大昔の宇宙にブラックホール多数 予想の50倍、誕生の謎に迫る

 138億年前の誕生から10億~20億年後という大昔の宇宙に、既に多数の巨大なブラックホールがあったとの研究結果を、東京大宇宙線研究所などのチームが4日、発表した。理論的に予想した数の50倍に相当するという。

120億~130億年前の巨大ブラックホールの画像(東京大宇宙線研究所提供)
120億~130億年前の巨大ブラックホールの画像(東京大宇宙線研究所提供)

 ほとんどの銀河の中心には巨大なブラックホールがあるが、「種」となる初期のブラックホールがどの時点でどのように生まれ、成長してきたのかは分かっていない。チームは、さらに初期の宇宙にさかのぼって調べれば、ブラックホール誕生の謎に迫れる可能性があるとしている。
 天体からの光は地球に届くまでに時間がかかり、遠い天体の観測は大昔の姿を見ていることになる。
 チームは、はるか遠くの銀河から届く赤外線も見られる米航空宇宙局(NASA)のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測データを分析。狭い観測範囲にもかかわらず、120億~130億年前に相当する遠い宇宙の銀河10個から、巨大ブラックホールの存在を示す光の痕跡を発見した。赤外線を観測できない望遠鏡のデータから予想していた数の50倍に当たる。
 発見した巨大ブラックホールの重さは太陽の100万倍~1億倍。急激に成長しており、「種」に近い段階とみられる。東京大宇宙線研究所の播金優一助教は「従来の説を覆す衝撃の結果だ。巨大ブラックホールには今回見つけたものと別のタイプもあるため、実際の数はさらに多いと考えられる」と話している。

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