【衆院3補選】立民が自民「王国」島根1区に照準 野党連携の試金石にも

 立憲民主党は衆院3補欠選挙(16日告示、28日投開票)を巡り、与野党対決の島根1区に照準を合わせる。自民党「王国」で議席を奪おうと、泉健太代表は6日島根入り。同区は共産党と候補を一本化しており、次期衆院選での連携への試金石となる。自民派閥の政治資金パーティー裏金事件を追い風に「3勝も可能」との声も上がる立民内。ただ候補乱立の東京15区での政権批判票分散が懸念材料となる。

立民の衆院3補選戦略
立民の衆院3補選戦略

 「裏金問題に皆怒っている。島根1区の結果が日本中を動かす」。松江市での集会に出席した泉氏は、同区で勝利する重要性を訴えた。自民の上川陽子外相(衆院静岡1区)も同市での党会合で、立候補する新人への支持を呼びかけた。
 竹下登元首相らを輩出した自民の牙城である島根県。立民重鎮は「裏金事件で自民支持層の離反が進む」と手応えを明かす。ここで議席を獲得すれば「岸田政権に打撃を与え、衆院選への大きな弾みとなる」(ベテラン)というわけだ。
 島根重視の理由はそれだけではない。野党連携拡大の鍵とみるからだ。共産は候補擁立を見送り、立民元職への自主的支援を決定。国民民主党も県連レベルで支援する。「衆院選で同様の連携を広げたい」というのが立民の本音だ。共産の小池晃書記局長も「勝利できれば、市民と野党の共闘を進めるきっかけになり得る」と分析する。
 一方、ハードルもある。立民が新人を出す東京15区では、日本維新の会の新人のほか、現職参院議員らが出馬。政権批判票の争奪戦となる様相だ。立民は「与党議席を減らすという大義に向け、各野党と力を合わせる」(大串博志選対委員長)として、共産と候補一本化へ協議するが、立民との協力に否定的な維新との競合は避けられない。
 自民が不戦敗を決めた長崎3区では、維新と争う。選対筋は「勝利し、立民こそ衆院選で自民と相対する政党だと印象付ける」と強調する。
 泉氏は2021年の代表就任後、公認候補を立てた補選で全敗。中堅は「泉氏も今回の補選が正念場となる」と語った。

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