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日本人女性の9人に1人が患う乳がん… 実は男性も乳がんになるリスクが!?

「乳がん」は女性だけの病気ではない?

乳がんというと、女性がかかりやすいがん第1位、日本人女性の9人に1人が患う病気といわれているため、「女性がかかる病気」というイメージが強いですよね。ただ、男性が乳がんにかかることもあるらしいです。そこで「男性の乳がん」について、静岡県立静岡がんセンター、乳腺外科部長の西村誠一郎先生にお話をうかがいます。
※10月14日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。
男性の乳がん

「乳がん」について、どんな病気なのか教えてください

西村先生:乳がんは、乳房のなかの母乳をつくる組織(小葉組織)や母乳を乳首まで運ぶ管(乳管組織)から発生するがんです。

牧野アナ:どのような症状がでてくるのでしょうか?

西村先生:主な症状としては、乳房のしこりです。通常は痛みを伴いません。まれに急速に育つ乳がんがあるのですが、その場合は痛みが伴うこともあります。

牧野アナ:痛みがないから大丈夫かなと、特に病院を受診したりしないという人も多いんじゃないですか?

西村先生:そうですね、ありがちですね。

早期発見・治療が大切!

牧野アナ:そのようななかで、乳がんは早期発見・治療が大切だと聞いたりしますが?

西村先生:おっしゃる通りで、早期発見・治療ができれば、ほぼ治る確率が高いがんなんです。ステージ0の乳管の中だけに存在しているのであれば、ほぼ100%治ります。また、2cm以下のステージ1でも約95%の人が、10年間無事に過ごせています。

牧野アナ:この乳がん、男性でも発症する人がいるのですか?

西村先生:まれですが、我々のところでも年間1人か2人くらいの患者さんがいます。

牧野アナ:男性の場合も、女性と同じような症状が出てくるのですか?

西村先生:原則的には女性と同じで、しこり、乳房の形が変わった、乳頭からの血性分泌物がでるなどです。女性と違うところは、乳頭の後ろにしか、がんができないところです。

牧野アナ:男性の乳がんは乳頭の後ろにできるんですね。

西村先生:女性は、外側や内側など乳頭から離れたところにもできますが、男性は乳腺組織が乳頭直下にしかないため、基本的にはそこにしかできません。

男性もマンモグラフィーで検査可能

牧野アナ:乳頭の後ろにしこりがあるとか、違和感を覚えたときには疑った方がいいですね。あとは、検査というと女性と同じようにマンモグラフィーなんでしょうか?

西村先生:そうですね、みなさんイメージがないと思いますが、検査方法も女性と同じで乳房のレントゲン(マンモグラフィー)で撮影できます。

牧野アナ:実際に検査を受けている人もいるんですね。

西村先生:乳房が張ってきて、乳がんかなと疑わしくなった場合には撮っています。

セルフチェックの方法

牧野アナ:前段階としてはセルフチェックが重要なんでしょうか? 方法も教えてください。

西村先生:基本的には女性に指導しているのと同じで、自分で見て、利き腕の手で触ってもらい、しこりがないかを確認してもらいます。男性は乳頭の周囲にしかできないので、そこを中心に触ってもらうことが大事です。

牧野アナ:男性は乳頭の周辺、女性は乳房をまんべんなくですか?

西村先生:そうですね、女性は乳房をまんべんなく触ってもらう必要があります。

牧野アナ:もししこりに違和感がある場合は、どのような感じなんですか?

西村先生:男性は、比較的ころころ動くような塊としてわかると思います。

病院は産婦人科ではなく外科へ

牧野アナ:そこで違和感があった場合、病院だと何科に行けばいいのでしょうか?

西村先生:産婦人科のイメージがありますが、治療を扱っているのは原則外科の領域なので、外科の病院にかかってもらうのが正しいですね。

牧野アナ:乳がん専門のお医者さんは、今どれくらいいるのでしょうか?

西村先生:乳腺専門医のいる乳腺外科というのがあるのですが、乳腺専門医は全国で1500人前後、静岡県内では、2021年5月現在で38名しかいません。

牧野アナ:どの地域にも専門家がいるわけではないのですね。

西村先生:日本乳癌学会という団体があり、学会のホームページから乳腺専門医がいる病院を調べることができます。

最後に、乳がんに関して伝えておきたいメッセージを!

西村先生:ご存知のように乳がんは、女性のがんの中で最もかかりやすいがんです。例外的に男性も乳がんにかかる場合があるので、乳房に対する意識を持つようにしてください。これはブレスト・アウェアネスと言います。

乳がんがこれだけ認知されてきた今でも、数年前からしこりなど違和感があったけれど、受診のタイミングを逸して受診したときにはすでに末期がんだった……という方があとを絶ちません。進行した状態で受診すると、治る可能性は低くなり、治療も大変苦しいものになります。できるだけいい状態(早期乳がん)で病院にいらしてください。

牧野アナ:とにかく早期発見・治療が大事ということですね。ありがとうございました。

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免責事項
今回お話をうかがったのは……西村誠一郎先生
静岡県立静岡がんセンター、乳腺外科部長。1994年、宮崎大学医学部卒業。2000年より、癌研究会附属病院 (現、がん研有明病院)乳腺外科勤務。 12年12月より、静岡がんセンター 乳腺外科勤務。15年4月より 現職。外科専門医、乳腺外科専門医、 臨床遺伝専門医。専門は、乳房温存療法、 遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の診療。

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