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【静岡の高校サッカー戦後史Vol.42】 清水東の“三羽がらす”が1983年度選手権決勝で涙…帝京に0−1で敗れ連覇ならず

【清水東高⑬】連覇目前で宿敵に惜敗

※2011年3月〜11月に「静岡の高校サッカー 戦後の球跡」のタイトルで静岡新聞に掲載した連載を再掲しています。年齢等も掲載当時のままです。

1983年度全国選手権、表彰式に臨んだ清水東イレブンに笑顔はなかった=国立競技場


県勢の冬の全国選手権連覇は、後にも先にも1962、63年(昭和37、38年)度の藤枝東だけである。83年(昭和58年)度の清水東は、県勢にとって2度目の選手権連覇に挑んだ。

全国で頂点に立った前年度のチームと同様、前半は不本意な結果に終わった。県新人大会は準々決勝で藤枝東を1−0で下したが、準決勝で浜名に0−1で競り負け、県総体は準々決勝で藤枝北に延長の末、1−2で敗れ、全国行きを逃した。ここまで正GKだった遠藤貴久(清水東コーチ)は、「前年度日本一を背負ってスタートしたチームだった」と振り返り、その難しさを指摘した。

長谷川健太、堀池巧、大榎克己の3本柱

だが、夏場を契機にチームは大きく前進する。主軸は1年前から主力とした活躍していた、主将の長谷川健太、堀池巧(ともにサッカー解説者)大榎克己(J清水スタッフ)で、“三羽がらす”といわれ、後にいずれも日本代表入りする。この3人を前線、中盤、最終ラインのそれぞれの柱に据え、秋の選手権県予選を勝ち抜いて、全国へ駒を進める。

V2が懸かった全国舞台。国立競技場での開会式に臨み、「(決勝の)1月8日、絶対にここに戻ってくる」と誰もが思いながら、入場行進した―と、主将の長谷川は、サッカー部史・闘魂に記した。

他を寄せ付けず決勝へ

初戦(2回戦)は前半、鹿児島実(鹿児島)の出足に圧倒された。だが後半11分、CKを受けた大榎が頭で決め、先手を取った。31分には1年生のCF、武田修宏(サッカー解説者)が加点。これで試合の大勢を決し、3−1で退けた。

初戦を突破し、リズムに乗った。島原商(長崎)を4−1、浦和市立(埼玉、現・さいたま市立浦和)を9−0、四日市中央工(三重)を3−1と寄せ付けず、決勝に進出した。

ライバル帝京と伝説の戦い

開会式で誓ったV決戦の場に立ち、長年のライバルの帝京(東京)と対戦した。立ち上がりから攻め込み、シュート数は18−9。しかし前半21分、カウンターを許し先制点を奪われた。この1点は重くのしかかった。後半の反撃も届かず、0−1でタイムアップ。連覇は消えた。

2年連続の出場とはいえ、前年度の経験者は長谷川、大榎、堀池の3人だった。「帝京はもっと多かった。経験の差が出たような気がする」と堀池。“東征”を果たし、頂点に立ってから1年。関東勢がまた、分厚い壁になった。(敬称略)
シズサカ シズサカ

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