海自墜落、機体異常のデータなし 飛行記録装置解析で防衛相

 伊豆諸島の鳥島東方海域で計8人が乗った海上自衛隊のSH60K哨戒ヘリコプター2機が墜落、1人が死亡した事故で、木原稔防衛相は22日、東京・市谷の防衛省で記者会見し、2機のフライトレコーダー(飛行記録装置)の解析を進めていると明らかにした上で「現時点で、飛行中の機体に異常を示すデータはなかった」と述べた。海自と海上保安庁は行方不明となっている7人の捜索を続けた。

海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落した現場周辺海域で捜索に当たる海自の艦船=22日午前10時48分、伊豆諸島の鳥島東方海域(共同通信社機から)
海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落した現場周辺海域で捜索に当たる海自の艦船=22日午前10時48分、伊豆諸島の鳥島東方海域(共同通信社機から)
海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落した事故を受け、記者会見する木原防衛相。右は酒井良海上幕僚長=22日午前、防衛省
海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落した事故を受け、記者会見する木原防衛相。右は酒井良海上幕僚長=22日午前、防衛省
伊豆諸島の鳥島東方海域で回収されたヘリコプターの機体の一部=21日(海上自衛隊提供)
伊豆諸島の鳥島東方海域で回収されたヘリコプターの機体の一部=21日(海上自衛隊提供)
海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落した現場周辺海域で捜索に当たる海自の艦船=22日午前10時48分、伊豆諸島の鳥島東方海域(共同通信社機から)
海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落した事故を受け、記者会見する木原防衛相。右は酒井良海上幕僚長=22日午前、防衛省
伊豆諸島の鳥島東方海域で回収されたヘリコプターの機体の一部=21日(海上自衛隊提供)

 海自によると、海自の潜水艦を探知する訓練中だった20日午後10時38分ごろ、大村航空基地(長崎県)所属の1機の通信が途絶えた。小松島航空基地(徳島県)所属のもう1機とも連絡が取れず、防衛省は2機が衝突した可能性が高いとみている。飛行記録装置を神奈川県の海自厚木航空基地に運び込んでおり、解析を進めている。
 関係者によると、事故当時は第4護衛隊群(広島県呉市)の艦艇が参加する大規模な訓練を実施中で、海自護衛艦隊部隊のトップである護衛艦隊司令官が隊員の技量を確認する「訓練査閲」中だった。
 木原氏は会見で、自衛隊の全航空機で飛行前の点検を入念にし、安全管理や緊急手順の教育を改めて実施するなどの指示を21日付で出したと述べた。
 捜索には海自の護衛艦や航空機のほか、海上保安庁の巡視船も参加している。墜落現場は鳥島の東約270キロで、水深は約5500メートル。機体は海底に沈んでいる可能性があることから、海自は位置特定のため、海底の地形などを測定する海洋観測艦を投入する方針だ。これまでにヘリの回転翼のブレード(羽根)や機体の一部、ヘルメット数個が見つかっている。
 岸田文雄首相は22日の衆院予算委員会で「重大事故の発生を重く受け止める」と述べ、行方不明者の捜索や救助、自衛隊機の安全な運航に万全を期す考えを示した。
 自衛隊では2022年1月に空自のF15戦闘機が石川県の小松基地を離陸した直後、洋上に墜落して2人が死亡したほか、昨年4月には陸自のUH60JAヘリが沖縄県宮古島付近で墜落し、搭乗者10人全員が死亡するなど、航空機の事故が相次いでいる。

 フライトレコーダー 航空法で装備を義務付ける飛行記録装置。航空機の高度や速度、機首の方位やエンジン出力など飛行中のデータを時刻や飛行時間とともに自動的に記録する。操縦室の音声や管制官との交信内容を記録するボイスレコーダー(音声記録装置)と事故原因の究明に使う。事故の衝撃や火災、水没に備えて頑丈な箱に収納され「ブラックボックス」と呼ばれるが、発見しやすいようオレンジ色などに塗られる。水中で位置を知らせる装置も取り付けられている。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞