次期衆院選 維新、公明と全面対決へ 協力解消、自力路線にかじ【大型サイド】

 日本維新の会が次期衆院選に向け、公明党との全面対決にかじを切った。大阪、兵庫の計6選挙区ですみ分けてきた関係を解消し、独自候補の擁立を決断。一部で取り沙汰されてきた東京での選挙協力を否定する。自力で党勢を拡大し、野党第1党の座をつかむ路線を突き進む意向だ。

記者団の取材に応じる日本維新の会の馬場代表(左)と藤田幹事長=25日、大阪市の党本部
記者団の取材に応じる日本維新の会の馬場代表(左)と藤田幹事長=25日、大阪市の党本部
公明党現職がいる大阪、兵庫の衆院6選挙区
公明党現職がいる大阪、兵庫の衆院6選挙区
記者団の取材に応じる日本維新の会の馬場代表(左)と藤田幹事長=25日、大阪市の党本部
公明党現職がいる大阪、兵庫の衆院6選挙区

 ▽潮目
 「6選挙区は長年、公明議員が当選を繰り返してきた。決して簡単な選挙にはならない」。25日、大阪市にある維新の党本部。馬場伸幸代表は詰めかけた記者団を前に、6選挙区を巡る現状を冷静に分析しながらも「もう党の方針は決めた。公明と協議することはない」と決別を宣言した。
 維新が公明との対決の道を選んだのは大阪3、5、6、16区と兵庫2、8区。公明にとって「常勝関西」の象徴で、いずれも重鎮らが伝統的に勝利してきた。
 維新は前身を含め、馬場氏らが初当選した2012年の衆院選以来、6選挙区では候補を擁立してこなかった。大阪市議会で過半数を持たず、看板政策「大阪都構想」の是非を問う住民投票を大阪市で実施するには、公明の協力が不可欠だったからだ。
 潮目が変わったのは今春の統一地方選。維新は地方議員を急増させ、大阪市議会で初の過半数を獲得した。幹部は「公明に選挙区を譲る大義名分がなくなった」と強調。報道各社の世論調査で、政党支持率が野党第1党の立憲民主党を上回ることも増え、維新内で主戦論が勢いづいた。
 ▽幻のバーター
 維新、公明両党を巡っては、公明の支持母体・創価学会の幹部が水面下で維新側と接触し、東京と関西の「バーター」を打診したいきさつがある。公明と自民党との東京での選挙協力がなくなったことを奇貨として、公明側が東京で組織票を回し維新を支援。代わりに6選挙区の一部で、維新に擁立を見送ってもらうというわけだ。
 それも維新の今回の決定で幻となった。公明と連携した過去を清算し、全国への浸透を図る維新。馬場氏は「政党として当たり前の形に戻るだけ。まさに政治のダイナミズムだ」と周囲に語る。
 対する公明には緊張が走る。
 維新はもともと大阪で、公明が有する4選挙区を除く計15議席を独占し、抜群の強さを誇る。最近は4月の奈良県知事選、衆院和歌山1区補欠選挙で自民候補を相次いで退け、勢いは顕著。大阪や兵庫で公明現職が維新候補と激突すれば、苦戦を強いられるのは間違いない。
 公明幹部は苦渋の表情を浮かべる。「維新と交渉の余地はあると踏んでいたが、厳しかった。生き残りへ全力で戦い抜くしかない」

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