海自ヘリ2機墜落 衝突か 1人死亡、7人行方不明 伊豆諸島・鳥島東方 深夜、潜水艦探知訓練中

 20日深夜、伊豆諸島の鳥島東方海域で訓練中の海上自衛隊のSH60K哨戒ヘリコプター2機が墜落した。計8人が搭乗しており、海自は捜索現場で2機のフライトレコーダー(飛行記録装置)を発見し、回収した。21日午前、東京・市谷の防衛省で記者会見した木原稔防衛相は、近接した場所で見つかっていることから「2機が衝突した可能性が高い」との見方を示した。海自はうち1人を救助したが、死亡を確認。残る7人の捜索を続けるとともに事故原因を調べている。

海上自衛隊のSH60K哨戒ヘリコプター(海上自衛隊提供)
海上自衛隊のSH60K哨戒ヘリコプター(海上自衛隊提供)
海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落した現場周辺海域で捜索に当たる海自の艦船=21日午前10時54分、伊豆諸島の鳥島東方海域(共同通信社機から)
海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落した現場周辺海域で捜索に当たる海自の艦船=21日午前10時54分、伊豆諸島の鳥島東方海域(共同通信社機から)
伊豆諸島、鳥島、小松島航空基地、大村航空基地
伊豆諸島、鳥島、小松島航空基地、大村航空基地
海上自衛隊のSH60K哨戒ヘリコプター(海上自衛隊提供)
海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落した現場周辺海域で捜索に当たる海自の艦船=21日午前10時54分、伊豆諸島の鳥島東方海域(共同通信社機から)
伊豆諸島、鳥島、小松島航空基地、大村航空基地

 海自によると、ヘリ6機と艦艇8隻で海自潜水艦を探知する訓練をしていた。当時は墜落した2機のほかにヘリ1機が飛行していた。20日午後10時38分ごろ、大村航空基地(長崎県)所属の1機の通信が途絶。1分後に緊急信号を受信した。同11時4分には小松島航空基地(徳島県)所属の1機と連絡が取れない状態であることが分かった。機長は大村が松田拓也3等海佐、小松島が板村一輝3佐。訓練に参加した別々の護衛艦から飛び立っていた。
 飛行記録装置は水圧を検知すると機体から分離されて浮上する仕組み。墜落現場は鳥島の東約270キロの海域で、水深は約5500メートル。周辺でヘリの回転翼のブレード(羽根)や機体の一部、ヘルメットを数個発見した。受信した緊急信号は一つだったが、木原氏は「周波数が同じなため、近い場所で2機から同時に発せられると一つに聞こえる可能性がある」と説明した。
 海自は護衛艦や航空機を投入し、海上保安庁の巡視船と航空機も加わり24時間態勢で捜索。海自トップの酒井良海上幕僚長は21日午後の会見で、事故を謝罪した上で、2機が訓練中に近接していたことを示すデータがあると明らかにした。海自は事故調査委員会を立ち上げるとともに、同型機の訓練飛行を見合わせた。
 自衛隊のヘリを巡っては、2017年8月、青森県沖で海自のSH60Jが墜落。23年4月には沖縄県の宮古島付近で10人乗りの陸自のUH60JAが墜落し、全員が死亡した。

 SH60哨戒ヘリコプター 米海軍のSH60ヘリをベースに、海上自衛隊独自の対潜システムを導入している。先行のJ型や今回墜落したK型などがあり、K型は全長19.8メートル、全重量10.9トンで、4人乗り。低周波ソナーなどを積み、作戦遂行能力を向上させた。対潜爆弾や対艦ミサイルも搭載可能で、夜間や悪天候でも安全に着艦できる装置も備えている。

あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞