岩手知事選 小沢氏、死守した「王国」 自民の侵食退け、地元で力【大型サイド】

 立憲民主党の小沢一郎衆院議員が地元・岩手県知事選で踏みとどまった。自民党幹事長や民主党代表など権勢を振るった力の源泉が足元の「小沢王国」。知事選で小沢氏側近の達増拓也知事が5選を果たせるのか注目されたが、自民の侵食を退けた。牙城を死守し、政治力を残した小沢氏。国政での動向が注目される。

街頭で達増拓也氏への支持を訴える立憲民主党の小沢一郎衆院議員=8月31日、盛岡市
街頭で達増拓也氏への支持を訴える立憲民主党の小沢一郎衆院議員=8月31日、盛岡市
街頭で支援者らと言葉を交わす立憲民主党の小沢一郎衆院議員(左)=8月31日、盛岡市
街頭で支援者らと言葉を交わす立憲民主党の小沢一郎衆院議員(左)=8月31日、盛岡市
街頭で支援者と言葉を交わす立憲民主党の小沢一郎衆院議員(右)=8月31日、盛岡市
街頭で支援者と言葉を交わす立憲民主党の小沢一郎衆院議員(右)=8月31日、盛岡市
最近の小沢一郎氏の発言
最近の小沢一郎氏の発言
街頭で達増拓也氏への支持を訴える立憲民主党の小沢一郎衆院議員=8月31日、盛岡市
街頭で支援者らと言葉を交わす立憲民主党の小沢一郎衆院議員(左)=8月31日、盛岡市
街頭で支援者と言葉を交わす立憲民主党の小沢一郎衆院議員(右)=8月31日、盛岡市
最近の小沢一郎氏の発言

 ▽負けられない戦い
 選挙戦終盤の先月31日夜、81歳の小沢氏は日中の熱気が残る盛岡市の商業施設前で街頭に立ち、自らマイクを握った。
 「達増氏への力強い支援をお願いします」
 小沢氏は知事選を「負けられない戦い」(周辺)と位置付けた。達増氏と別行動で街頭演説を重ねたほか、自身が率いる「一清会」メンバーを岩手に送り団体・企業回りを展開。小沢氏を政治の師と仰ぐ玉城デニー沖縄県知事も駆け付けた。
 小沢氏は2012年に当時の与党民主党から飛び出して以降、存在感が徐々に陰っていく。21年衆院選は27歳で初当選して以降、選挙区で初めて敗れ、比例復活に甘んじた。22年参院選の岩手選挙区では立民現職が自民新人に敗北。自民にじわじわと失地回復を許す。
 今回の知事選を落とせば政治力を失いかねない局面だっただけに「何とか一矢報いた」(周辺)格好だ。
 ▽三度目の正直
 側近の知事選勝利を追い風に、小沢氏が今後、立民内で動きを増すとの見方がある。
 6月には次期衆院選の野党候補一本化を求める有志の会設立を仕掛けた。メディアにも積極的に登場。党勢が上向かない泉健太執行部に厳しい発言を繰り返す。先月27日放送のBS朝日番組では、野党間で候補者調整が進まない現状に「泉氏は他党から信頼を得られていない。変心してくれるのが一番良い」と皮肉を交えて苦言を呈した。
 知事選結果は、こうした動向を後押しするというわけだ。
 10月の衆院長崎4区補欠選挙には、自らに近い末次精一衆院議員(比例九州)が出馬する。近く議員辞職する末次氏に代わり繰り上げ当選するのも、小沢氏と行動を共にしてきた屋良朝博氏が見込まれる。小沢氏は発言力アップをにらみ、補選に注力する意向という。
 小沢氏が展望するのは、野党結集による政権交代だ。1993年の非自民勢力による細川政権の誕生や、09年の民主党政権発足の立役者。二大政党制を目指し「三度目の正直」(小沢氏)を狙う。
 とはいえ岩手知事選は自民、公明両党が推した無所属新人より、4期務めた達増氏に分があり「勝って当たり前」(野党関係者)。小沢氏と距離がある立民関係者は「小沢氏は土俵際でかろうじて持ちこたえただけだ」と冷ややかに語った。

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