回体験したい。だから、ビジネス的だと批判があるかもしれないですけど、全国に強いチームがいくつかあって、ものすごい試合が行われる形になってもいいのではないかと思ったりします。

(寺田)Jリーグは、まずプロ野球が先にあったので、それに対抗する形で何ができるかという視点から入って開放型になりました。今やプロ野球とJリーグがあるわけですから、バスケでは第3の形ではないですが、新しい手法を示してもらえたらなと思います。

その意味で、静岡でもバスケでにぎわいを創出してアリーナの主要コンテンツになれるかは、地域と連携していくことが大事になってくると思います。

(山田)そうですね。新アリーナ構想はベルテックスを応援するに当たっては絶対に外せない問題ですから見続けていきましょう。

(寺田)山田さんは松永社長と先輩後輩の間柄ということですが、サッカーの藤枝MYFCの徳田航介社長とも同級生なんですよね。

(山田)そうなんですよ。僕の周り、みんなすごいでしょ(笑)。

(寺田)今日も午前中に藤枝MYFCの取材に行って徳田社長に話を聞いたんですけど、今も藤枝MYFCのマスコットがベルテックスの試合の応援に駆けつけたりしているとのことでした。選手も互いに試合を観戦に出かけたりもしているそうです。SBSのパーソナリティーもいいですが、JリーグとBリーグのチームがコラボするような企画があっても面白いと思いますね。

(山田)ベルテックスは静岡市だけではなくて静岡県全体がホームという形を掲げてますから、そういうのも楽しそうですね。

水泳は望月絹子、松本周也の2選手に注目!

(山田)続いての質問に行きましょう。「今年はパリオリンピックもありますが、水泳競技の注目選手や新聞記者が見る静岡の競泳の現状を教えてほしい」とのことです。

(寺田)「静岡は水泳王国だ」という話も何度かさせていただきました。これまでに県勢のオリンピアンは40人以上。戦前は「フジヤマのトビウオ」と呼ばれた古橋廣之進さん。戦後は岩崎恭子さんですよね。14歳でバルセロナ五輪の金メダリストになりました。2008年の北京大会から2012年のロンドン、2016年のリオデジャネイロ、2021年の東京と4大会連続で県勢が出場を果たしています。

今年はパリ大会がありますが、ここで出場が期待されるのは望月絹子選手と松本周也選手。清水区出身の望月選手は昨年福岡で行われた世界選手権の女子800mリレーに出場しました。残念ながら9位に終わり、思うような成績を残せませんでしたが、その悔しさをバネにパリを目指しています。まずはここに注目です。

伊東市出身の松本選手は男子200m個人メドレーでパリを目指しています。個人メドレーは背泳ぎ、バタフライ、平泳ぎ、自由形の4種目を泳ぎますが、背泳ぎ、バタフライ、自由形は第一人者の瀬戸大也選手に勝るとも劣らない実力を持っています。

(山田)へぇー。

(寺田)ただ、平泳ぎが苦手なんです。ここの底上げができるかが鍵になります。昨年の秋に取材をしたんですが、その課題を強化して自分のモチベーションを上げていくと話していたので、ひと冬を越えてどのぐらい成果が出ているか楽しみです。

(山田)やはり4種類を泳ぐ中では得意、不得意があるんですか?

(寺田)それはありますね。なので、得意種目と苦手種目の差を極力減らしていくことが大事になります。松本選手は実力はあるので、あとは苦手な部分を克服できればぐっと伸びるのではないかと思います。

ロス五輪へ期待の新星現る!


(寺田)先週末には富士市の富士水泳場で静岡県短水路選手権が行われました。県内の小学生から大人までが集う大会で、シーズン最後、もしくは新シーズンの幕開けという位置づけなのですが、ここで興味深い選手が出現しました。静岡市立高の松田隼人選手です。

(山田)わが母校ですね。

(寺田)松田選手は中学校時代までは無名だったんです。もともと背泳ぎの選手だったんですが、全国大会には届かなかったんです。高校から自由形に転向しました。

彼は中学3年生の夏から受験勉強をしてる間に身長が10センチも伸びたそうです。今は193センチ。大リーグの大谷翔平選手と一緒です。

(山田)水泳は背が高いというのは有利なんですか?

(寺田)もちろんです。背が高いとリーチも長いですから。彼は昨年のインターハイや国体で取材したんですが、残念ながらそこでは思うような結果は出なかったんです。ところが、先週の静岡県短水路選手権では、男子50メートル自由形で県高校記録だけではなく、県記録も破ったんですよ。

(山田)おおー。

(寺田)短水路は25メートルプールを往復するんですが、ターンがある分タイムは早くなります。彼は2月に50メートルプールの長水路でも県高校新記録を出しました。

(山田)すごい!

(寺田)急成長を遂げているので期待の選手です。この春には筑波大学に進学すると言っています。4年後のロス五輪出場を目指すということなので、この大型スイマーにも注目したいですね。

(山田)楽しみですね。まだまだ質問があったんですが、2つで時間がきてしまいました(笑)。皆さんからはスポーツに対する疑問などたくさんお寄せいただいているので、また寺田さんに答えていただきましょう。今日の勉強はこれでおしまい!
シズサカ シズサカ

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