34年ぶり円安、153円台 米利下げの先送り観測で

 11日の外国為替市場で円相場が急落し、一時1ドル=153円台を付けた。1990年6月以来、約34年ぶりの円安水準となる。前日発表の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを先送りするとの観測が一段と強まった。米長期金利が上昇し、日米の金利差拡大を材料視したドル買い円売りが進んだ。

1ドル=153円台を付けた円相場を示すモニター=11日午後、東京都港区の外為どっとコム
1ドル=153円台を付けた円相場を示すモニター=11日午後、東京都港区の外為どっとコム

 円相場は11日早朝に一時1ドル=153円24銭を付けた。急速な円安を受け、市場関係者は政府・日銀による為替介入を警戒している。鈴木俊一財務相は11日午前、記者団に「あらゆるオプション(選択肢)を排除することなく適切に対応する」と述べ、円買い介入も辞さない姿勢を示した。
 市場では、1ドル=152円台に下落すれば為替介入があるとの見方が多かった。上田東短フォレックスの阪井勇蔵営業企画室室長は「政府は介入の最も効果的なタイミングを探っているのではないか。市場は神経戦になっている」と話す。
 円安は外国から輸入する原油や食料品の価格を押し上げ、物価高に苦しむ家計の打撃となる恐れがある。日銀はマイナス金利政策を解除した後も緩和的な金融環境を続ける方針を示している。FRBが利下げしなければ、日米の金利差が大きく縮小する見込みは薄く、金利が高く投資に有利なドルを買う流れが続いている。
 東京市場の午後5時現在は、前日比1円28銭円安ドル高の1ドル=153円12~14銭。ユーロは33銭円高ユーロ安の1ユーロ=164円50~54銭。米CPIは前年同月比で3・5%上昇し、伸び率は2カ月連続で拡大した。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞