5万光年、宇宙の旅? 天の川中心に別銀河の星

 地球のある天の川銀河に、100億年以上前に別の銀河で生まれ、5万光年の距離を旅してきた恒星が紛れ込んでいる可能性があることを、宮城教育大と国立天文台などがすばる望遠鏡による観測で突き止めた。1日、日本学士院紀要電子版に発表した。

天の川銀河のブラックホール「いて座Aスター(A*)」近くにある恒星「S0―6」((C)宮城教育大学/国立天文台)
天の川銀河のブラックホール「いて座Aスター(A*)」近くにある恒星「S0―6」((C)宮城教育大学/国立天文台)

 天の川銀河の中心には、質量が太陽の400万倍あるブラックホールがある。本来、強い重力の影響で付近には星が形成されないはずだが、実際には恒星があり、成り立ちは謎に包まれていた。
 チームはブラックホール近くの恒星「S0―6」に着目し2014~21年に観測。温度や鉄の量から約100億年以上前に誕生したと分かったという。さらに含まれる元素が天の川銀河とは別の銀河の星に似ており、半径が5万光年に及ぶ天の川銀河の外で生まれた可能性があると結論付けた。
 宮城教育大の西山正吾准教授(赤外線天文学)は「近くに仲間がいるのか、途中から一人旅になったのか、さらに調査を進めたい」と話し、観測の精度を高めるとしている。
 ブラックホールは「いて座Aスター(A*)」と呼ばれる。

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