国交省、車整備ガイドライン策定 BM不正問題、114工場処分

 中古車販売大手ビッグモーター(BM)の自動車整備不正問題を巡り、斉藤鉄夫国土交通相は29日の閣議後記者会見で、整備工場に対して作業中の車の写真や整備記録を保存し、顧客に説明して了承を得るよう求めるガイドライン(指針)を策定したと明らかにした。義務化は見送った。

閣議後、記者会見する斉藤国交相=29日午前、国交省
閣議後、記者会見する斉藤国交相=29日午前、国交省

 国交省は同社の全国130工場への監査が終了したとして結果を公表。2023年10月に一斉処分した34工場を含む計114工場に事業停止や民間車検場の指定取り消し、車検業務停止などの行政処分を出した。行政処分も文書警告などの行政指導もなかったのは5工場だけだった。
 国交省によると、指針は消費者への透明性を高めるため策定。板金や塗装などの車体整備の際、作業前、作業中、作業後の各段階で、車や部品が特定できる画像の撮影や作業内容・方法の記録、整備料金に関する見積もりや請求書を保存し、事後的な検証を可能にして不正を防止する。消費者に適切に説明して書面などで了承を得ることや作業の透明性を確保することなども盛り込んだ。
 国交省はBM本社に関して、降格人事の頻発や、車の損傷の存在・範囲を誤認させる写真撮影の指示など10項目の問題点があったと確認し、改善報告書を受け取ったと明らかにした。行政処分の内訳は、事業停止102工場(90~10日)、民間車検場の指定取り消し37工場、車検業務停止41工場(180~5日)だった。
 斉藤氏は会見で「業界への信頼を損ね国民生活に多大な混乱を与えた。国交省としても二度とこのような事態が起きないようにする」と述べた。
 BMは「改善報告書に従って真摯に対応し、信頼回復に向けて全社を挙げて尽力する」とのコメントを出した。
 BMでは外部弁護士が23年6月にまとめた調査報告書やその後の国交省の立ち入り検査などで、不適切な整備や保険金請求が判明した。

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